【よ】信長の野望の野望 | マイるどミルドオフィシャルブログ「よりぬき!マイるどミルド」Powered by Ameba

【よ】信長の野望の野望

【よりぬき日記19】
信長の野望の野望


ケータイで「信長の野望」をダウンロードした。

コツコツと米を蓄え、金を貯め、部隊を強くしてやっと攻め込むゲームなのに、何度やっても我慢出来ずに貧弱部隊で攻め込んで、ものの見事に返り討ちにあってしまう。
学生時代に受けた心理テストで「忍耐力」のグラフだけやけに短かったのはダテじゃない。

それでもなんとか「このゲームは天下統一を目指すものじゃなく、治水を繰り返すものだ」と自分に言い聞かせ、どうにか隣国を倒せるような強い部隊になった。簡単モードで始めたせいか、ここからはサクサクと領土を広げられるようになりちょっと楽しくなってきた。

…が、その幸せも長くは続かなかった。

向かう所敵なしとなった僕の国は、機械的にとある国に攻め込んだ。するとその国の弱いこと弱いこと。あっという間に占領「いくらなんでも弱すぎるだろ!」とニタニタしていた僕の表情が次の瞬間凍り付いた。


…年貢率・65%…


ゲームの初期設定では年貢30%になっている。早くお金を貯めたい僕ははじめ40%に設定した。そして、ある程度国を広げてからは一揆を恐れ25%に下げていた。

そんな中、この国は65%。汗水たらして作った米を半分以上持ってかれているのだ。

なぜこんなに高いのか?

これは異常なくらい早く自分の国を強くしようとする上の人間の暴走にほかならない。

では何故この国の上の人間はそんな暴走に走ったのか?

そうだ…僕が馬鹿みたいに領土を広げ続けていたからだ。
東の方から面白半分に殺戮を続け勢力を拡大してくる今川軍に怯えていたからだ…


慌てて年貢率を30%に下げた。


「民は喜んでおりますぞ」


僕は何様だ?

今までの流れも関係なく、年貢率が下がるいう事実のみに浮かれる、民の純粋さが余計に胸に突き刺さる。

誰か僕を責めてくれ!
「お前のせいで俺たちの暮らしはボロボロだったんだ、今さらいい人ぶってんじゃねえ!」と。
「お前らの騎馬隊にうちの息子は殺されたんだ!」と。
「天下統一して何になる!人を傷つけてまでして叶えたいものなのか!」と。


「大戦略」という戦争ゲームのオープニングで「あの悲劇を忘れない為に」的なメッセージが流れていた記憶がある。それを見て子供心に「なんて無茶苦茶な!」と思ったものだ。
あんなゲームをやって「戦争はいけない」と考えるハズがない、そう思ってた。

でも今「信長の野望」で戦争の愚かさ、苦しさの一部を感じることが出来たのだ。「大戦略」同様「信長の野望」も反戦的なメッセージを込めて創られたゲームなのだとしたら、その野望は取りあえず成功だ。少なくとも一人の青年の心にはずっしりと刻み込まれた。

信長の野望が達成される前に「信長の野望」の野望が達成された形になったのだ。

~おわり~

「信長の野望」はその後やる気を無くして、でも500円もかけてダウンロードしたから、という理由で一年ほどムダに持ち続け、そして削除しました。
今は、ケータイでは争いのないクロスワードパズルなどで楽しんでいます。