祝融
先日目白の田中角栄邸が火災に見舞われた。
確か角栄の盟友でもある大平正芳も自宅が火事になったと聞いた時に
「めでたいことだ」と言ったのを本で読んだのを思い出し
「祖父 大平正芳」(渡邊満子著)を出してみた。
タイトルにもある通り、著者の渡邊満子さんは大平正芳の孫。
母が大平の長女である芳子さん。父は大蔵官僚から大平の秘書官、
そして大平急逝後は後継として衆院議員を務めた森田一元運輸大臣。
瀬田にあった大平邸が火災に見舞われたのは奇しくも半世紀前の今日だった。
大平は選挙応援のために地元の香川にいた。演説会の直前に火災の一報を
聞いた大平はこう口を開いた。
「東京の自宅が全焼した。幸いけが人もなく安心した。
中国のことわざで火事は祝融といってめでたいことだといいます」
火災に遭った人がこうやって淡々と語れるとは。田中真紀子とて
落胆したというのに。
田中邸の火災は線香の火が何かに燃え移ったそうだが、大平邸は
お手伝いの女性による放火が原因だったが未成年の女性であったことを
配慮して従兄の火遊びが原因だと発表。従兄には今でも申し訳ない、
と心境を明かしている。