FT-707Sの分解が進みます。FINAL UNITを取り出すと今まで経験したことの無い景色が。
電解コンデンサーが縦に真二つに割れて中の繊維質の綿毛が周りの部品に飛び散っています。においもなく、綿毛がカラカラに乾燥しているところを見ると、今回CW送信で煙が出たのとは別に、随分昔に破裂したようです。回路的にはFINAL段のBASE電圧を作るTX 13.5V電源ラインの平滑コンデンサーです。なぜ破裂したのかはわかりませんが、これが原因で無線機が使えなくなり、しばらく置かれたままになり、今回オークションに出て来たものでしょう。またこのTX 13.5V電源ラインの問題から、CWの送信時のテストでAVR基板から煙が出たのかと想像しましたが、これは後で間違いとわかります。
このことからTX 13.5Vにつながる電解コンデンサーはもちろん、装置内全ての電解コンデンサーを新品に交換することにしました。かなりお金が掛かりますが、安全には換えがたいですし、本来のレストアはそうするべきですね。ただ電解コンデンサーは一気に変えずに組み立てながら各部分の動作を確認後交換をしていきます。まだ入手して充分なテストもできていませんし、大量の電解コンデンサー交換作業で半田ブリッジや誤配線をした場合、何が不具合の原因かわからなくなるからです。
まずはAVR基板の電解コンデンサーの交換とテストを行います。リレーも交換したいところですが、現在は同じ規格の代替え部品はありません。CW送信テストで煙が出たのですが、特に部品の破裂や焼損は見つかりませんでした。
AVR基板を元の位置に取り付けハーネスを元の様に本体シャーシに沿わせながら取り付け仮接続をしました。こんがらかったハーネスをほぐしながら取り付けていきますが、各ボリュームやLEDやSWパネルとのからみで、元の配線引き回しと変わると配線の一部がひきつったりたるんだりと色々苦労します。更に、RF UNIT, IF UNIT, AF UNITの基板を所定位置に取り付け接続しようとすると、コネクターまでのケーブル距離が届かなくなったりします。特定の配線は途中から他の配線部分をくぐらせたり、引き出す位置を変えたりとかなり苦労します。
PA UNITは電解コンデンサーが破裂していたので、まっ先に全電解コンデンサーを交換しました。交換していると破裂していた10uFとは別に、33uFの電解コンデンサーも底が抜けていました。TX 13.5V電源ラインにかなりの電圧がかかった様子。PA UNITは使えなさそうです。
何とか組み立てをして、テストをするといろいろ問題が出てきました。壊れていそうなPA UNITは接続しません。電源を投入すると周波数表示は出ずLEDメーターは全点灯。送信に切り替えると、またAVR基板から煙が出てきました。TX 13.5VラインがGNDとショートしています。各UNITを順に取り外していくと、RF UNITを取り外すとショートが無くなります。調べると内部のTX 13.5V電源LINEの電解コンデンサーがショートしていました。この電解コンデンサーと傍にあるもう1つの電解コンデンサーも交換しました。ショートは無くなりましたが、他の動作を調べるために電源を入れていると、受信しているだけなのにAVR基板のヒートシンクが火傷するほど高熱になっていました。電流の流れ過ぎです。調べていくとシャーシに取り付けている3端子レギュレーターに直接コネクターを挿して配線していますが、この挿す位置がずれていました。組み立て時のミスです。これを直すと発熱は無くなり、周波数表示は点灯したが表示が固定されずめちゃくちゃな点灯。
更にシンクロで確認をしていくと、VFOの発振はOK、しかしバンドごとのミキサーOSCの出力が無し。原因はバンド切換SWの配線が切れていました。ハーネスの引き回しで切れたようです。切れた配線を見つけましたが、確かに短すぎて接続できません。かなり力が掛かったようです。別の配線材で配線を半田付けしました。更に見るといくつかのバンド毎の配線も切れていました。バンドSWの配線はかなり入り組んでいたので取外しの際に力が掛かったようです。回路図とにらめっこで元に戻します。この時助かったのは、YAESUのメンテナンスマニュアルの中に、配線材のケーブルの色分けと接続先を描いた図があり、これが正確に記載されていました。これは助かりました。おそらくこの蜘蛛の巣配線のハーネスにはYAESUも苦労したのでしょう。でも線材の色分け通りにきちんと半田付けされた作業の方も大変だったでしょう。パートのおばさん(違うかも？）は偉大です。
その他の配線の断線もありましたが、何とか修復して正常に受信できるところまでには復旧しました。PA UNITを取り付け送信しましたが、予想通り全く出力は出ていません。
その3に続く。FINAL UNITとの格闘？