実家のお仏壇にお線香を点てて、その日あったことを報告するのが好きです。

実家から帰った夜、寝ようと真っ暗な部屋で横たわると、鼻の奥にお線香の香りがなんとなく残ってる気がして、不思議だなぁといつも思う。


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祖母は先立った祖父の仏前に、毎朝早く炊きたてのご飯をお供えして、読経していた。

お線香の香りを嗅ぐと、いつも思い出す姿だ。勤勉な人だった。

ある朝、祖母は仏前で泣いていた。

祖父のことを思い出していたのだろう。

幼いながらに、その姿から、愛する人を失う淋しさを知ったものだ。

そんな祖母も私が高校生の頃に亡くなった。

晩年、1人暮らしでは心許なくなった祖母は、私たちの家の近くへ引っ越してきた。

でも、祖母はその頃から急速に元気を失ってしまった。

幼かった私には、イマイチその理由が分からなかった。近くに住めて私は嬉しかったから不思議だった。

でも今なら、とてもよく分かる。

祖父との思い出の詰まった、大事な場所だったのだ。そこを離れて辛く不安で淋しかったろう。でも誰にも言えなかったのではないだろうか。

どうしてこんな簡単なことを理解してあげられなかったのだろう。

祖母の気持ちに寄り添うことができなかったことを私は今でも後悔している。

歳を増すごとに、祖母の気持ちが理解でき、切なく、やるせなくなる。
今年も命日が近くなり、また胸が締め付けられる。

消せない後悔が、積もっていく。


目まぐるしい毎日に、「感じること」が、おざなりになり、すぐに目を背けてしまう大事なことが沢山ある。

毎日、積み重なる刹那を大事に、少しでも悔いのない生き方をしたい。