大人しく香苗の後をついていった場所は、何故か同窓会の受付だった。訳が解らない。

「えっとね、そ・・・・・爽太は今日会った人はだいたい覚えてた?」

何だ、ただ俺の名前を呼ぶためだけに随分とためらっている。珍しい。

「名字だけならな」

「そう、・・・・なら、ちょっとあの娘を頼んでいい?この同窓会に来てるってことは同じクラスに間違いはないんだけど、私も皆も覚えて無いみたいで・・・。ねッ、お願い!!」

「・・・・あのさ、誰も覚えて無いって嘘じゃないのか?誰か一人くらい仲の良かった友達とかいるだろう」

黙って俯く香苗。そんなに考え込むことなのかコレは。適当に皆の輪の中に入れて、適当に話させとけばいいんじゃないのか?そうすれば、仲の良かった友達も見つかるだろう。

まぁ、仮に昔の友達がいなかったとかなら、そこはまぁ、『大人の対応』ということでいいんじゃないか?

「・・・・・・・だよ。爽太に・・・け・・・・だから、―――」

「おい、どうしたんだよ。大丈夫か、香苗?」

いつの間にか震えている肩にそっと手を置いた。この震え方は泣く、よりも我慢の方だ。ゆっくり彼女の顔を覗きこんでみると、両目はきつく閉じられ、さっきまで潤ってキラキラしていた唇が色を失くすほどに強く噛み締められていた。

酷いかもしれないが、ソレを見たときまず思ったのは「おもしろい」だった。だって、香苗はいつも・・・こう言っては悪いが、不気味なくらいニコニコしていた。まぁ、さっきみたいなジト目とかなら何度も見たことがあるが、こんな風に何かに対して、感情を露わにするのは初めて見た。

でも、次に顔を上げた時は、いつものあのニコニコが貼り付けてあった。

「うん、大丈夫だよ。ありがとう。じゃぁ、あんまり説明できてないけどあの娘のことよろしくね。たぶん、爽太なら何とかなると思うから。あと、あの娘が皆と話したいって言ったらさっきの場所に連れてきてね」

この場面に会話など存在しなかったと俺は思う。そりゃあ、「え?」とか「ちょっと、待てよ」とかはあった。でも、香苗はそれを一切聞かず・・・というか聞いてなかった。そのまま、一方的に用件だけ喋ってまるで俺から逃げるように走って行った。

香苗の存在は小さいはずなのに、俺の隣にあったものが抜け出した感覚はとても大きかった。



まぁ、とりあえず俺は香苗のいう「あの娘」とやらと上手く会話をして、良いように皆の輪に入れてやれば良いと。

うん、面倒くさい。

まず、香苗も何で俺を選んだんだよ。俺みたいな半端な奴より、あの、何て言うんだ・・・そう、クラスにいる「マジきも~い」とか言われている男女にも、光輝く手を差し伸べることができる奴だ。あー、簡単に言うと香苗の男verみたいな奴だよ。人選間違っているだろ、絶対!!

そうやって、あーだこーだ考えながら、俺は未だに未練がましく香苗が去っていた方を見ていた。背後から、忘れたくても忘れることができない「あの娘」が近づいていたことに気付かずに。



――――――――――――

どうも、また短くてすいません。何か色々あって予定が・・・・です。

苦味 ももう少し続きます。読んでくださっている方々本当にありがとうございます!!

あ、あと批評でも感想でももらえたら嬉しいなー・・・・すいません

で、ではまた次の話にーノシ

久し振りに会う同級生は新鮮だった。そう、それだけだった。

放課後とかにずっと馬鹿やって遊んでいた野郎共、休み時間にからかったり話したりした女子。でも、皆どこか落ち着いてやっぱり『大人』になっていた。そりゃあ俺だって、もうちゃんと仕事に就いてそれなりに上手くはやっている・・・はずだ。

でも、他人の変化というのは自分のそれとは違い見ただけで分かる。

特に女子。おい、どうした女子。女子の『子』をどこに置いてきた、『女子』から『女性』に進化してるじゃないか、おい。俺は別に社交的じゃなかったとか、学生時代むちゃくちゃ暗かったとかコミュ障だったとかじゃない。どちらかというと明るく、クラスの真ん中でよく喋って皆を笑わす、『人気者』(?)だったはずだ。

だけど、どうだろう、今少し動揺してしまった気がする。よし、昔みたいに明るく、皆の輪の中へ行こう!!




タイミングが悪かったみたいだ。今は話したいけど話したくない人に見つかったらしい。

「あ、爽太~久し振り。元気だった?」

声を掛けてくれたのは嬉しいけど、香苗は声がでか過ぎる。

でも、まぁ昔一時でも自分を思ってくれた人に冷たくするわけにもいかないから、うん、笑顔で応えておく。

「うん、まぁまぁかな。にしても香苗はまた可愛くなったよなぁ」

挨拶替りに香苗の頭をワシャワシャ撫でてやる。

さっきも言ったが香苗は可愛い。顔立ちも幼くて、身長も俺の肩と同じくらいで、とても同級生だったとは思えない。だから、香苗に告白された時は妹に告白されたみたいで、得体の知れない罪悪感が俺を襲った。

「・・・爽太は全く変わってないよね。女の敵だよ」

やめろ、そのジト目。

「はいはい、女の敵ですよ。で、用件は何?」

だいたい香苗が『爽太~』と太の後をのばすときは何か用件があるときだった。それは今でも変わらないらしく、ちょっと顔が引きつっている。

「うん、ちょっと・・・・この輪から抜けてから、ね」

俺は大人しく華々しい輪から抜け、彼女の後をついていった。




――――――――――

中途半端なところで切ってしまい、すみません。

あと、多くて3話くらいつづくつもりです。お付き合いください!!

また、批評でも構わないのでコメで感想・評価をくださると作者として大変ありがたいです。


では、ありがとうございました






架空の世界で知らない人と話す――――――

それは、私にとって案外楽しい事だった、今も昔も。その、昔に「知らない人と、何を話すのか」聞かれたことがある。その時の私は何て答えたんだろう・・・たぶん「特に、適当に思った事とかを・・・・」だとか言ったんだと思う。まぁ、実際はその時の気分で即興の話を自分で作って、「ね、鬱陶しいよね」とか「でもさぁ~××は、――」だの話し続けていた。こちらの日ごろ溜まった鬱憤を愚痴として話すのもおもしろかったし、向こうの話を聞くのも知らない世界に飛び込んだ様で、とても楽しかった。それに、・・・・まぁ、これは自分の中に仕舞っておこう。

と、まぁ、私はその『架空の世界』にどっぷりとはまってしまったんだ。

今だってほら、電車に揺られ、イヤホンをして機械的な音を聞きながら画面の向こうの人と会話している。この人とは確か・・・5年間こんな感じだ。確か相手は自分を『男』だと言っているが本当はどうかなんて解らない。けど、そんなの関係ない。ただ、お互いに自分の周りで起きた事、思った事、とか愚痴りたいだけだ。まぁ、向こうの本心なんて私には分からないけど。

それにしても、ちょっとしたパーティドレスをした女性が一人で、パソコンを抱えたまま真顔で何かを打ち込んでいる、って他の人から見たらどうなんだろう。やっぱり、『うわ~電車で何やってんの、しかもその恰好で・・・』とかかな、それはちょっと傷つくな・・・いや、自覚はしてても、うん、やっぱ思い出しちゃう。できれば、思い出したくないけど。

別に直接イジメにあったわけではない。学生時代を過ごしていたら、大抵の人が一度はある事だと思う。特に私みたいな『暗くてまじめで特殊な趣味を持つブス』は。

そんな事を思って、『架空の世界』を少し放置していたら、画面の向こうの『彼』は随分とワタワタしていた。こんな事でも、私には微笑ましく感じる。病気だろうか・・・

しかし、私は、今、何故こんな状況になったのか自分でもよく解らない。いや、私がした行動は覚えているから「お酒に酔って・・・」とかでは無いと思う。だけど、その時の『感情』を覚えて無い。「そんな、感情なんていちいち覚えてるわけがないだろう、馬鹿じゃないの?」うん、私の友達はそう言うし、私もそう思う。でも、はっきり言ってもう、思い出すのも嫌だった同級生達に会いに行く、というのは何かしらの感情がないとできない事のはずだ。

うん、覚えて無い。

まぁ、このところ勤めている図書館が改装だの、新人の教育だとかで色々疲れていたのは事実だ。だから、一緒に届いた郵便物と同じ様に、『同窓会の案内』を適当に参加するに丸を付けた、っていうのも可笑しい話では無い。でも、まぁ、もしそんな事ならこんなに考えているのも馬鹿らしくなる。

でも、やっぱり行きたくない・・・な。

あ、一つ注意することなんだが、基本的には私心の中ではもの凄く優しい言葉遣いだが、普通に口に出して喋るのならば、とても女子とは思えない位の汚さで喋るから、騙されぬよう。

行きたくないなら行かなければ良いじゃないか・・・・あと一駅の時点でそれを考えた私って阿呆なのだろうか。うん、阿呆だ。

今回、私が参加する同窓会は、私にとって一番嫌いだった人達が集まり、一番大好きだった人達の集まる会だ。

良い思い出?あったんだろうか・・・

よし、『彼』もやっと落ちたところだしそろそろ、パソコンをしまおう。(さっきから、五月蝿くて鬱陶しかった。)

あ、あったいい思い出。下手に夢を見ずに済むようになった。これは、今でも良かったと思ってる。・・・思ってる。

けど、この震えは取れてくれない。もう、何年も。あの人達が私の頭の中を駆け回るとき、瞼の裏で笑うとき、いつもいつもいつも―――

あーあ、今度こそ大丈夫だと思ったのに、本当に。

でも、今行かないともう行くこともないだろうし、決着をつけることもなくなるだろう。そうなれば、私はずっとこの街に近づくたび、あの人達を思い出すたびに震え怯え続けることになるんだろう。

そんなのは、私のクダラナイ『プライド』というものが許さない。もう、錆びきってボロボロで今にも崩れ去っていきそうなのに、まだ私の中で動こうとしている。

でも、そんなものさえも自分で崩して壊すのが恐いから、崩して壊した後に何も残らないのが恐いから、崩されて壊された後の自分が恐いから、ずっと触れず、触れさせずに守っていた。今も昔も。

だけど、そんな風にいつまでも・・・大人になった今でも大切に抱えながら震えているのは、何かもう、嫌だ。

だから、ほら、もう行こう。

必要な物を入れた服装とは不釣り合いなトランクを持って、こけないようにゆっくりと歩いていく。

8年振りの街へと――――――


「――ね。―――の――ミングで・・・・・・・くじらが合――分かった!!でも・・・・大丈――だよ」


何だ、あいつらの声か?あぁ、また寝たのか俺は。全く、ここ最近おかしいぞ俺。決して睡眠不足というわけではないはずだ・・・同級生達とは違い、遅くても12時には寝るように心掛けている。理由をつけるならば・・・そうだな、『睡眠不足はお肌の大敵よ!!』いや、これは本町が言っていたことだ。

いやいや、今はそんなことはどうでもいい。今、俺が気にするべきなのは、俺の置かれている現状のはずだ。まぁ、桜峰はどうかわからないが、他の奴なら長年一緒にいたからか、大抵の行動パターンは分かる。この場合、あいつらは何か悪巧みをしているはずだ。

基本的に俺はいつも仕掛ける派なんだが、本町が指示を出しているとなると・・・


「いくよ―」


『せーのッ!!!』―――――ぱっし――――ん!!


・・・・・・・・・・・痛ってええええええええええええ!!!

そう、心の中で叫ぶ。痛さで声が出ないのだ。例えるなら・・・そうだな、誰もが一度は経験した事のあるあの、本棚の角で小指だけを打った後の様な何とも言えない痛さだ。声も出ずに、ただひたすらに打った小指を押さえ続ける。それの頭バージョンだと思ってくれればいい。想像するだけでも、痛いと思うのだが・・・


「あーあ、ホームズったら情けないなぁ。声も出ないのかい?」


よしくじら、たった今お前の処刑が確定した。たぶん、主犯は本町のはずなのだが俺は女子を問答無用で怒鳴りつけたり、叩いたりするほど外道ではない。・・・やったとしても、チョップ位だ。小さい頃は、自分より背の低い女子によくやってたな。本町にも・・・・あと、・・・あれ誰だっけ?まぁいいか。


「あの、足山君。何か・・・・ごめんね?」


「桜峰、謝るくらいなら最初からするもんじゃないぞ。あと何で、謝罪が疑問形なんだ。そこは、普通に謝れよ」


俺のツッコミを苦笑いで返した桜峰よ、右手にあるスリッパは割と本気の力で握られているぞ。お前、大人しいキャラじゃなかったのか。いや違う、人は見た目で判断してはいけない。くじらがそのいい例だ。同じ男子として何度、『もったいない』とおもったことやら・・・・・学習すべきだな、俺も。

だが、別に謝られても許すわけではない。特に―――


「本町ーかくごぉ~~」


と、間延びした声を上げながら俺は素早く手元に置いてあった週刊誌(くじらの物)を丸め、本町の頭に叩き込む。まぁ、力加減はちゃんとしている。一応は女子だからな・・・って本心は違う。ちょっとでも力を入れると後々面倒なことになる、ただそれだけだ。

それでも、本町にとっては痛かったらしい。顔が引きつった笑顔になっている。これは本町の機嫌が悪いときのサインだ。怒っている・・・いや、違う。俺に一本取られたことが癪なだけだ。全く、プライドの高い奴はこれだから困ると、くじらに身振り付きでアピールをしてみるが、奴は困ったように首を横に振るだけだった。どうやら奴には、他に興味のあることがあったみたいだ。


「ところで桜峰さん、さっき何で泉美を助けなかったのかい?俺は今、そっちに興味があるんだけど・・・」


お、どうやら奴はまだ桜峰を自分の中で認めてないらしい。その証拠に奴は、自分自身の一人称を『俺』にしている。くじらは基本、自分の認めた奴の前でしか一人称を『僕』としない。つまり、奴に認められてない人間は奴の一人称は当たり前のように『俺』だと思い込んでいる。まぁ、どうでもいいんだが・・・。俺はこの事実を知った時、唖然とした。自分の幼馴染は何て面倒くさい人間だったんだぁー、と妹に愚痴を聞言ってもらったのを今でも覚えている。

余談だが、「何故、俺と本町は最初から『僕』で接してきたんだ?」と聞いたら、奴は無駄にイケメンな顔で微笑みこう言った。


『君達には、最初から僕には絶対に手に入らないものを持っていたからね。認めたくなくても、認めざるおえなかったんだよ』


つまり奴は、本当は認めたくないないけど仕方無いから認めてやった、っていう事だ。その言葉を聞いた時俺は、ムカついたり怒ったりするよりも呆れてしばらくその場を動けなかった。

そして、その不思議な『くじら合格ライン』に桜峰はまだ認めてもらえてない。いや、別に認めてもらわなくても構わないだろう、桜峰は。

俺が頭の中で、いろいろとネジを繋げている頃、桜峰が微笑みながら口を開いた。


「えーと、何ていうのかな・・・直感かな。足山君は手加減が必要な時にはちゃんと手加減してくれるような人だと思ったからかな。・・・・あれ、これじゃあ説明になってないね」


うん、説明になっていないぞ。ほらみろ、くじらと本町が顔をしかめている。勿論、俺もだ。

いやいや、いつまで微笑んでいるつもりだ、察しろ。お前が何か言わないと、こっちも何も言えないんだから・・・。そして、困った様に微笑んだままこっちに視線を送るな、頼むから。


「桜峰、先に言っておくが、俺がこいつに手加減したのはたぶん、お前が想像している様な理由ではないぞ。」


今日に限って、どうしてこんな面倒くさい話題になるんだ、くじらよ。視線を送ってやるんだから、反応くらいしろ。そして、本町よ。睨むな、怖いから。


この話題は絶対長続きするんだろう。帰ってこい、穏やかな話題よ・・・ハァ。





えーと、テストなんで1週間くらい小説更新できませぬ汗


はい、それだけですてへ


では、失礼します( ・д・)/--=≡(((卍