空気が透き通ったある山奥の夏のオートキャンプ場。
「佐藤家」は一家4人で夏休みに二泊三日のキャンプをしに来ていた。
お父さんと息子は昼からテント張りと料理の準備で大忙し・・・
テント張りと料理は「佐藤家」の決まり事で 男の仕事だ。
キャンプで一番楽しい時は、夕食の時間である。
普段と全く同じ食材であっても、大自然の真ん中で食卓を並べてみんなと食べる時は、最高級焼き肉店で食べる焼き肉も、見劣りするぐらい美味しく感じる。
キャンプで起きる全ての出来事を至福として体全身で感じて、キャンプに居ること自体が楽しくてしょうがない。
しかし、楽しい時間も、あっと言う間に過ぎ、日も暮れて夜になって行く。
今は夜中の12時である。
ここは、テントの中。
昼間、息子は走り回って疲れたのか、もう深い眠りについている。
お父さんはビールの飲み過ぎで、笑いながら不思議ないびきを掻いて寝ていた。
お母さんと、明日香が夜中、一緒に星を見る約束をしていた。
お母さんは、お父さんのいびきが あまりにもうるさく、また 笑っている寝顔があまりにも不気味だったので、鼻をつねってみようかどうか迷っている時だった。
明日香がテントの出口から顔を出し、みんなを起さない様に小声で言った
「見て! 見て~! お母さ~ん・・・・」
「どうしたの 明日香ちゃん?」
「お空に雲がいっぱい出ているよ。キラキラして綿菓子みたい・・・」
見上げると、天の川が鮮明に見えた。
明日香は、天の川を雲と間違えたのだった。
お母さんが、そっと見上げて言った。
「本当ね・・・綿菓子みたいで美味しそうね」
「でもね、あれは 天の川って言うのよ」
「あ・ま・の・が・わ?」
「そうよ 天の川」
「雲みたいに見える所はね、天の川と言ってお星様が、
ものすご~く、いっぱい集まっているのよ。あまりにもお星さまの数が多くて、雲みたいに見えるの」
「ふ~ん・・・・雲がみんな お星さまなんだ~。
明日香、雲の所に行ってみたいな~・・・
そして綿菓子をいっぱい食べたいな~」
「そっか~・・・じゃあ・・・行ってみようか~」
「うん。行こう!!」
冬の夜空は空気が透き通っていて、空気の揺らぎが少ないので星の輝きが鮮明に見える。
しかし、日本がある北半球から見る天の川は、夏に見るのがとっても幻想的だ。
夜空に一筋の雲。
いや、雲の様に見える星の集まりが、より大きく見えるのが夏の夜空だ。
15年以上前、富士山五合目近くの大きな駐車場で夜中に見て以来、もうかすかな記憶の中である。写真では毎日でも見る事が出来るが・・・・・
私には好きな言葉がある。
その言葉が、かなり以前から頭の中で表れては消え、消えては表れていた。
まるで 宇宙の何も無い空間で 科学が発達した今の時計でも測る事の出来ない瞬間に
物質と反物質が発生しては、ぶつかって消えるといった具合に・・・・