『球場にいるすべてのおじさんは少年である』

 

これを書いているのは2023年8月

私の野球三昧の二日間を書き残したい

初日はホーム球場である神宮球場へ、

ここ神宮の杜には贔屓にしている東京ヤクルトスワローズを応燕しに

それでも熱狂的なファンには到底敵わないがホームゲームがあれば週1回のペースで駆けつけている

 

昨今のチョイとおしゃれな球場とは違い屋根のない神宮球場は高気圧が直に降り注ぎ、

滴る汗を永遠と拭い続ける。

人口密度はまるでスクランブル交差点のど真ん中で決して爽やかではない香りが一体を覆い尽くす

また、喫煙所には30年は通っているであろう諸先輩方が占拠し

そこに漂う昭和感と真っ白な煙で目が痛くなるがどこか暖かいhi-liteである

そう、この一見すると劣悪な環境下での野球観戦

だがそれでいい、いやそれがいいのだ

夏には花火が打ち上がり熱帯夜を切り裂く直球が、

打者を翻弄する変化球とこのビールがまたうまい

千両役者の登場にさらに熱を帯びていき

代打の神様が燕を勝利へ導いた日には忘れることのできない1日となる

 

 

一転、2日目は東京ドームへ

サントリードリームマッチ

こちらは往年の大スター達によるチャリティーマッチである

地方出身者の私にとって東京ドームは特別であり、中継の終わりに映し出されるその緑に光るドームの文字に憧れを抱いたものだ。

そして今日はまさしくその少年時代にブラウン管の向こう側で躍動していたヒーロー達が空調の整ったこの球場のダイヤモンドを駆けている

目の前で繰り広げられる、真剣勝負といい意味で緊張感のないゲームは笑いを取りながらも観衆をヒートアップさせていく。

現役時には実現できなかった元チームメイト同士によるマッチアップ、

歴史を辿る再現の数々

ほんとヒーローはいくつになってもヒーロー

そんな私も幼い頃、何の根拠もなく自分は特別な存在であり

ヒーローになれるものだと本気で思って過ごして、、、と、これは長くなりそうなのでまたの機会に

 

 

このように野球観戦が生活の一部と化している私にとって

一時期、世を賑わせていたホームランボールを奪った!ように見えた?出来事があった。

決して他人事ではない

色々な意見が飛び交っていたが如何だろう?

私はあのおじさんを責める事はできない

 

なぜなら、

定期的に流れるご自身のお座席でご覧下さいと言うガイダンスとボールが飛べば危険を促すアナウンス

そんなもの、そのフットワークで軽くいなして

印籠片手にこれが目に入らぬかと

遥か彼方からから走り迫って来る少年達がキッズの特権を全力で行使してくる。

また、周りの大人達が作り上げるその雰囲気というフィルターを通してさらに威力を発揮していくのだから罪な奴である

 

そんな彼らに世の中の厳しさと現実を。

そして何よりも可愛いという最強の武器を振りかざすのは

今ここでは無いことを大人は示すべきではないだろうか

確かに欲しい物を欲しいと口に出すのは大切なこと

しかしそれを手にする事ができるのは血の滲む努力をした一部の人間とAクラスのお姐さんであり、決して少年水戸黄門ではない

 

そう、子供相手に大人がすべきことは負かす事であり真剣勝負をすること

世界のケイスケ・ホンダも言っていたような

 

ただ、大人げないという声も理解はできる

たしかに年功序列を重じてオフィスで権力をふりかざし昔話に花を咲かせた日には老害以外の何者でもない

 

では是非、一度球場を見渡してみてほしい

皆が憧れの背番号を身に纏い

声を張り上げ、一喜一憂しながらも拳を振り上げるその姿を

 

 

 

そこで皆に問いたい

今、目の前にいるのはおじさんか?そして私はおじさんなのか?

いや、僕は少年だ!

そうとなればこの少年大人がすべき事は真剣勝負の一択だろう

控えおろう!

 

それでも、それでもね、いや流石に無理があるとそう仰るのであれば

推しの選手以外のホームランボールはあえて譲ることにしよう

それも少しオーバーに

こんな私も猫を被らせたら中々なものよ

色めき立つギャラリーの熱視線を全て掻っ攫う

外野席にも役者はいる

そう、綿密な計算のもと最後においしい物をいただくのが大人の醍醐味

黄門ちゃまよ、周りを味方につけるにはこんな方法もあるんだぜ

これが両切り缶Peace大人の武器だ

 

でも、こんなにも本気で

自分以外の誰かを応援する事ができるんだから

そばにいる人も応援してみない?

夏休みが終わっても、そして球場の外にだって陽が当たればいいなとそう思います。

Do you believe me? And do you need me?