久しぶりの更新は、超真面目、超お固い話です


これまでワタシは、

「タイヤはハイトが高い方が、原理的に剛性もグリップも高い」

「すべてを犠牲にして速さを追求しているF1マシンのタイヤだって、扁平率は55%ぐらいなのだから、市販車ならせいぜい50%までで十分」

「ロープロファイルタイヤなんて、ルックス以外百害あって一利なし」

といったことを色々なところで語ったり、書いたりしてきました

(かなり少数派の意見ですが、原理原則的に正論だと自負しています)


で、その話をしはじめると、非常に長くなるので、この件については、いずれまたじっくり語りたいと思いますが、今日はそのロープロファイルタイヤ、インチアップに関するもう一つの謎に迫ってみたいと思います


それは

インチアップすると、本当にエアボリュームが減るのか?
という疑問です


自動車雑誌を見ても、タイヤショップの店員と話をしても、まことしやかに「ロープロファイルタイヤは、エアボリュームが少なくなる」といいますが、果たして本当にそうでしょうか?

本当だとすれば、何パーセントぐらい減るのでしょう?



前々からすごく気になっていたのですが、きちんと検証したという例を寡聞にして知らないので、我が自動車体感研究所で調べてみました


比較してみたのは、

225/50-16と255/35-18の2本

インチアップが前提なので、外径サイズ=630ミリの2本を選んでみました


ここではエアボリューム=「タイヤの中の空気容積」として話を進めるので、単純にそれぞれのタイヤの容積を比較してみることにします


容積(体積)というのは、学校で習った通り「奥行×幅×高さ」で求められるので、

タイヤの場合は、まずサイドウォールの面積を計算し、

「サイドウォールの面積×トレッドの広さ」で容積を調べることにしました


タイヤを横から見て、ホイールの部分をくりぬいた円の面積、つまりドーナッツの部分(サイドウォール部)の面積を求めるには、ちゃんと公式があるんです

それは「A(面積)=π(外径の二乗 - 内径の二乗)/4」だそうです

(※ π=3.14とします)


この公式にしたがって計算すると、

225/50-16の外径は厳密にいうと631ミリで、16インチなので内径は406.4ミリなので、

サイドウォールの面積は、175055.03平方ミリメートル

それに幅=225ミリをかけたのが体積なので、

225/50-16タイヤの体積は、39387381立方ミリメートルとなります


一方、255/35-18は、厳密にいうと外径が636ミリで、内径は18インチ=457.2ミリ

したがってサイドウォールの面積は、153439.36平方ミリメートルで、

それにタイヤ幅=255ミリをかけると

体積は39127036立方ミリメートルとなります


ということは、たしかに容積は

「225>255」と確認できるが、その差はというと

体積にして260345立方ミリメートル


これではわかりづらいのでパーセントでいうと

255/35-18の体積は、225/50-16の99.339014%

だったということになる!

(ワタシの計算が合っていればのハナシ……)


つまりその差は、約0.7%だった


この数字を見て、

「やっぱりインチアップすると、エアボリュームが減った」と受け取るか、

「なんだ! 全然変わらないじゃないか!」というのは、また議論の分かれるところかもしれないが、

少なくとも当研究所のとしては、

「インチアップしても、エアボリュームは変わらない」

というのを今回の結論としておきたい

(つまり、ロープロタイヤが、ボディへの入力が厳しく、ピーキーなのは、エアボリューム以外の理由があるということ。その理由もはっきりわかっているので、また今度……)



厳密に言えば、2つのタイヤの外径は、同じ630ミリサイズといいつつ、5ミリ違うことになっているし、

サイドウォールの厚さや、構造だって違うので、内容量がそのままこの計算通りだとは思はないが、とりあえず、「インチアップしたらエアボリュームが減る」というのは、ちょっと鵜呑みにできない話だと思う


ラフ&アバウトな性格のワタシが、パパッと計算してみただけなので、間違いの指摘や反証事例が出てくることは大いに考えられますが、今後の論議のたたき台として、ここに提示させていただきます