たとえば、生徒が間違った答を書いたので、
正しい答の導き方を僕が説明するとします。
「ここは●●で▲▲だから、■■を使って……」
その説明の最中に生徒が声を上げます。
「あっ、解けた!」
そして、解答欄に答を書き込もうとします。
このタイプの生徒に対して、僕は激怒します
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「『解けた!』じゃねえよ!
どうして僕の話を最後まで聞かねえんだよ!?」
家庭教師を依頼してくる生徒の多くは、
「他人の話を最後まで聞けない」
という非常に厄介な問題を抱えています
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このタイプの生徒は、
僕が理由も含めて解法を説明しているのに、
問題を解く上で必要な箇所だけ聞いたら、
他の説明は無視して自分の作業を始めます。
それも、僕に一切の断りもなく、です。
もちろん、「説明が長い」「つまらない」等、
生徒の側の言い分があるのも理解しています。
そういう生徒の要望に応えるべく、
「説明は短く簡潔に」ということも
教育業界ではしばしば言われます。
しかし、問題の本質を考えたとき、
指導者の側が生徒に阿るのは果たして正しいのか?
大人が子どもに合わせるのではなく、
子どもが大人に合わせることが大切だ!
僕は常日頃このように考えています
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これは「僕の話を聞け!」というよりも、
「学校の先生や保護者等、
他人の話を最後まで聞け!」
ということを意味しています。
先生や保護者の話が
どんなに長かろうと詰まらなかろうと、
それを最後まで聞く姿勢が大切なのです
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こういう姿勢が身に付いていない生徒は、
学校の授業でも先生の話を無視してボーっとします。
大事な箇所を聞き逃して勝手に混乱した挙句、
「あの先生は分かりにくい!」と文句をつけ始めます
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先生の話が分かりにくいのではなく、
そもそも先生の話を聞いていないから
何もかもが分からなくなってしまうのです。
また、このタイプの生徒が言う
「分かった」も当てになりません
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僕が「分かったの?」と聞いて、
生徒が「分かりました」と応えます。
そこで僕は生徒に言います。
「じゃあ、今僕が言ったことを説明して」
そうすると、生徒は、
僕が言ったこととは全く違うことを言います。
話をしっかり聞いていないからこうなるのです。
他人の話を最後まで聞けないというのは、
自己中心的な性格の表れでもあります。
とりあえず自分の作業を中断して
他人の話に耳を傾けるということができないのです。
これが、成績が低迷する原因でもあります
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他人の話の聞き方を生徒に身に付けさせることがとても大切です。