えんみは村上春樹の本が好きです。
ハルキストではありません。
なぜならば、
ハルキストの方々に失礼なほど読み込めていないからです。


きっかけは、
えんみが生きることに悩んでいた時
太宰治の人間失格を読んで生きようと思い、
村上春樹の海辺カフカを読んで旅に出ることにしたことからです。



前にフランス人の友だちに言われたことがあります。
「ハルキは若いのに素晴らしい表現力だよね!」
「彼は60歳過ぎてるよ」
「えっ!あの文章なのに、60歳以上なの?」


彼女が驚いた理由はわかります。

村上春樹作品に出てくる人々は皆、
愛おしいほどに生きることを純粋に悩んでいるからです。

そして、
そんな風に人々を表現できるなんて、
村上春樹自身も同様に悩む若者なのかもしれないと彼女は思っていたのです。


えんみが村上春樹の作品好きな理由は
モラトリアム期にある人々が美しく描かれているからです。


この世成熟した人間っているのでしょうか?
生きることに悩みのない人間っているのでしょうか?
死ぬことに恐怖を感じない人間っているのでしょうか?


答えはノーでしょう。



人間は存在そのものが矛盾してるのです。
若い時は早く年齢を重ねたいと思う。
歳を重ねると若くありたいと思う。
そして、
生きながら死につつある。



だからこそ
若くありたい。

若かったころの、
無知な
世間知らずな
純粋な
気持ちを覚えていたい。
そして、
願わくば
その気持ちを抱えたまま
そのまま歳を重ねていきたい。



だからこそ

多くの人々は
村上春樹が描く人々に共感し、
過去の自分を思い出しながら、

過去の自分が思い描いていた現在の自分と
過去の自分が理想としていた現在の自分と
現在の自分との違いを感じ

落胆し、

でも
希望を抱き、

人々は村上春樹の描き出す世界に魅了される、


えんみはそう思うのです。



えんみは
村上春樹の作品を読んでいると
ピカソを思い出すのです。

ピカソは
幼少期から素晴らしいデッサン力があったのです。
晩年になるにつれて
子どものような絵を描くようになったのです。
子どもが描くもののシンプルで純粋な表現力を美しく思ったからなのです。




君は純粋な気持ちを思い出そうとしているのだね。
君はそうまでして生きたいのだね。
まるでピカソが極限まで少なくした線を巧みに使ってアートを創り出そうと努力していた過程を辿るように。
生きることにもがいているのだね。



村上春樹的に生きることを表現するには
えんみはもっと勉強が必要なようです(笑)




えんみは生きることに、今も、もがいています。
そして
もがきながら生きている人を愛おしく思うのです。