今回初めてSONY CF-6600のレストアを行いました。

このきっかけは、私が陰ながら尊敬するビデオ工房トパーズの中村雅哉氏 の「ラジオ・ラジカセミニ博物館」での「SONY CF-6600の修理とカスタマイズ」をいつも参考にさせていただいていたことによります。毎回このWEBサイトを見ながら、ここまでのレストア作業は私にはできないと感心して参照していました。

自分のブログでは、SONY CFS-D7 Sir-III、松下電器 RX-5600、SONY W901、SHARP GF-808S、SHARP VZ-V2、SHARP VZ-V3、SONY CFS-66とレストア(修理)を行ってきましたが、なかなかスイッチやボリュームを分解清掃してまでのレストアはTOOLも気力もなくできませんでした。一昨年電動半田吸取り器を購入して少しは行うようになりましたがまだ全部のSW部品やボリュームなど到底できません。今回のCF-6600はどのくらい自分でできるかの挑戦でもありました。

今回、CF-6600の修理を終わったこの時点でCF-6600のレストア(修理)について自分なりの経過と記録を整理したいと考えまとめを書くことにしました。

 

機種について

SONY CF-6600はオーディオ会社として輝いていたころのSONY社らしい機種と思います。

1978年発売の機器ですので、便利機能と言われるキューサーチや、オートリバース、マイクミキシング、電子操作などは無く、基本的なカセットテープ装置とAM/FMラジオの組み合わせのオーディオです。アンプは前段トランス付のOTLです。CF-6500とは全く同じ構造の機種ですが、両サイドの木目パネル、スピーカーのサランネットなど、ちょっと高級オーディオ気分を出しています。

 

レストアのテクニック

この頃(1978年)の電子部品は今から見ると発展途上であり、電解コンデンサーや接点を持つスイッチ類、半固定抵抗など、部品の劣化はかなりあります。1981年以降の機種などでは、電解コンデンサーの劣化は現在でもそれほどひどくはありません。確かに定格も現在の物と比べると、1978年の物は耐圧電圧が低い、形状が大きいなど差が顕著です。1981年頃になると、現在の物と同じ定格や形状サイズになっています。1980年前後で電解コンデンサーは大きく進歩したように思えます。またスイッチ類も劣化は年数に影響するようです。しかし1981年以降のラジカセブームでの量産のためか、コストダウンの安物スイッチやボリュームも出てきます。むしろ1981年頃までの部品の方がしっかりしているかもしれません。劣化は使い方や保存環境次第でしょうか。半固定抵抗は、写真のような簡単な構造の物は年代に関係なくどれも劣化はひどいです。まずは交換が必要です。なお半固定抵抗ですので接点を動かく事は製造時以降は無く、動かさなければほぼ動いてしまいます。正常動作しているので交換は悩むところですが、経験として交換することを薦めます。なお、半固定抵抗への接点復活剤は最悪の行為ですのでやめましょう。

 

ラジカセの回路図はUSのWebサイトでは無償で入手もできますが、海外仕様でモデル名なども国内の物とは異なるものがあります。USなどでは、メーカーでの修理ではなくメーカーと提携した修理業者で行っているようで、サービスマニュアルが多く出回っておりCopy Rightもあまり問題にはなっていないようです。日本国内ではメーカーでの修理が基本でサービスマニュアルがあまり開示されていません。国内ではヤフオクなどで、他品との抱き合わせで有償で手に入るようです。

CF-6600の回路図はUSサイトでは入手できませんでした。USでは発売されなかったのでしょうか。今回類似の回路を探しましたが、CF-580が少し似ていますが、そのままでは使い物になりません。まあ、設計思想が似ている程度の利用になりますが、私には役に立ちました。

   

レストアが回路修理まで及ぶ場合は回路図が必要になります。各自それぞれ自分の技量と想像力との勝負でしょう。そうでない場合は、さっさと回路図を入手が必要ですね。

CF-6600はコネクターをほとんど使っていないことも驚きました。まあコネクターは大きなコストアップにつながりますが、コネクター無しでよく調整、組み立てができたなとも感心します。そのためか、筐体は内部フレームがあり、そのフレームで調整できるのは考えられています。テストポイントもありません。Headの信号を見るにはなかなか苦労します。

 

CF-6600には録音レベルの調整ボリュームはありません。最初は面食らいましたが、確かに昔SONYはソニオマチックとか何かの名前を付けて自動録音を売りにしていた頃がありました。それだけ、自動録音レベル調整回路(AGC)に自信があったのかもしれません。今回のCF-6600では右側だけのAGCの調整が半固定で行われます。これで左右のレベルを合わせて終了です。今回私が経験したように、全体にレベルが低く録音される場合などは、調整では治りません。もちろん元の回路の劣化なので治すのが当たり前ですが結構苦労しました。

SONYのAGC回路をいくつかの機種の回路図で確認しましたが、今回の様に片側CHだけ調整で左右を合わせる方式、半固定ボリュームで左右CHの入力バランスを変えるものなど機種に寄るようです。この辺も回路図が無かったので手探りで調べました。

 

CF-6600は木目のサイドパネルとスピーカーのサランネットが特徴です。高級感があります。

発売当時同じ性能のCF-6500IIが59800円、CF-6600が65800円との定価です。6000円の差ならCF-6600を選ぶと思いますが、1割の価格違いは結構重たいでしょうか。

レストアではCF-6600に圧倒的な価値があると思います。今回サイドパネルにニス塗りをしました。マホガニーの木目が見事に再生してくれます。上面のアルミパネルは細かい傷が出やすいし、40年も経つとアルミ独特のブツブツはどうしても出てしまいます。パネルは文字印字もあり磨くことはできませんが、アームやツマミなどは洗浄液に長く浸しブラシなどで磨くことで、かなり綺麗になります。この辺は、レストアの醍醐味です。しかし、まだ本格的な業者のレストアには遠く及びません。どうやっているのでしょう。おそらく大型の容器と専用の洗浄液や漂白剤などでかなり長期洗浄し、文字のレタリングなども治すToolを持っているものと思われます。この辺りはアマチュアには手が出せません。

  

 

チューナーのワイドFM化

ラジカセのFMチューナーに108MHzまでのTV音声受信機能が付いたのは1981年頃からの様です。おそらく当時はUSなどへの海外輸出も増え、USのFM周波数帯に合わせると日本ではTV音声受信と歌うと都合がよかったのでしょう。今日ワイドFMと称してAM民放局のFM放送への補間放送が始まり、現在では定着してきました。FMの方が音も良いですし、受信も安定しています。

1980年以前のラジカセを修理していていつも思うのは、ワイドFMへの対応です。SONYのSir-IIIはデジタル表示でカウンターで周波数表示しており、調整で92MHz程度まで受信することができました。CF-6600でも1MHz程度のずらしはできると考えていましたが、思ったより調整範囲が広く、ダイヤルの目盛りで2MHz分までずらすことが出来ました。これにより、チューニング最低で77.1MHzあたり、最高で93.5MHzあたりまで受信できるようになりました。ダイアルスケールを2MHzずれで読めばよく、使い勝手もそれなりに良いのではないでしょうか。レストアでは、オリジナルに忠実か使い勝手を取るかは悩みますが、私の信条は

博物館に飾るのではなく使って楽しむなので後者を選びます。

 

おわり