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インターステートハイウェイ40号は西はカリフォルニア州バストーから、東はノースキャロライナ州の海岸まで、アメリカ合衆国中南部を横断して走るロマンの道だ。
私ならロマン街道と名付ける。
しかしアメリカという国にはいくつも国を横断して走っているハイウェイが存在している。アメリカという国では、ロマンは一つではないのだ。

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横断を始めて4日目にしてはじめて、というよりも、アメリカに5回訪れて、はじめて、このロマンの一つに乗ることができた。
走れど走れど終わりのなさそうな高速道路。まわりは一面荒野。時々街の明かりが見えても、5分も走っていればまたもとの荒野に戻る・・・
そう、ロマン街道といえども、なんら他のハイウェイとはかわりないのだ。
自分が今東西を真っ二つにしているハイウェイの途中を走っているんだ、というその頭でっかちな発想だけが、この何の変哲もないハイウェイを「ロマン街道」にしたて上げているというだけの話だ。

ただ、考えてみれば、観光スポットなんてそんなものなのかもしれない。
ここはかつて○○戦争が起こった場所だ、とか、歴史的有名人がここに住んでいた、とか、ここであの有名な○○という作品が生まれた、とか、予備知識があって始めて成立する様なものばかり。
夜のハイウェイを黙々と走行していると、何のために横断しているのだろうか、とかふと原点にまで立ち返るような考えさえ生まれてくる。それでも、そんな事を考えてしまう事も旅の一環であると考えると、決して悪くはない瞬間だ。

いろいろな事を考えていると眠くならないで済む。真っ暗な中での運転でも眠くならずに運転できていたのはそんな他愛もないことを考えていたからだろう。
助手席のYは、目を離すと寝ていたようだが、さすがにこの車内での眠り癖も、朝から続けば寝疲れるのだろうか、その時は夜にもかかわらず起きていて、しばらくは何かをしゃべっていた。街を抜け、暗闇の中をどれほど進んだだろうか、道は急に狭くなりハイウェイらしからぬ車幅になり、さらに1車線で対面走行に変わる。眠気どころの話ではない。前後は大型のトラックがブロックし、対向車線も、日本でなら車内では間違いなく演歌を聞いているだろう、と勝手な想像をしてしまう装飾の華やかなトラックがびゅんびゅん行き交っている。荒野を移動するバッファローの群れの中に紛れ込んだ羊のような気分だった。必至にバッファローたちに食らいつき、地獄の対面一車線を抜けると、次に待ちかまえていたのはオイニー・サイクー・エリアだった。

オイニー=におい、サイクー=くさい
勝手な早合点をしたYがしきりに私に非難の罵声を浴びせた。私も私で身に覚えがないにも関わらず、あれだけサイクーだと、漏れたのかな、とも思うので不思議だ。
ただ、さすがにあれだけ長いことサイクー時間が続くとオイニーの原因が私ではないことはわかる。しかもいくらおならが絶好調でも、あそこまで人間離れした強烈なオイニーを放つことはできない。あれは明らかにヒト以外のオイニー。真っ暗で何も見えなかったが、おそらく農場または牧場エリアを通過していたのだろう。

結局、オイニー・サイクー・エリアを抜けぬまま大きな街に出た。
大きな街なのにオイニーサイクーとはこれいかに、と謎かけでもされた気分だったが、都心部に入っていったらそれなりに消えていった。
「それなりに」というのは完全に消えたわけではないからだが、それは臭覚を通し脳裏にこびりつけられた残り香なのか、いまいち説明がつかなかった。
時間は夜9時。インターステート40に乗ってから1時間半程度。
まだ行こうと思えば粘れる時間だったが、まだ夕食を食べていなかったし、レストランがしまってしまう恐れがあったので、結局その街で宿探しをすることにし、いったん40号を下りた。


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しかし、時間に余裕を持ってハイウェイをおりた割に様子がおかしい。
ことごとくレストランがしまっている。何かの感謝祭とかそんなイベントと重なったのだろうか、とか思ってもいたが、平日だったし、そんなはずはないよなぁ、と一人納得する。ふと、同じような感覚を他でも感じた事を思い出す。そう、またしても同じミスをしていた。
このときもやはりラジオのDJが話したところで判明した。
「10時より○○をお送りします」
10時?
今回はすぐに合点した。
また時差線をまたいできていたのだ。

時差線。
こればかりはいつまで経っても慣れない感覚だった。
単に西から東へ移動してきただけで、いつの間にか一時間無くなっているのだ。非常に損をした気分になる。
とはいえ、無くなったものを取り返すには来た道を戻らなければならない。そして戻った頃はもっと失うことになる。絶対に次ぎ行くなら東から西が良い。
ひとまず無謀な堂々巡りについて考えるのは止めて、ホテルを探した。なるべく安く、といっても治安が良さそうなところで探し、妥当と思われる宿をみつけた。DAY’S INN。一泊二人で50ドル。水道が壊れていて直してもらうというハプニングがあったことを除いては何の問題もない宿だった。

結局、外にレストランを探しに行くのも面倒だったので、宿の近くにあったガソスタの売店でターキーサンドイッチなど飯になりそうなものを買い込んで宿に持って帰り、つつましやかな夕食とした。
前回の縦断の時は、夕食も何もこればっかで、うんざりだったが、今回は、一回くらいはこんな夕食でも良い、とすら思える心の余裕があった。
もっとも丸一日の運転で疲れていたから、というのも原因だろう。
Yが風呂に入ってしまったので仕方なく一人で売店で買ってきておいたビールを飲むと、TVを見ながらいつの間にか寝ていた。


to be continued