あの日はとあるボクシングの試合だった
後楽園で観戦して応援すべき選手は見事勝利した
その選手は偉大なる兄を持つ選手な訳だが週刊誌にすっぱ抜かれて追い詰められていた
試合後、応援団長Pの呼び掛けでコロナ禍の中会食へ参加した
店は閉まっていたがPの親友で幹部の人間が古くからの友人の焼き肉店を手配した
シャッターを閉めて営業してくれた
入店早々、席を決める際にPは一番下っ端と思われる人に対して「お前コロナだからそっち行け」と言った
それを聞いた時、この場にいる事を恥ずかしく思った
冗談にせよ、あまりにも幼稚かつ横暴であった
その言葉を浴びせられた人は勿論の事、近隣へ悟られないようにしてまで営業してくれた焼肉店の店主、Pの呼び掛けに応えようと頭を下げて手配したくれた幹部に対して失礼極まりないと感じた
その瞬間からただでさえほぼ無いと言えるPへの信頼は瓦解した
そこには軽い冗談として受け止めきれるキャパはなかった
自ずから関係を破綻させる方向へ向かった