まっすぐ家に帰りたがる肉子ちゃんを誘って、漁港に行った。肉子ちゃんは、寒い、太ってても寒い、と駄々をこねたけれど、聞いてあげなかった。


「めっちゃ海やなぁっ!」
「何その感想。」
私は、海の溝を見た。青から、もっと強い青になっている場所を見た。きっとイワシが渦を巻いているのだろう。私は、自分がイワシの渦に突っ込んでゆくところを想像した。
(p.323)








西加奈子先生の「漁港の肉子ちゃん」読みました!今日はリアルタイムで読んだ本の紹介です。


ずっと読みたくて、買ってから楽しみに楽しみ楽しみにしていて、でも常に読みたい本を何十冊も抱えている私なので、ようやくたどり着いたという感じです。ほんとうに面白かった。


これはとある親子のお話なんだけど、もう、キャラクターが立ちまくり。それ以上なにを言っても蛇足になりそうで言えない。登場人物のみんながほんとうに愛しくて愛しくて、幸せな気持ちになります。


舞台となった漁港は、宮城県の石巻をモデルにしているそう。潮のにおいがしてきそうなくらい、描写が綺麗で、私もこの町の住人になりたいなあと思ってしまった。小学生みたいな感想しか言えない。


でも、大人になっても、こうやって読みながらワクワクできる、時間を忘れてページをめくってしまうような本に出会えるのは最高に幸せなこと。物語って素晴らしいな〜。



折に触れて大切な友達や家族に本をプレゼントする私ですが、これはすぐにでも誰かにあげたくなっちゃう一冊です。