読書日記としては記念すべき初投稿です!


(引用や本編のちょっとした紹介などありますのでご注意ください)


今日読んだ本はこちら。







窪美澄先生の「晴天の迷いクジラ」


ずいぶん前に読んだ「ふがいない僕は空を見た」が私と窪作品の出会いだったのですが、その時はまだ若すぎて登場人物たちに感情移入できず(今にして思うと単なる同族嫌悪)、特に好きな作品になるということはなく…


でもその数年後に「さよならニルヴァーナ」を読んで、こちらは心に突き刺さりました。何日も何日も余韻が抜けずに、暇さえあれば脳内で物語を反芻して、深く深く考え込んでしまうような、そんなお話。ふとそのときにもう一度、「ふがいない僕は〜」を読んだんですね。そうしたら感じ方が全然違って。一度目のときの自分がいかに狭い視野しか持っていなかったかを思い知りました。


どちらも大好きな作品なので長くなりすぎないためにあえてざっくり終わらせますが、とにかくふたつとも心に残る話だったので、これはもう窪作品にハズレなしだと確信して今回も読み始め…
やっぱり期待通りでした!(これを言いたいための長い長い前置きだった)




なんていうか、詳細なところは違っても、だれもが人生で一度はぶつかるような大きな大きな壁ってあると思います。たとえば十代なら家庭のこと、二十代なら恋のこと、三十代なら結婚のこと、五十代なら人生のことなど。適当に論っただけなので、どの歳にどの内容でもいいんです。


そんなだれにでもどこにでもある、いつでも起こり得ること。そのくせに超えるのは命懸けな非情な壁を前に、ついにそれぞれの生を放棄しようとする三人の主人公たち。


でもあるひとつの目的を達成するために、彼らは運命の流れるまま、同じ道へたどり着くのです。




「私たちクジラを見に行くんだけど、いっしょに行かない?」
 クジラってなんのことだろう、と思ったけれど、疲れきっていて、とにかく今すぐ横になりたかった。頷くと、後ろのドアが開いたので、後部座席に乗り込んだ。
(p.298)



三人目の主人公、正子ちゃんがふらふらと朝方の国道沿いを歩いているとき、野乃花社長と由人くんの乗った車と出会えて本当によかった。
とりあえず生きていればなんとかなるよねって、信じたくなりました。


いま生きるのが辛い人も、以前辛かった人も、いまのところまったくそんな経験がない人も、必ず感じるものがあるはずです。
ぜひ一読を〜!!!