(261)綺麗な湧水の国
水には硬水と軟水があり、井戸水は硬水で、湯冷ましは軟水だよ・・・なんて習いましたが、正確に、かつ、おおざっぱにいいますと、軟水と硬水は、含まれるカルシウムとマグネシウムの量で決まるとかで、ドイツ方式、アメリカ方式、WHO方式など5種類ほどあり、一筋縄(ひとすじなわ)ではいかない。
食文化でいうと、ヨーロッパや中国、つまり大陸の水は良くない。
ヨーロッパでは一週間でやかんの中に石灰質がこびりつき真っ白になる。フランス・スペインなど大陸へ旅行した時はミネラル・ウオーターを買い続けます。「水よりワインの方が安い」は嘘でなく、田舎では4トンくらいの灯油タンクをトラックに載せ、石油に代えてワインを売りに来る。で、18リットル・ポリタンクにジャーッと注ぎます。これだと量だけ比べるとエビアンより安い。日本の一般ワインはほとんどこれ。でもとてもおいしい。ま、水が違うと料理も違うのであります。
軟水料理と硬水料理
水の性質は調理に関係、中国では泥濁していたりする。そんな時、「蒸す(むす)」が役立つ。災害時などにも役立ちそう。日本では「いい水」があたり前ですが、ヨーロッパ・中国など大陸は違う。結石ができたり、感染症にやられたりする。水の代わりに、コーヒー・紅茶・ウーロン茶を飲む。いったん沸騰するので、軟水化に加え熱殺菌ができる。ビールとかワインにすると、殺菌効果は抜群です。
日本の水はほとんどが清潔な軟水で、これだと「食材と水」とが直接触れても大丈夫。日本料理は食材をそのままの方針。刺身なんて魚肉そのもの?こんな話はいい水があるから成立します。ヨーロッパ・中国の専門家は、「そんなの料理じゃない!切っただけだろ?」と主張する。「その切り方が大事なのじゃ!」としばしば争いになる。大陸の水で料理すると、マグネシウム・カルシウムが蛋白質を堅くし、口あたりが悪くなるのであります。
じゃどうするか?答えは「水の代わりにスープストックを使う。」牛、豚、鶏の骨やスジ、を長時間、徹底的に煮る。するとコラーゲンが溶け出し、さらに煮るとゼラチンになる。これは水によく溶け、カルシウム、マグネシウムと結合、「アク」としてポカリポカリと水面に浮く。こやつをていねいにすくい取る。すると、邪魔者を排除し一件落着。手間がかかるためヒマな時に造っておき、取り出して使う。つまりスープストック。これがないと、ほんものの中華料理・西洋料理はできないらしいのであります。
素材が大事の日本料理
大陸の特徴として、①水が悪い ②食材が悪い。中華料理の食材なんて、ほとんど乾物で、日本みたいにイセエビの活き作りなど絶対にない。中国では、甲殻類は生きたまま運送し、食べるとき殺して加熱してから食べる。冷めた料理は食べない。食中毒を警戒する文化です。
鍋が溶けるんじゃないか?くらいの高温で炒め、火の手があがったり迫力満点。フランス料理になりますと、ソースの出番、牛乳やワインその他何でも入れて煮込む。で、勝手な味をつくっちゃう。乱暴にいうと、ソースを味わうのが目的で、牛肉でも豚肉でも鶏肉でも同じことだから気にしない(といっていました)。食材そのものの味を活かす日本料理とは対極の関係です。
「見ばえ」も料理の大事な要素です。西洋料理ですと皿の色は、ソースの色が見やすい白に限る。カップも内部は白となる。日本はといえば、白米が主で、黒や赤の食器が多い。また食材色で使い分ける。白い器も使いますが、何となく神道のお供え風になる。中華の場合は原色が多い。派手といえば派手、赤・青・白・黒・黄など、カラフルですが、独特な宇宙観から来るとかで理解不能。
料理の世界でも国際化が進み、流通の変化と進歩の結果、ヌーベル・キュイジーヌ、「新しい料理」とでも訳すのでしょうか、「ソース味を楽しむ」から、「素材の味を楽しむ」方向に変化してきました。日本の影響もあるんじゃないか。また、日本でもフランス料理、イタリア料理を取り入れ、私たちはただ美味しいのを戴けばいいのであります。
その他のミネラル
水に含まれる物質はカルシウム・マグネシウムだけでなく、他のミネラルもバランスよく含まれると「美味しい水」となる。例えば「灘(なだ)の生一本(きいっぽん)」とよばれる関西の銘酒、貝殻を大量に含む地層を通過した水が、美味しさのもととか。
余計なミネラルが入ると、上手くない。ご実家が酒造業の東京農大の小泉武夫先生によると、酒を造る水に鉄分があると、醤油色になり、商品価値が失われるとか。また、茶道で使う【抹茶】も、鉄分があると飲んだ方の歯まで真っ黒になる。タンニンと鉄が化合するためといいます。「結構なお点前で・・・」と顔を見ると歯が真っ黒、あらたまった席で吹いちゃうのは非常にマズイ。
ところで、「伏流水(ふくりゅうすい)」ってものをご存知でしょうか?いったん地下へ潜り、その後また出てくる水です。日本だと富士山周辺が有名、広大な地域に降った雨は、100年ほどかけ再び地上に現れる。これを伏流水といい、たとえば忍野八海(おしのはっかい)や富士白糸の滝、三島市や静岡県清水町近くの柿田川などが有名。調べれば日本中にある。大量の、しかも実に綺麗な水、思わず飲みたくなる。世界の中で、日本ほど水資源に恵まれたところも珍しい。おそらく世界で最も名水に恵まれた国でしょう。建国以来、神社に行けば入口脇に水がある。
一方、世界で清潔安心な水はどんどん減少している。アメリカ・インドも地下水が無くなってきた。かって「鉄は国家なり」とかいったとか、今は「水は国家なり」であります。
水がない、じゃ売るか?
「水を治めるものは国を治める」といいますが、外国は不足の水をどうするか、日本は反対に洪水対策です。わが国の水はおおむね余っている。香川県・高知県など、時々取水制限しますが、台風一発で解決。ま、その分土砂災害が多い。最も何があるか分からないから、東京を始め、各自治体も下水の再生研究に取り組んでおります。
水道の水も改善され、産経新聞2005年10月28日の記事によると『自治体呼び水』という見出し、水道水が高度浄化処理で良くなった。トリハロメタンなど邪魔をすべて分解除去、ミネラル・ウオーターなみ。都知事が記者会見で自慢していました。実際にミネラル・ウオーターとして都庁舎内で100円で販売中。また横浜市水道局の「はまっ子どうし」は人気があり2年間で24万本を売りあげ、前橋市、四日市市、出雲市、岡山市などの自治体も頑張っております。
天然ガスより水
今後はどうなるか?ここからは筆者の独断ですが、石油代替エネルギーは、知恵をしぼればどうにかなるが、水には代わりがない。上質清潔な水はそれほど多くないのであります。すると、水を外国に売ったらと考えるのであります。日本の島部では、何かあればコスト削減で、手っ取り早く海水を淡水化します。これも技術輸出可(読んだ本によるとこの技術は日本が世界一)。[水を輸出」が今回の筆者の主張であります。
「水と油」ではなく「油より水」であります。エネルギー求め無理しても無駄。液化天然ガスは飲めないのであります。よくあるパターンですが、砂漠の真ん中水がない。そこでギンギンに冷えたミネラル・ウォーター、幾らで売れるか考えてみましょう?
最後に中高年の皆様、枕元にミネラル・ウオーターを。水で血液が薄くなるため脳血栓や心臓発作を防ぐそうであります。筆者はかってミネラル・ウオーターが入っていたペットボトルに、水道水を入れなおし愛用しております。素晴らしい水の國なのであります。
以上
