最近の犬は六本足なので
「昆虫」と呼ばれているらしい。
目が合って唸られたら
すぐに逃げなければならない。
噛み付かれると死んでしまう。
道路の向こう側で
昆虫のミニチュアダックスフンドが
私を見ながら唸っている。
やばいかな~?
大丈夫だろう。
なんとなくそう思い、
ぼんやり立ち止まっていると
ダックスが奇妙な動きで
こちらに向かって走ってきた。
あ。これはやばいな。
私は全力で逃げた。
あいつに噛み付かれたらアウトだ。
逃げ切らなければ。
走って辿り着いた先は広い駐車場だった。
誰もおらず、整然と車が停められている。
いつのまにかダックスはいなくなっていた。
私の車は何処だ。
どこに停めたか思い出せず探していると
車の陰から何かが飛び出してきた。
六足歩行の犬。
またしても「昆虫」だ。
今度はチワワか…
チワワが私を見上げて
けたたましく吠えている。
とてもうるさい。
アラーム音のようだ。
そうして私は布団から起き上がり
目覚ましのアラームを止めた。