最近1型糖尿病関係のブログとかを色々見ていて言葉の問題で色々と考えさせられる事がありました。

1型糖尿病の良好な血糖コントロールに、残存インスリン分泌能が大きく関係している事は、いくつかの研究結果によって明らかです。
残存インスリンが少ない人ほど、より細かな血糖コントロールを行わないとHbA1cの値を目標値に近づける事が出来ないのは事実でしょう。

日本糖尿病学会が2013年6月1日にHbA1Cの目標値を

血糖正常化を目指す際の目標 6.0未満
合併症予防のための目標   7.0未満
治療強化が困難な際の目標  8.0未満

と発表し、自身の現状からいずれかの管理目標を担当医と話し合って、それぞれが取り組んでいると思います。
目標をクリア出来れば、「よく頑張っていますねこのまま続けましょう」となるだろうし、クリア出来なければ「○○と△△に注意して頑張って行きましょう」の様な会話を担当医と話す事になると思います。

さてここで、「目標値を8.0未満」にしたと仮定し結果が出た時にその結果から、

となるのでしょうか?
何かおかしいですよね。
そもそも「目標値をクリア=頑張った人」では無いはずです。


元々が細かい性格で行いがきっちりしてる人であれば、そんなに頑張らなくても目標値をクリア出来た場合もあるだろうし、考えて考えて一生懸命努力して目標値をクリアした人も居ると思います。

残存インスリンの関係でクリアしやすい、しにくいとかも現実問題として関係してくると思います。
血糖値のコントロールは複合要因が関係するので同じ頑張りであっても料理やスポーツと同じ様に人によってものすごく差が出てしまう様に思います。

また、ものすごく頑張っていても、要領が悪かったり、状況が悪かったり、知識が無かったり色々な要因で目標値をクリア出来ない場合もあるかと思います。
人それぞれ状況はみなさん違ってきます。

なので、ここで「頑張った」や「頑張ってない」を使うのは適切では無いと思うんです。しいて書くならHbA1Cは過去何ヶ月かのコントロールの結果なので、


の方が良いかなと思います。

ちゃんと病院に行って、医師の指導を受けてそれを実践している時点でその人たちは頑張っています。
一定期間毎に病院に行けてない人でもそれ以外のもっと大きい心の問題か何かで悩んでる場合もあるかも知れません。
その人の場合も頑張ってないとは言えません。
なので「頑張ってない」人はゼロでは無いかも知れないけどほとんど居ないと思うのです。
さっきの例に頑張ったを無理矢理付けると、


となりますが、これだったら前回の表現の方が見やすいですよね。

この記事は、あるブログ記事が見る角度によって本来とは全く違った取り方が出来てしまい、違うと思う方がリレーゲームの様に拡散して行くのを見ていて、言葉の書き方は難しいなと思った事がきっかけになりました。

私たちも気をつけなければいけませんが、医療者の誤った指導も根底にある様な気がしています。

言葉とは難しいですね。