深町秋生著/果てしなき渇き

映画を見たあと、気になって原作を読みました!重い題材なので気分が悪くなる話だったけど、ひたすら考えさせられるというか、答えなんて出ないんですけど。とにかく読んでよかったとは思いました。これに似た世界がすぐ隣に存在する可能性について、無視できない。また、デビュー作と思えないほどの圧倒的文章力です。深町秋生先生の本をもっと読みたい。



伊坂幸太郎著/仙台ぐらし

私は伊坂さんと同じく仙台に住む者なので、小説もそうですがエッセイなんかは特に、すぐに場所が思い浮かぶのも楽しい。いつか遭遇できないかなーと妄想しながら街を歩いています。



金原ひとみ著/星へ落ちる

すごくいい意味、世界観という意味で、金原ひとみワールドは常に似て非なるところがいい。似てというか酷似してレベルなんだけど、どうせ話も似たような感じなんでしょ!と思う読者がもしいたとすればそれは必ず裏切られる。世間では蛇にピアスのイメージが強いとは思いますが、一作目を超える面白さの本もたくさんあるので、また映画かとかもされて話題になってほしい。


金原ひとみ著/ハイドラ

もうなんども読んでいますが、金原ひとみ作品の中で一番好きな話です。迫り来る現実。そしてラストシーン。私は時計が逆に回り出すことを祈りながら本を閉じました。


金原ひとみ著/アッシュベイビー

かなり残酷な話なんですが何故かポップに読める不思議なストーリー。主人公が部屋の中でうさぎを振り回して殺すシーンでいつも何故か笑っちゃいます。フフッて。何故か、というのが本当にしっくりくる。残酷なのに、猟奇的な感じとか、病んでいる感じとか、犯罪の重い感じとかを、臭わせない。ロリコンとか小動物殺しとか現実にあったら即逮捕ものなのに、何故か読んでいて考えさせられたり息の詰まる思いをしたりしない。不思議…!ある意味どこか爽快ですらある。






吉川トリコ著/こんな大人になるなんて

全大人が読むべき一冊ですね。大人になってしまった切なさや悲しさや強さやいびつな美しさなんかを実感しました。この本で。
大人って嫌だなあと思う反面、捨てたもんじゃないなあとも思う。歳をとるって悪とされがちだけど、けっこういいもんだよね。



川上弘美著/蛇を踏む

ずっと読みたくて、やっと読みました。山あり谷ありの話ではないのに、はちゃめちゃにおもしろかった…!
蛇を踏むとか、蛇に取り憑かれるとか、別の本だけど隣の家にクマが住んでいるとか、そのクマとピクニックに行くとか、川上弘美ワールドは素晴らしい。住みたい。住みたくて仕方ない。


三島由紀夫著/美徳のよろめき

読むのは二度目です。言わずと知れた不倫の話なので、共感できるかといえばそこはノーですが、三島由紀夫って本当に女心を描くのが上手いなあと思う。日本語の美しさはもちろんとして。

精神を凌駕することのできるのは習慣という怪物だけなのだ。あなたの男も、この怪物の餌食なんだよ。もっとも人生においてそれはそんなに恥ずべきことじゃない。あなたは必ずしも敗北者ではなく、男は必ずしも勝利者じゃない。(p.135)

こんな名言がさらっと飛び出すのがまたすごい。



寺山修司著/家出のすすめ

私が持っている本は古いものなので紹介したカバーとは違いますが、中身は同じだと思われます。幾度目かになりますが読みました。
寺山修司先生が提唱する「親を殺して故郷を捨て、家出しろ」という理論。(もちろん本当に親を包丁で刺し殺して夜汽車で東京に向かえと言っているのではありません!)
大人になってみるとつくづく、一人暮らしをしたり、精神的に自立するために、心の中で親を殺して良かったと思います。親を殺して初めて、親と対等かついい関係を築き直せるというものです。無論いつまでも親と子ですが、赤ん坊から育ったままの親と子の関係でいたなら、自分は大人になれない。寺山修司先生はいつの時代も若者にそれを教えてくれるのですね。



沖方丁著/十二人の死にたい子どもたち

映画化されたこともあり、本屋のポップやネットや周りの評価でハードルが上がりに上がり切ってしまっていたので、個人的感想は「ふつうに面白かった」です…!ラストもあのように終わる以外なかったかなと思う。意外性はあまり…。そして、設定が面白いからなおさら、あの人があの人を連れてきた理由をもっと明確に納得できるよう書いて欲しかった…!あくまで個人的にはひと押し足りなかったかなと感じました。
でもなにを面白いと思うかは人それぞれですし、各々が生について考えるきっかけになるお話です。




(次回につづく)