10/11
通販で注文していた、散歩用のベストとリードが届いた。
だいぶ力が無くなってきたけれど、一応ベストとリードで逃げないようにして、お天気の良い日に散歩をする。
もう殆ど目が見えない・・と先生には言われたけれど、クマはちゃんとご飯の器や水の器、トイレの場所をちゃんと把握している。
母の股の間で寝ていても、トイレのときは必ず起きて、ちゃんとトイレに行く。
気配を察しているんだと思う。
だから少しでも、外の空気を感じて欲しいのだ。
ちょうど金木犀の花が咲き始めて、心地よい香りが空気に混じる。
クマとゆっくり散歩をしていると、ご近所で金木犀の木を植えている家が思ったより多いことに気づかされる。
古い住宅街なので、何十年もかけて大きくなった木が庭にある家が結構多いのだ。
本当に、我が家からもうすぐ近くの家々なのに、今まで金木犀が植わっていることに全然気がつかなかった。
クマと散歩したからこそ見つけることができた秋のご褒美。
ゆっくりゆっくりと歩くと、クマも鼻をひくひくさせる。
日だまりに照らされる黒い毛皮に、白いものが混じっている。そうか、いつの間にかもうこんなに歳をとっていたんだ。
夜になって、外出から戻ると母の寝ている枕元に4カ所ほど血痕が落ちていて焦る。
母のものではないし、ムギでもない。クマの体も調べたけど、どこも汚れていない。
謎;