「こんな手で恥ずかしいんだ」
袖をまくりながら女の子がぽそっと言いました。
腕にリストカットの痕がたくさんある女の子でした。
女の子が今までどのように生きてきたか、女の子は少しずつ話してくれました。
「会えてうれしいよ」
えんみはただ伝えました。
女の子が会いにきてくれたこと、
女の子が話してくれたこと、
女の子が生きていること、
えんみはうれしかったのです。
他人はいろいろ言うかもしれない。
リストカットは女の子が生きていくのに必要だったと、えんみは思うのです。
えんみはそれで良いと思うのです。
えんみは一生懸命生きてきた証だと思うのです。
生きていてくれてよかった。