「韓流ビデオを売ったら死刑」金正恩氏が取り締まりを強化

北朝鮮当局は、韓流ドラマ・映画をはじめとする「不法映像物」に対する取り締まりを強化し、違反に対しては死刑を含む厳罰で臨む方針を示した。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋が、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に語ったところによると、当局は最近、人民班(町内会)、工場、企業所の会議を通じてこのような方針を住民に通告した。

不法映像物の国内搬入と視聴はこれまでも「非社会主義行為」「資本主義黄色文化(いかがわしい文化)」として処罰の対象だったが、今後は反国家的行為と見なし、スパイ同様に厳罰に処すという。最高で死刑になりうると情報筋は説明した。

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当局は、このような方針を伝える講演会を先月中旬から開催しており、参加した住民らに不法映像物の搬入・流通・視聴により摘発された場合にはいかなる罰も受けるという内容の誓約書まで書かせ、サインさせている。

適用が始まったばかりの重罰化だが、北朝鮮当局はこの種の規制の施行直後に、見せしめとして銃殺を含めた重罰を下すことが多い。そのため、人々はたとえ親しい友人と一緒の場でも、このような映像を見るのは控えているという。

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両江道(リャンガンド)の情報筋によると、この方針は、国家保衛省(秘密警察)が発案し、中央が批准して実施された。


以前なら、海外の映像を見た者は1~2ヶ月の労働鍛錬刑(軽犯罪者を収容する刑務所送り)、流通や販売に加担した者は3~5年の教化刑(一般の刑務所送り)が「相場」だった。

しかし、反国家的行為扱いとなった今では、映像を見ただけで5年以上も教化所に入れられることになり、流通や販売を行えば政治犯収容所送り、または死刑になる。


12人を逮捕、2人銃殺


もっとも、このような重罰は今に始まったことではない。

両江道では2014年8月、違法映像物搬入罪で夫婦を含む6人が銃殺された。


根絶は不可能


また韓国のNGO・自由北韓放送によると、2013年には韓流ドラマやAVのソフトを持ち込み、流通・視聴した容疑で12人が逮捕された。恵山飛行場で開催された公開裁判において、2人に銃殺、6人に労働強化刑の判決が下された。残る4人は「反省しているので、党の配慮で許す」として釈放されている。

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北朝鮮では若者を中心に韓流ドラマ、映画を見るのが当たり前になっており、今さら取締を強化したところで、「韓流根絶」は不可能だ。

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それにもかかわらず、保衛省が韓流取り締まりを強化したのは、次から次へと摘発して、釈放や減刑と引き換えに、容疑者本人や家族からワイロをせびるのが目的である可能性がある。