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江戸老人のブログ

この国がいかに素晴らしいか、江戸から語ります。




(276)無洗米・まだ研いでいますか?
 
 

 なぜ米を研ぐか? ヌカが少しだけ残っているからだ。米粒にできる微細な溝(みぞ)に残り、水で洗い流さないとヌカ臭くなる。スペインなどでは、パエリャなど米を食べるが、米をまったく研がない。たぶん味付けが濃いから気にならないのだろう。米を食べる人々すべてが米を研ぐわけではない。
 最近は「米は研がないで!」との注意が多い。ご飯の普及を目指す「ごはんミュージアム」主催の「チャッチャカごはん」での子供講習会では、米は「洗う」ようにと指導しているそうだ。精米技術の革新で、ヌカ保留率を90%除去している。従来のように研ぐと、旨み層(アリューソン層)を傷つけたり、米粒を破損したりで不味くなる。
 
 

どう洗うか?ザルなどに入れ、ザルごと水に漬ける。で、中を手でかき回しすぐに取り出す。だいたい水が澄むまで繰り返す。(ごはんセンターでは3回と教える。センター高橋氏談)。とにかく米は洗うだけでいいとのこと。炊き方も「そのまま炊飯器へ放り込む」と教える。すべてコンピュータが判断し、「余計なことはしないで貰いたい!」でということらしい。従来の炊飯器は米に水を含める時間、漬け置き時間を指定していたが、最近のはそれも計算してくれる。
 
 さてコメは無洗米の出現で「水を加え炊飯器に入れスイッチ入れる」となった。マイコンつき炊飯器は洗ったあと時間をおくことも、蒸らすのも、すべてコンピュータがやってくれる。余計なことをすると不味くなる
 
古い無洗米研究
 軍隊というところは忙しい。研ぐ手間が不要になれば助かる。旧日本陸軍でも研究した。そこで「絶対に無理!」と結論がでた。じゃあ現在の自衛隊はどうか?陸上自衛隊広報部に電話で尋ねたら、「駐屯地に任されているため情報は把握しないが、感想として「価格がちょっとでも高ければ使わないでしょう・・・」とのこと。また「現地購入が原則で、供給が100%でないと難しい・・・」とのことだった。

話を戻すと、旧軍もあきらめた無洗米、立派にできていた東洋精米機製作所雑賀慶二(さいか・けいじ)社長が考案・製作した。色々な方法のうち最も優れ、完成品といっていい。平成3年東北の二本松工場で製作、同5年にBG無洗米と名づけた。ヌカのことを英語でBranというが、ヌカでヌカを除去する方法だから(Bran Grind)の頭文字からBG無洗米と名づけた。ちなみにこの人は昭和35年、米の「石抜き機」を発明・販売、それ以後ごはんに石をかみ当てる事が皆無となった。

無洗米の種類
 現在の完璧なBG無洗米ができるまで、色々なタイプの無洗米が作られ、販売されていた。発展段階だから、使いにくい、まずい、などの不評があり、無洗米の印象は、良くなかった。ところが、BG無洗米以降は、まったく違っている。
 無洗米は、BG無洗米 昔タイプの無洗米 に分類できる。タピオカ式はデンプンを使うが、他の無洗米は化学物質、薬品などは使っていない。

 BG無洗米までの方法は(従来の方法)は、
水洗式(水でサット洗って乾燥させる)
タピオカ式(タピオカのデンプンを利用)
研磨式(一回は水洗させる方式) などだ。

 現在も上のBG式以外のものが販売される。農水省はじめ、正式な統計というものが一切ない。BG無洗米が、全無洗米に占める割合は、およそ73%だ。反対にいうと27%がBG以外の製造方法で、かつ実際に販売されている。
 
 整理すると、BG無洗米 それ以前の無洗米 が同時に販売され、混乱がある。またBG無洗米普及率は、業務用に多く家庭では少ない
 BG無洗米は、加工法の技術で、米品種とは無関係、美味いとか不味いとかの議論は成立しない。同じ米は同じ味だ。一方、まだ残る27%の古いタイプは「不味い」とか「臭い」と嫌われたりする。このあたりの説明があと一歩不足していた。



環境保持に優れる
 米の研ぎ汁は下水に流すと、結果的に川を汚し、海を汚染する。下水処理では、有機物は処理できるが、リンやチッソは、素通りする。除去するには、コストがかかる。社会全体だと無洗米を使った方がコストが安い。大阪市では、琵琶湖へチッソ+リンなどが流れ込み、アオコなどの異常繁殖につながった。結果、水道水にアオコ死骸などが匂う。「大阪市の水道は不味くて飲めない」とのメカニズムが判明した。また赤潮などの犯人とも分かった。
 国立民族学博物館名誉教授の石毛直道氏は、さまざまな食文化研究がご専門「無洗米の画期的なことは、環境に負担をかけない」と述べ、また、「生活廃水にしめる米研ぎ汁の割合が多く、炊き干し法で米を食す宿命」とも述べ、これらが「瀬戸内海・海水汚染問題の原因の一つ」と指摘される。日本全国どこの海でも同じことがいえる。


生協の取り組み
 環境問題を考えざるをえない所では、導入が盛んだ。京都生協では平成13年1月に無洗米を採用、記者発表したが、マスコミは驚かなかった。理由は、

それ以前、首都圏でもかなり普及があった。近畿地方も同じ状態で、「コープこうべ」などに導入されていた。現在、京都生協が扱う米の96%が無洗米とされる。残りは玄米食などの健康食によるものとか。また高知県 大阪、滋賀県、愛知県では学校給食に使われる。また松下電器はじめ大企業の従業員食堂などは、イメージ戦略が必要で、ほとんどが取り入れている。

首都圏コープ
 昔タイプの無洗米を平成9年に導入。味が良くないと不評だったが、平成11年すべての無洗米を比較検討、BG無洗米導入以後は、問題なくきわめて順調との報告がある。



外食産業もBG無洗米
 外食産業界も無洗米に向っている。水道料に差がつきコストは安くなる。大手外食産業では、環境対策とのメリットがある。「九州ほっかほっか亭」を経営するプレナスは、人手・水コスト・店内厨房スペースさらには環境問題を考え、平成13年から無洗米導入を徹底的研究、平成6年7月約200店舗でBG無洗米を導入、環境問題とのイメージ戦略に加え、年間16万5千トンの水道水節約となった。また人件費にも影響が出たという。

漁業協同組合もBG無洗米
 漁業協同組合がBG無洗米を取り入れている。米のとぎ汁は、赤潮の原因となる。結果として漁場を荒廃させ、「海底ヘドロ」の原因になる。BG無洗米を使うと海の浄化になるため、漁協で無洗米販売を開始、伊賀地方で取れたコシヒカリを「パールライス三重」でBG化し、ブランド名を『大漁御膳(たいりょうごぜん)』という。ローカル漁業協同組合が始めている。

 http://www.miegyoren.or.jp/about/purchasing/

なお、BG無洗米製造の仕組みは、なかなか理解が難しい。筆者もわからず「知恵の輪」という玩具を思い出した。ただし一般公開しているBG無洗米工場もある。そのうち日本のごはん100%が無洗米になると推測される。

さらにいうと、金芽米(きんめまい)というブランド米、オリンピックで金メダルを取ったイナ・バウアーの荒川静香選手がテレビで宣伝していたが、米の胚芽の一部を残した精米法で、栄養価が違う。ちなみに口あたりの悪い部分は除去、他は残した米が出現した。色々な変化がおきている。一種の米革命だろうか。

 問題は少子化問題と同じく、日本人が以前より米を食べないからコメを必要としなくなっていることだろうか。

                                  以上