(65)食料自給率を信じますか? | 江戸老人のブログ

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食料自給率を信じますか?

 
 
食料自給率の話題が喧(かまびす)しいが、筆者は食文化研究を多く書いており、知人からご質問が多い。

 実は日本の食料自給率は【カロリーベース】での話、一番の問題は計算方法にあります。現実とはかけ離れた数字で算出している【カロリーベース】での自給率算出はどこの国も取り入れていません。日本と韓国だけですが、実際に算出しているのは日本だけ。これは別の機会にエントリしますが、これとは別に敬愛する石川英輔氏が他の観点から実に詳しく食料自給率を検証され、一部を引用させていただき、「簡単じゃない」と主張させていただきます。(文末表記本の63,64ページを引用)

 

 大阪万国博覧会が開かれた昭和45年(1970)頃、戦後の食料不足や物資不足はもはや解消、現在と同じ生活レベルに戻っていました。平成20年に二十歳の若者がこの時代にタイムトリップしても心配はないでしょう。インターネットや携帯はないけれど、食べることに限ると現在と同じですコンビニ」はまだなかったけれどスーパーマーケットはチャントあった。

 

 現在の日本は、食料自給率が食品熱量(カロリーベース)で40%弱しかない。(端数は面倒だから40%とします)これは簡単でたとえば1000キロカロリー必要なら、600キロカロリーは輸入に頼り、国内で生産するのは400キロカロリーだけという話ですね。
 

 ところでチョッと前、昭和40年(1965)の、食料自給率は、73%の数値を保っていました。昭和45年でも自給率は 60%で輸入は40%でした。つまり半分以上を国内産でまかなっており、それで別にどうという問題はなかったのであります。
 
 日本の食料自給率が100%を割り込んだのはいつだったか? 石川英輔先生の話では、「農水省に問い合わせても昭和35年(1960)より前の統計は残っていない」とか。

 公文書を勝手に処分するのはケシカランのでありすが、まあ食料不足の大問題を抱えているときに、自給率の数値など、それほど意味がなかったのでしょう。
 年代があっちこっちに飛び恐縮ですが、昭和35年(1960)には、自給率はすでに100%を割っており、数値は79%、ずいぶん早くから「全部を国内で」は無理だったんですね。

 
 誤解のないようにと、石川英輔先生が強調するのは、「食料自給率が高いからといって必ずしも豊かな食生活を意味しない」ということなんです。たとえば昭和19年(1944)大東亜戦争末期の日本では、戦時中だから食糧の輸入などできる状況ではなかった。だから食料自給率は100%に限りなく近かった。しかし、当時の日本は現実として食糧不足に苦しみ、乏しい食生活にひたすら耐えていたんです。自給率はあくまで計算の結果であり、たんなる数字でしかないのです。

 

 では21世紀の日本はどうなっていくのか?食料自給率40%の現代日本では、食料は全く不足していないんです。
 それどころか、いかに痩せるか重大な国民関心事となっていますね。どうやったら贅肉が取れるか。テレビコマーシャルを見ると、「痩せるための運動器具」や、「やせる健康補助食」などが驚くほど多く、しかも売れているようすです。メタボとかいって厚生労働省は食べ過ぎないようにと国民へ注意を促しております。

 ケーブルテレビでは、ほぼすべてのCMは健康食品で、ほとんどがカロリーを減らす目的の商品オンパレードです。

 で、現在の食糧事情を細かく調べていくと、われわれが生き物として、とんでもない食生活を(だからぁ石川英輔先生がいってるんです!)していることがわかってきます。
 
 (一)京都大学環境保全センターの高月 紘(たかつき・ひろし)教授は、三回にわたって京都市内の同じ場所で、台所ごみの内容を詳しく調査した。(学者も楽じゃないですねぇ!) その結果、台所ゴミのうち食べ残しごみが35.7%という数値と確認しました。食べ残しのごみ全体の約四分の三<手つかず食品>、つまり、賞味期限前あるいは賞味期限後、一週間以内の即席ものや冷凍食品だったといいます
 
(二)平成8年(1996)に、農水省の食料需給表にもとづいた①食料供給量と、厚生省(当時)の国民栄養調査による②食料摂取量の差の数値が発表され、こちらも32.4%過剰供給になっている。32.4%とはおよそ全体の3分の1、つまり購入した食品の3分の1を捨てていることになります。
 
 (三)平成11年(1999)科学技術庁(当時)が一年間の残飯を金額として計算してみると、11兆1000億円相当だった。国内産の農水産業による生産額が12兆4000億円でしたから、食糧自給分の90%近く捨てていることに

 繰り返しますが、数字に直すと国内生産額の40%で、この90%を捨てている計算ですから、40%×90%=36% を捨てている計算となります。

 

 以上の独立した、信用できる3機関による研究結果がほぼ同じ数値となった。つまり本人は食べられる食料の30~40%をゴミとして捨てていることが明らかになったわけです。およそ「生物の常識から外れた食生活」をしている(だからぁ、筆者でなく石川英輔先生のご発言です!)とのご主張であります。
 
 現在の食料供給量の全体を100とすれば、そのうちの35(40は面倒なので35に統一)。
を捨てているのだから、実際は65あれば充分のはず

 もし、もしですよ? かっての大東亜戦争終了直後の食糧危機のときのように、米一粒だに残さず(正確に言うと残せなかったんですが)食べ、国内産の食料を全部食べたら(だから、もし、ですって!)どうなるか?


カロリーベースの自給率(これがインチキなんだけど)が40%だから、65%-40%=25% で、輸入はわずか25%で済む計算になる。すると現代日本のホントウの食料自給率は75%ていどになるはずで、昭和40年(1965)頃の水準なのですね。穴の開いたバケツで水の量を測ってもしょうがないでしょう・・・・・・。
 
 まとめてみると、世界有数の金持ちとなった日本人は、必要量の1・6倍の食糧を輸入し、その部分を捨てている。だから自給率だって下がりますね。いざとなったら捨てるのをやめれば、まあ何とかなるといったところだろうか、と石川英輔せんせいは語っているのであります。
 
 ここからは筆者の雑感ですが、①賞味期限や消費期限など直ちに見直す必要があるでしょう。すこしは改善がありますがまだまだです。昭和40年頃賞味なんとかのシステムはあったっけか?もっとも消費期限を書き換えたり、産地の偽装はそれこそ厳罰で臨む必要がある。死刑は行きすぎだろうから遠島、島流しでしょうね。日本には無人島が非常に多いんですと。 


②次にBSE問題などは、もっと現実的かつ冷静考えるべきでしょうね。日本で牛から感染してのBSE犠牲者は何人なのか?放射線といっても学問的に明快なのかどうか。イギリスでは「階段から落下」、「バスタブで溺死」のほうがはるかに多い。

 もし米国から牛肉が来なくなったらどうなるか。どっかのようにローソク・デモで騒いでも、何の解決にもならない。想像力の問題でもありますね
 

③もっと米を食えといっても現実には困難でしょう。速い話し「おかず」を減らすことが、現代の日本人として可能か? 現実としては無理がある。
 
 怖いのは食料価格高騰より人口爆発だ。もし地球人口が100億人を超すと、ホントウに飢餓がやってくる。あちこちの国際研究機関がすでに算出した値だ。筆者は老人ですから、そのころはお先に失礼していますから、あとは適当にやってください。最近のニュースでは日本の大企業が協力してミドリムジの栽培が始まり、燃料もOKで百億人も大丈夫というんですが、こういうのってホントかなあ・・・・・・検索してみて下さい。



 食料自給率の話はそれほど簡単ではない、などと格好をつけてしまった。だから年寄りは嫌われるんでしょうが、やめられないんです。申し訳ありません。

                            以上


引用図書:『江戸と現代0と10万キロカロリーの世界』石川英輔著 講談社 2006年刊