【よ】特別読切小説「お風呂嫌い」 | マイるどミルドオフィシャルブログ「よりぬき!マイるどミルド」Powered by Ameba

【よ】特別読切小説「お風呂嫌い」

学生のみなさんは夏休みですね。読書感想文のために読みたくもない本を無理矢理読んだりしてるんでしょうね。
それじゃあ今日は読みたくないついでに、僕の短篇小説でも読んでやって下さい。なんならこれの感想文を提出して先生にポカンとされてみて下さい。

【よりぬき日記58】
特別読切小説「お風呂嫌い」

お風呂が大嫌いな男がいた。

「湯船につかると気持ちいい」「体を洗うとサッパリする」
そんな気持ちが男には全く理解出来ない。

あるとき男は奇妙な新聞広告を見つけた。

《求ム!風呂嫌い!!高額報酬アリ。○○大学○○研究室》

興味を持った男は数日後、大学に出向いた。男と併せて、広告をみてきた人間は6人いた。

しばらく待っていると教授が現れ、男達に説明をはじめた。

分厚いレポート用紙が配られ、スクリーンを駆使しながら長々と説明していたが、要約するとこういうことらしい。

『人間にはそもそも自分の体をきれいにする浄化機能があるのだが、風呂で汚れを落とすことによりその機能がちゃんと働いていない。その機能を正常にするためには、三ヵ月間お風呂に入らないで過ごすことが必要。』

つまりは、風呂に3ヵ月間入らないで欲しいというのだ。二日に一度、簡単な身体検査を受ける為に大学に来なくてはいけないが、あとは全く自由に生活して構わない。これらを守るだけで高額な給与がもらえるという。

男は喜んだ。お金がもらえて、さらに風呂に入らなくていい理由までもらえるのだ。
集まった男のうち3人は自分には無理だと帰ってしまった。

その日から、男の「仕事としての風呂に入らない生活」が始まった。

一週間後、残った3人のうちの一人が頭が痒くなりすぎて脱落した。
大学側は実験存続の為、残った二人の報酬額を上げた。

一か月後、自分の臭さに気絶してもう一人も脱落してしまった。

被験者は男一人になった。
大学は男に下りられては困ると、さらに報酬額を上げた。
なんの苦もない、そしておりるつもりのない男にとっては非常にありがたい限りであった。

そして、男は無事約束の三か月を過ごし、大金を稼いだ。

が、肝心の「自然浄化作用」があまり働いていない。教授は男を呼び出し、もう一か月の実験延長をお願いした。
男は当然了承した。

一か月後、ほんの少しであるが、男の身体に変化が出始めた。
教授は喜んだ。そして男に更なる延長を頼んだ。

が、男はそれを拒否した。

この一か月の間に、実験とは関係のない部分で男に大きな変化が起きていたのだ。

男は恋をしたのだ。

そして風呂に入らないで彼女の前に立つのが恥ずかしくてたまらなくなったのだ。

教授は
「やっと変化が出始めている。ここでやめたら全て台無しだ」
と必死に説得をしたが、男は
「約束の三か月は過ぎた。さらに一か月延長した。これ以上付き合う筋合いはない」
とつっぱねた。
「もう君一人の問題じゃないんだ!!」
教授が語気を強めると、元々気の強い方じゃない男はうなだれた。

教授はさらなる莫大なお金と、不本意ながら男に交換条件を提示することにした。

「顔でも、手でも、どこでも一ヵ所だけは洗っていいことにしよう。それでどうだ?」

男は分かりました、とうなずいた。
そして教授の「どこを洗いたい?」の問いに対して、しばらく考えたのち男は答えた。

「じゃあ、足…足にします」

「足?足でいいのかい?」

「はい。この実験から足を洗わせて下さい」

~おわり~

コメント返すで

お日様さん、タマゴ美味しいですが、死ぬほどじゃないです。生きるかタマゴか迫られたら生きるを選びます!

choumeiさん、確かにフルーツはおやつ感覚ですよね。食後のデザートです。力士役は予定になかったのですが、急遽頼まれました。

Chanさん、タマゴうまいですよね。フルーツ別々もいいですが、生クリームも挟まれててちょっとしたケーキみたいでうまいですよ。

さやさん、僕ははさまれレタス、シャキシャキして好きです。普通に食べるレタスはさほど魅力を感じませんが。