こちらの続きです。

快感の波が引いた後、
私の体は汗で濡れていた。

心臓は激しく打ち続けている。

私はしばらくの間、何も考えられず、
ただ天井を見つめていた。 

その行為は、私の45年間の人生の中で、
最も激しく、最も正直で、

そして最も孤独な儀式だった。 

寂しさや、満たされない思いは、
一瞬にして消えていた。

代わりに残ったのは、身体的な疲労感と、
ある種の達成感。

そして、強烈な自己認識だった。 

(私は…これを求めている) 

彼に拒絶されたことで、
私の心は傷ついたかもしれない。

しかし、その夜の体験は、
私の体の中に、今まで眠っていた
「性」という名の野獣を目覚めさせてしまった。

 私は、もう
「奥手で人見知りの美里さん」ではない。

私は、強烈な快感を求めてやまない、
欲望に支配された女になってしまったのだ。

 「…重い?」 
私は自嘲気味に呟いた。

彼の言葉は、もう私を傷つけない。

私にはもう、誰かの愛や承認はいらない。 

私が欲しいのは、あの夜の快楽だけ。


私はシーツから体を起こし、
乱れた髪を掻き上げた。

快感は一時的に満たされたが、
これは始まりに過ぎないことを知っていた。

この欲望は、一人で満たせるものではなかった。

 私の手は、無意識のうちに
枕元に置いていたスマホへと伸びていた。

画面を立ち上げると、あの
「出会い系サイト」のアイコンが、
鈍い光を放っている。 

私は、プロフィール写真を、
最も魅力的で大胆に見えるものに変更した。

そして、自己紹介文を書き直す。
もう、趣味の読書や映画鑑賞など書かない。 


「求め合う熱い夜を、一緒に過ごしませんか?」 


今度の私は、もう拒絶されることを
恐れてはいなかった。

拒絶されれば、その分だけ、
私はもっと激しい快楽を求めるようになる。 

私は、欲望という名の、
新しい地獄への一歩を踏み出した。

その扉の向こうには、
彼のような男が、
いくらでも待っていることを知っていたから。

つづく


サムネイル
 

私の欲望を受け止めてくれる方
インスタも見ていただけたら
嬉しいですピンクハート

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