2018年4月9日山下慶一は重要な会食に参加する為、上京した。東京は東京のなんだか懐かしい匂いがする。羽田空港から電車移動中だ。これから起業家としての大先輩にあたる女性経営者の杏社長に10年ぶりに接見する場へ向かっている。この会食にはもう一人の参加者がいる。前職の未来広告会社で山下と同期入社だが山下より学年で言うと一つ上の大川がいる予定だ。大川は190cm100キロの巨漢だがいつも猫背で雰囲気がやや暗いあだ名はボボちゃん。半年前、24のドラマを見ていた時に昔このドラマ談義で大川と大いに盛り上がった事を思い出し3年ぶりにふと電話したのがきっかけでこんな展開になった。大川からラインで会食の場所が指定された。「ここに6時半で」その後店の情報が送られてくる。麻布麻布の割烹居酒屋の情報。早速、乗り換え検索アプリでルートを調べるが駅への到着が10分前。駅から5分の店なのでギリギリの予定で山下は少しも悪くないのに焦り悩む。少しでも迷えば遅刻のような形になるし、かといって間に合いそうにない旨を前もって伝えて間が悪いと思われるのも不本意なのだ。結局、山下は迷わなければいいと覚悟して「了解です」と返信した。もう一駅で麻布十番に着くという時、「変更になりました」とラインがきた。何故か西麻布の焼き肉店に変更したらしい。「今、麻布十番に着いてしまったので少々お待ちください」早速振り回されてげんなりしながら山下は焼肉店へ向かった。