
福島県沿岸部南相馬市と浪江町の境界付近の棚塩地区。20M程度の高まりになっている崖の上を海にスレスレで走っている県道。群青の太平洋が崖と道の間に繁っている松の木越に見渡せる。波浪が崖の下で砕ける音が唸っている。現在の県道よりも崖寄りに白いガードレールが錆びている道がチラリと見えた。現在の県道のうち捨てられた旧道か。県道から10Mも離れてもいないので、松の木々をすり抜けと下草をより分けてその旧道らしき道に出て驚いた。その道はなんと太平洋の容赦なく打ち寄せる波の力で半分以上が浸食されて崖の下へと崩されていたのだ。よく見ると残された道の表面に新たなヒビが入っており、次に切り崩す部分はここだといわんばかりに波の音が響き渡る。恐る恐る道の端から海を見下ろすと道の残骸は消失して見当たらなかったが、先程チラリと見えたガードレールは無残にも先端は崖の中程までグニャリダラリ宙吊りになっている。
ここは自然の威力が人間の造った人工物を時間を掛けて浸食している最先端の現場なのだ。そしてこの道は波浪に侵食されてしまったのでうち捨てられた県道なのだ。遥か下の海中には消波ブロックを置いているのが見えるがそんなのは単なる時間稼ぎ。今はこの旧道を浸食中だが、その次は現在の県道も何時の日か浸食するようになる筈だ。
旧道の路面を突き抜けて生えるド根性草
そんな戦慄の走る光景をしばし見た後、また現在の県道に戻る。県道の浪江町側は工事中で先に進めなかった。産業団地造成中と書いてあり、辺り一帯の木々が切り倒されていた。ここでは人間が自然を浸食している現場だったのだ。
造成中の産業団地。何時の日か自然の力によるリベンジが始まるということにどう対応するのだろうか。ここは自然と人間のバトルフィールドだ。



