中国の人民の所得について分析する。
具体的には、「都市住民の1人当たり可処分所得」と「農村住民の1人当たり純収入」を比較する。
これにより、都市部と農村部で、人民の間に所得の格差がどのくらいあるかを見る。
詳細は、中国国家統計局を参照。http://www.stats.gov.cn/english/
90年代以降のデータだが、都市・農村問わず、人民の所得は基本的に増加し続けている。
ただし、両者の間では、その増加ペースが異なり、その結果水準も格差がある。
90年代に市場経済を推進した結果、経済格差が拡大し続け、それは00年代に入っても埋まらなかった。
グラフの上の増加率を見てもわかる通り、00年代は増加率で、都市が農村を上回っている。
その結果、98年には2.51倍の格差だったのが、09年には3.33倍にまで格差が広がった。
10年代に入り、ようやく増加率で農村が都市を上回るようになり、13年には3.03倍と格差は若干縮小した。
それでも、国内で3倍もの格差が残っているのである。
この格差の動向のみに着目したのが、以下のグラフである。
薄い青が、1枚目のグラフの「都市住民の1人当たり可処分所得」を「農村住民の1人当たり純収入」で割ったものである。つまり、都市と農村の経済格差である。
濃い青が、以前にも掲載した、経済格差を表すジニ係数である。
ジニ係数のデータは世界銀行から取っている。http://www.worldbank.org/ja/country/japan
細かい所は別として、やはり「経済格差」という同じ内容に関するものであるため、両者とも概ね同じ動きをしている。
つまり、市場経済を推進した90年代には、経済格差は拡大している。
また、それを是正しようとした00年代も、ペースは鈍化したものの、経済格差は拡大が続いた。
それが10年代になってようやく、経済格差は縮小しつつある。
それでも1枚目のグラフで述べた通り、都市と農村では3倍もの格差が残っている、ということである。