消費税アップでハケンが急増するぞ!

(日刊ゲンダイ2013/10/26)


消費税アップによってハケン社員が急増する――という懸念が浮上している。消費税率が3%から5%にアップした後も、非正規雇用が急増しているのだ。

企業が納める消費税は、販売先から受け取った「受取消費税」から、仕入れ時に払った「支払消費税」を差し引いた額を納税する。
たとえば仕入れに100万円を使った場合、支払消費税は5万円、売り上げが200万円なら、受取消費税は10万円だから、納税額は5万円になる。

ポイントは、企業にとってハケン社員は経理上「仕入れ」扱いになるため、ハケン社員を増やせば増やすほど、納める消費税を少なくできるメリットがあることだ。

それに比べ、正社員に給与を払っても当然、納税する消費税は減額されない。そこで消費税率のアップをきっかけに、正社員をクビにして「仕入れ」扱いにできるハケン社員に置き換える企業が続出しかねない、と心配されているのだ。労働総研研究員の木地孝之氏(経済統計)がこう言う。

「最大の懸念は、ハケン労働者にシワ寄せがいきかねないことです。消費税率が8%、10%とアップしても、派遣会社は立場が弱いために、増税分を転嫁できないと思う。となると、ハケン労働者の賃金を引き下げるしかない。ハケン労働者の生活はさらに苦しくなりますよ」

いまや非正規雇用は、労働者の36%を占めている。来年4月以降、ニッチもサッチもいかなくなる国民が続出するのは必至だ。