そうだ、バイクに乗ろう。

そうだ、バイクに乗ろう。

バイク、SK8、日本語、旅行、コーヒー、本・・・日本、マレーシアでの思い出話。

仕事だけが海外生活じゃない!趣味を中心にマレーでの生活を紹介します。

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福岡で日本語教師をしていたころ、金曜に仕事を終えてバイクで走りに行くことがあった。仕事を終えてからなので夜、向かっていると深夜になる。行き先は、阿蘇の外輪山。

距離、環境ともに走りに行くには申し分ない。

 

日中は暑さが残るが、夜風がひんやりと感られる季節だった。

高速を下り、菊池渓谷を抜けて阿蘇の外輪山に出ると、妙に明るい。もちろん街灯なんてない。

当然のように見上げた空には雲ひとつなく、見事な満月が浮かんでいた。360度見渡せる外輪山の草原がスポットライトを浴び、どこまでも広がるすすきの穂から柔らかい光が放たれているる。

 

夜風はない。車も走っていない。エンジン音とヘッドライトだけが広大な静の景色の中に動きあるものの気配としてその存在を拡散させている。しかしそれも、降り出した雪がアスファルトに吸い込まれるように、ススキの草原に落ちてゆく。

 

走りながらバイクのライトを切ってみる。

目の前の道路は輪郭を曖昧にしたが、ぼんやり浮かび上がった白いラインが行く手を導く。

 

下り坂でエンジンを切る。

すーっと背筋を流れる落ちる一筋の水滴のように、タイヤの摩擦音だけを残しバイクは静の世界を滑り抜ける。

愛車のジャグァ(Proton WIRA)を知人から買って、1ヶ月。今週はトラブル続き。


まず週明けにはエンジンがかからなくなった。2,3日前からセルを回すとゴロロンと嫌な音がしていた。ぼちぼち修理に持っていかないかんなーと思っていたら、エンジンがかからなくなった。

どうにかこうにか修理やに持っていったら、「missing one bolt」と車屋のおっさんに言われてしまった。


おっかしいなー。どこでボルトをなくしたんだろう。前の日の朝、会社に行くときは確かかばんに入れていて、家に帰ってから机の上に置いた気がするなー。それから見た記憶がないから・・・


って、おいっ!財布やケイタイやないんやから、そんな簡単にボルトをミッシングするわけあらへんやろ!!ぼろいぞ、ボロトン。じゃなくて、プロトン。じゃなくてジャグァ。



ボルトを新たに付け直して、やっとこさ直ったと思った翌日。事件は起こった。



セルが直ってルンルン気分でジャグァを運転していると、前の車が左方の脇道に入ろうとした。しかしその日は特別なイベントあるらしく、警備員がその車を止めてしまった。後ろについていた俺は、かわして進むことができなかったので、待っていた。すると、止められた車が下がってくる。さらに下がってくる。どんどん下がってくる。


 「うーん、これはいかん。俺の存在を認知してもらわなければ」


ということで、クラクションを押す。


 「プップップップ~」


よかった。今日は鳴った(鳴るときと鳴らないとき、半々)。


しか~し、まだまだ下がってくるではないか!!


 「いや~ん、認知してよー!!」


 「バキッ!」


あ~あ、掘らせられちゃった。


 「バキバキバキバキッ・・・」


 「まだ下がるんかいっ!」


と、つっこみが入ったところで車が止まった。



こちらは完全に停止している。車間距離もとっていた。後ろを見ずに下がってきたのは、あちら。非は完全にあちらにある。ということで、強気で車から降りて行くと、開口一番あちらのにーちゃん、


 「何で進んでくるんやっ!」


 「はにゅっ?」


さすがの大仏様の私めもかっちぃ~んときました。


 「われぇっ、何さらしてケツかんどんねんっ!!こっちは一寸たりとも動いてへんだやろうがぁ、ぼけぇっ!!!」


なーんて、まくし立てると、やっとあちらのにーちゃんも反省の態度に。


 「はぁ、よかった。」


と、一安心していると今度は車の中からにーちゃんの奥さんが出てきた。


 「ちょっとあんた、どこの馬の骨か知らないけれど、よくも私たちの車にカマ掘ってくれたわね」


 「はにゅにゅっ??」


旦那が旦那なら、妻も妻か!治まりかけた俺の大魔神が再び怒りモードになる。また同じセリフ。



朝っぱらか膨大なエネルギーを使ったが、ようやく相手に非を認めさせることができた。そして翌日修理工場へ。



相手の車はにーちゃんの父親の車らしく、保険は使わないとのこと。いや、本当は使えないのか入っていないのかもしれない。

なので、にーちゃんが自腹を切って修理費を出すことになった。当然安くあげたいにーちゃんは、ちょっと離れた修理工場を指定してきた。


行き着いた先は、ここに修理工場があるのか?と不安になるような、空き地の一角。確かに車はいくつか止まっているが、あとは工場というよりは、掘っ立て小屋があるだけ。しかし、にーちゃんは気にすることなく掘っ立て小屋に入っていく。どうやら本当に工場のようだ。


しかし、あいにくその時間はお目当ての修理工がいなかった。1時間後に帰ってくるらしい。事前に確認しておけよ!とまたまた文句を言いそうになったが、ここはマレーシア。そんなことはよくある。

1時間も時間を無為に過ごせるほどの魅力は掘っ立て小屋にはない。かといって、にーちゃんと近所でお茶する気にもなれなかったので、1時間後に掘っ立て小屋に集合することでその場を後にした。しかし、これが間違いだった。


適当にブラブラし、俺は掘っ立て小屋に戻った。待ち合わせ時間5分前。当然にーちゃんはj来ていない。時間より早く来ているとは期待していなかったので、しばらく待つことにした。


約束の時間になったがまだ来ない。10分過ぎ、20分過ぎ・・・しかし、来ない。


約束の時間に来ないことは、マレー人にとって当たり前だが、こんな時は別だろうと思っていた。しかしそれは甘かった。30分経っても来ないので、いい加減電話をかけることにした。


「今、どこ?」

「今、向かっているところ。15分で着く」


15分ということは、30分は来ないという意味。予想通りそれから30分経っても来ない。40分後また電話した。ちょっとイラッとした声色で。


「どこ?」

「近く。もう着く」


結局、きゃつが来たのは、それから10分後。俺が約束の時間に掘っ立て小屋に来てから1時間以上経ったことになる。俺はぶつけられたほうなのに。


さすがにこれは文句を言おうと、腹に決めていた。きゃつが遅れてしまったことを詫びながら車から降りてきたとしても。


けれども、車から降りてきたきゃつは、まったく何事もなかったかのような態度。どうやら、マレーではとことんまで時間に関する認識が鈍いようだ。そんなことをこんなところで改めて認識させられた。


しかし、それで自分の怒りが治まるわけではなかったので、多少誇張して怒りの態度を示した。そこでやっとにーちゃんはこちらの不満がわかったらしく、謝ってきた。


 「あーあ、また時間に細かい日本人像をマレーの人に植え付けてしまった」


怒りが治まった後は、そんなことも思ったが、それはもう仕方がない。それは事実なんだから。



その後はスムーズに話が進み、結局その日には修理が済んで、支払いもにーちゃんが全て負担した。



ボンネットの閉まりは悪くなったけれど、マレー人の気質を改めて知らされる出来事だった。

またまたパンクした。今回で2回目。


同僚と晩飯を食った帰り、いつものようにバイクを走らせていると、なにやら違和感がある。


気のせいだと思うようにしてなおも走り続けても、違和感は大きくなるばかり。違和感が確信に変わる。


それでもパンクと認めるのが嫌で、気にしつつも走り続ける。


しかし、やがてまともにまっすぐ走らなくなった。


「あぁ、パンクや。」


時間は夜9時過ぎ。さすがのマレーでもこの時間に開けているバイクやはない。


しかたなく、シートから腰を浮かしながら、ノロノロと坂を下る。腰を浮かしてタイヤにかかる負担を減らそうとおもったのだけれど、果たして意味があるのか、ないのか。


どないしようかなーと考えながらノロノロ道の端っこをイモムシのようにヘコヘコ走っていたら、坂を下ったところにガソリンスタンドが見えた。


ガソリンスタンドはガソリンを入れるところで、パンクを直す所ではない。けれど、このまま家まで帰ったところで、家に専属のメカニックがいるわけでもなし、パンク修理キットがあるわけでもなし、あ、いや、パンク修理キットはあるが、この時間から作業するのは気が滅入る。とにかく、まあ、ガソリンスタンドに寄ってみることにした。


「あのー、すんません、パンクしたんやけど、直せる?」


スタンドのにーちゃんに聞いてみると、あっちに行けとスタンドの端の方を指差す。


たらい回しの予感。


そちらに回ってみると、そこのガソリンのレーンはバイク専用のレーンでバイクがずらりと並んでいる。


そこにいたおっさんに同じ事を聞く。あまり期待せずに。


するとおっさん、あろうことか、ちょっと待てと言う。このおっさん、直せるのか?


希望の光がマレーの夜空に灯される。


手元のバイク連中をさばくとおっさんはオフィスの方へ行ってしまった。道具でも取りに行ったのかと思ったが、帰ってきたおっさんは手ぶら。がっくし。


しかし、おっさんは言う。


「今、電話したから、しばらく待ってろ。」


どうやらおっさんは、パンク修理のデリバーを呼んでくれたようだ。


待つこと30分。カブに乗ったパンク修理のデリバーのおっさん到着。ガソスタの端ですぐにパンク修理にとりかかってくれた。タイヤを外し、チューブを交換し、またタイヤをはめる。所要時間15分。あっという間に修理は終わった。お値段RM15(約450円)。


パンク修理のおっさんと、ガソスタのおっさんに礼を言い、再び帰路につく。渡りに船、パンクにおっさんな一日だった。

 昼飯を食おうと思い、いつもの麺屋に向かう途中、右折待ちをしていた。対向車線は渋滞中。車と車の間をすり抜けて渡れるかと思ったが、間隔が狭かったため無理をしないことにしたした。


 隣にある対向車線の車はプロトン(マレーの車)。その前はBMW。その前の前はプロトン…。と続いていたが、突然俺の真横のプロトンの前のBMW(反対車線なのでつまりは俺の右後方のBMW)のバックライトがついた。こんな渋滞でバックするのかな?と思う間もなくゴツーン。案の定後ろのプロトンに当たってしまった。



「あぁ、事故や、どんくさ。こんな渋滞でバックできるわけないやん」



なんて思っていたら、そのBMWが前進し、再度助走をつけてバックしてくるではないか!

「何事じゃ」と思うが早いか、プロトンに再度体当り。



 ガチャーン!



 しかしBMWはまだ足りないらしく、さらにたっぷり助走をつけての3度目の体当り。3度目はかなり勢いがあり、ぶつかられたプロトンはその後ろのホンダに逆玉突きを食わせる羽目になってしまった。



 割れるBMWのリアガラス。煙を吐くプロトンのボンネット。逆玉突きでとばっちりを食うホンダ。呆然とするプロトンの運転手。ただならぬ事態にドンブリ片手に集まる群衆。


 ようやく事態がのみ込めたプロトンのにーちゃんは勢いよくドアを開けた。



 しかし・・・ バコッ!!



 そこにはプロトンの真横で右折待ちしていた俺のバイクがあった。まともに横つらをヒットされ、よろつく俺。



 転倒は免れたものの、けんかを売りに行くにーちゃんを阻んではいけないと、泣く泣く現場を去った。少し離れた場所にバイクを置いて急いで現場に戻ってきたが、車はすでになく、割れたガラスの破片と群集だけが残っていた。



一体何が起こったのだろうか。

  とある日曜日、いつものようにSK8にいそしむ。真昼間のくそ暑い時間から始めたので、周りには誰もいない。けれど、日が傾くにつれどこからともなく人が集まり、いつの間にかスケートパークは人だらけ。スケボーもいればBMXもインラインスケートもいる。裸足でかけまわるちびっ子もいる。あまりの人の多さに練習しづらくなり、対面にある小さい方のスケートパークに移動。


 休憩がてら対面のBMXを見ていたら、数いるBMXerの中で風格を漂わす猛者発見。他のやつらが360なんかに翻弄されているのに、一人かる~く、バックフリップを決める。



 バックフリップって、そんなに簡単にできるもんなん?


 う~ん、マレーのXスポーツも懐が深い。

 フロントフォークからオイルが漏れ始め、たいそう前からウインカーならびにテールランプが点かなくなっていたので、いつものバイク屋に行った。


 前からいた修理のにーちゃんが相変わらずセクセク働いていたが、前に見たときよりも随分痩せている。あまりの変わりように、最初は別人かと思ったほどだ。バイク修理工にもいろんな苦労や悩みがあるんだろうか。あるんだろうな。


 修理箇所を適当に説明し、あとは任せる。ただ待っているだけでは退屈なので、同じ並びにあるバイク屋をぶらぶらと眺める。この通りはバイク屋が並んでいて、どこもかしこも似たようなバイクを売っている。客は一体何を基準にバイク屋を選ぶんだろう。たまたま入ったバイク屋なのか、それとも値段が安かったところか。そういう自分は、ボスに英語が通じるという理由で選んだ。





 修理が進み、ライト類が点かない原因がわかった。バッテリーのコネクタが溶けていたのだ。おおよそ、スコールが降ったときに漏電でもしてショートしたのだろう。バッテリーを新品に換える。

 しかし、バッテリーを新しくしても、なぜかウインカーが点かない。修理工のにーちゃん、今度はウインカー本体を交換する。今までは小さいタイプを使っていたが、いや、使っていたと言ってもまともに点いたためしがないので、くっついていたという方が正しいのだが、今度は大きいタイプに変更。ようやく点いた。


 さらに、ちょっとよそ見をしていた間に、にーちゃん、ドリルで何やら削り始めた。特に気にもとめなかったが、後で確認すると前のウインカーの取り付けが悪かったので、カウルが削られウインカーが付け直してあった。所有者に無断でカウルをガリガリガリ。カウルなんて大切じゃないんやな、多分。


 ついでだから、半年ほど使っていたハコを外し、修理工のにーちゃんにプレゼントする。というのも、ビールなどあまりに重い物を入れすぎていたために、だんだんとハコの位置が下がっていたのだ。最初はハコを支えているフレームが弱くて曲がってしまったのかと思っていたが、シートを外して驚愕。なんとハコからのフレームをとめているバイクのシートレールが今にもねじ切れんとしていたのだ。金属疲労というにはお粗末すぎる。このバイクもいよいよ古いということか。


 何やかんやで、作業に2時間ほどかかった。電気類修理、フロントフォークOH、バッテリー交換で締めてRM80(約2400円)也。

 

 マレーシアにある、といより世界展開している某有名語学学校で英語を勉強していた同僚の下に、クリスマスカードが届いた。毎日暑いとはいいながら、いつの間にかそんな季節になっていたのである。



クリスマスカード1


 暑いからクリスマスっちゅう気分が出んよなー、なんてぼやきながらも、カードのその素敵なデザインにしばし目を惹かれる。なかなか手のかかったクリスマスカード。さすが大手・・・




ん?






最近、目が霞むな・・・







ん、ん??





!!!





クリスマスカード2




 ヌリークリスマス?




 いや、いや、そんなことはない。天下の大手語学学校だ。もちろん、日本語のレッスンもある。カタカナを間違えることなんて、ありえない。俺の目が疲れているだけだ。


 よし、目薬でもさして、めがねをかけよう。







クリスマスカード3


 


 ・・・




 あ、ありえねぇ。




 何度も言うが、世界展開している天下の有名大手語学学校ベル・・・。




 これは何かの間違いだ。


 いや、そうでなければ、クリスマスには「ヌリークリスマス!」と挨拶するのが本当で、日本人が長い間勘違いしていたに違いない。仏教国にキリスト教のイベントを中途半端に持ち込んだのが災いしたのだ。そうだ、そうに違いない。


 メリークリスマス・・・


 あぁ、メリーだなんて、何て恥ずかしいんだ。今までしたり顔で、さも知ってるかのように声高に言っていた自分が恥ずかしい。今すぐ悔い改めなければ!



 幸運にもこれを読んだ皆さん、今までの我々の間違いを悔い改め、そして、叫びましょう。




 

 ヌリークリスマス!!!

 同じアパートにちびジャイアンというのがいる。もちろん俺が勝手に名前をつけた。本名は知らない。小学生ぐらいのちびでちょっと小太りで何となくジャイアンを連想させる風体をしている。でも、顔は無垢でかわいらしい。


 同じアパートに住んでいるから、時々顔を合わせる。だいたい土日に見ることが多いが、時には俺が残業をして帰ってきた10時ごろにまだ外でサッカーなんかをしていることもある。今まで彼の遊び相手は、ちびジャイアンのお姉さんと思しき女性だったが、最近は新たに引っ越してきたのか、同年代の男の子と遊んでいることが多い。


 さらにちびジャイアンには弟らしきのもいて、これがまたかわいい。小ちびジャイアン。幼稚園生ぐらいだろうか、目がくりくりっとしていて髪はチリチリ。よく兄貴のちびジャイアンのやお姉さんにまとわりついて遊んでもらっているのだが、俺がバイクに乗って帰ってきたり、ヘルメットを持って出かけようとすると、つたない英語で「ハロ~」なんて言いながらひょこひょこ近寄ってくる。近寄ってきてはごにょごにょごにょと何かしら話し掛けてくれるのだが、そのつたなさにいつも何を言っているのかわからない。英語のようにも聞こえるが、ひょっとするとマレー語かもしれない。でも、ヘルメットを指差しながら近寄ってくるところを見ると、メットに関心があるみたいだ。

 俺のメットは日本から持ってきたモトクロス用。マレーではあまり見かけないから、珍しいのだろう。いつだったか、夜市のおっさんにそれで話しかけられたこともあるし、パン屋のおばちゃんにもそうだった。

 小ちびジャイアンが近寄ってくるといつも「かぶる?」って聞くが、彼はその都度恥ずかしそうな、ちょっと不安げな目をして、首を振る。そして、別れるときはいつも「グッバ~イ」なんて言ってくれる。かわいいやつ。


 さて、ちびジャイアンの話。ある日、俺が例のごとくバイクで戻ってくると、ちびジャイアンが友だちと遊んでいた。その日はみんなで自転車に乗って、アパートの周りや吹き抜けをグルグル回っていたようである。もちろん小ちびジャイアンもドタバタ走りながら輪に入っていた。そして、俺が駐輪所にバイクを止めると、みんなで寄って来て話し掛けてきた。


 ちびジャイアン 「このバイクは、日本で買ったのか?」

         俺 「いや、マレーで買ったんだ。」

 ちびジャイアン 「日本から持ってきたのか?」

         俺 「いや、ここで買ったんだ。」

 ちびジャイアン 「そのヘルメットは日本のか?」

         俺 「そうだ。」

 ちびジャイアン 「Oh, so cool」

         俺 「ありがと」


 そこでちびジャイアンと一緒に遊んでいた同年代の友達が口を挟んできた。


      友だち 「お前は、こいつのいとこか?」

         俺 「???」


 最初は俺の聞き間違いかと思った。しかし、何度聞いてもどういうわけか彼は俺がちびジャイアンのいとこかと聞いてくる。いくらちびジャイアンと親しく話していても、いとこには見えるまい。どういうことかと思っていると、ちびジャイアンが何かマレー語を言いながらあわててその友だちの口をふさごうとしている。


 はっは~ん。そういうことか。


 おそらくちびジャイアンは、新しくできた友達に「俺のいとこは、日本人で、こんなバイクに乗ってるんだぜー!」ってな事を言っていたに違いない。それを友だちが直接に俺に問いただしてしまったというわけだ。うーん、まったくかわいい奴。友だちが問いただしてしまったときの彼のあわてようと、俺にそのことがばれてしまったときの恥ずかしそうな表情がとても愛らしかった。


 もちろん、俺はそれに気づいたとき、その友だちには「そうだ。俺と彼は親戚だ」と言っておいた。

 バイクから見た風景は、バイクに乗らないと見られない。バイクの価値は、バイクを買わないとわからない。ある国のバイク事情は、その国に行かなければわからない。バイクの交通事情はバイクに乗って知れ、である。


 ということで、今回はバイクに乗ったときの視点から見るマレーシアの交通事情。


 乗ったときとは言いながら、まずは乗る前の印象。



 バイクがダサい。



 自分のバイクTXR150もダサいが、隣に止まっているバイクもダサい。俺のはまだタンクを挟めるタイプで、どうにかこうにかスポーティーな雰囲気を出そうとがんばっているが、隣に止まっているバイクや、そのまた隣、そのまたまた隣に止まっているバイクは、「生活だけを考えて便利に仕上げましたー」的なセンスのかけらもないカブタイプ。何とカゴ付。しかも内側に。便利は便利。ヒジョーに便利。買い物袋を入れたり、プロパンガスを運んだり、ガキを乗せたり。使い方はいろいろだけれど、ダサさは全開。


 自分のバイクも実はカゴこそ付いていないが、箱がついている。後ろにでかいのが。

 これによって雨が降っても中身は安全。スーパーの買い物もかるーく入るとっても優れもの。でもダサい。そんなバイクのダサさに慣れてしまった自分がダサい。そして、それを甘んじて走り出してしまうのもダサい。バイクにまたがるとき、足が箱に引っかかるのもダサい。けど、走り出す。


 普通に道を走っていて、まず気になるのが通称「ボッコン」。日本の減速帯の巨大版。大きいものなら高さ30cm幅2mほどになる。知った道なら、ボッコンの場所がわかっているので予め減速しておくのだが、知らない道で調子よく飛ばしているときに急に現れるとヒヤッとする。オフ車なら確実にウィリーもしくはジャンプだろう。現地民は、さほど減速することもなくダサバイクで超えていく。俺はバイクをいたわって、ゆっくり越える。


 KLはまあまあ車が多い。バイクも多い。当然みんなすり抜けをしていく。バイクだけでなく、車もあまり他車には関心がないようで、曲がりたいときに曲がり、車線を変えたいときに車線を変える。

 車線変更をするとき、日本ならミラーを見て後続車がいないことを確認し、ウインカーを出してサッと車線を変える。マレーでは、思い立ったが吉日、車線変更したいときに車線変更を始める。ウインカーを点ける点けないは半々。ジワーっと動き始めて徐々に隣の車線に入っていく。もちろん、後ろは見ない。実に潔い。ぶつかるならぶつかれ!という諦観がある、わけではなく後続車もそれを前提に走っている。「あ、こいつは入ってくるかもなー」ってなことをサッチしたら、減速してくれるのだ。みんな後ろは気にしないが前はちゃんと見ている(当たり前か)。車線変更のポイントは、日本のように素早く動かずにジワジワ動くこと。


 日本のように周りに気を遣って譲ってくれたり入れてくれたりするのを待っていると、日が暮れてしまう。反対に、この方式に慣れれば、周りに気を遣わずに自分の好きなように道路を走れる。これは、交差点や道路の合流、一端停止にも当てはまる。信号が青でも、左右をよく確認したほうがいいし、優先道路を走っていても平気で飛び出してくるので、それを含んで走らなければならない。後ろは気にしなくていいが、前、少なくとも視界に入る範囲は十分に注意した方がいい。う~ん、これってサーキットみたい。

 ただし、細やかに注意を払って運転していたにもかかわらず、例えばすり抜けの際に車のミラーに当たったり、バンパーにこすったりしたら、笑顔で「ソーリー」と言って軽く手を挙げよう。


 マレーの高速道路はバイクにとっては楽園である。何と無料!どこまで乗っても無料。いつ乗って、いつ降りても無料。一晩泊まっても無料。車が料金所でながーい列を作っているのを横目にスーッとゲートを越えていく快感はたまらない。しかも、場所によってはバイク専用道がある。これは、幅が車一台分ぐらいの道で車道と併走している。車が渋滞していてもスーイスイッってわけである。しかし、幅があまりないにもかかわらす、飛ばすバイクはガンガン抜いていくので、フラフラ走っていると弾かれてしまう。あ~、こわ。

 バイク専用道がないところは、車道を一緒に走るわけであるが、この車道がデンジャラス。道幅は広くて舗装もきれいで、穴もほとんどあいていない。日本の高速ほどではないが、それに近いレベル。では、何がデンジャーなのか。それは、いろんなものが横断するのである。

 大きなトカゲやイタチなど動物ならば、まあ、仕方がない。山を切り開いた人間が悪いのだ。許してやろう。しかし、動物と同じようにヒトが横断するのは勘弁してほしい。車やバイクがビュンビュン通る高速道路。車線も片側2,3車線はある。そんなところをタイミングを見計らって渡ろうとする輩がいるのだ。それもけっこうたくさん。おっさん、こんなんで轢かれても誰にも文句言えんで。


 こんなダサバイクでも乗ってみると現地の人の生活リズムや時間の流れ方の一端が垣間見られる。時々輸入モンのかっちょええスーパーバイクが走っているのを見ると羨ましくもなるが、郷に入れば郷に従え。ダサバイクの国ではダサバイクに乗っておけ。それが異国でのバイク社会に馴染むための近道であろう・・・か?

 

 

 


 

 しっかし、正直言うと、やっぱりかっちょええバイクに乗りたい。久々にバイク屋を冷やかしに行ったときにマレーのバイク屋で見てしまった、新型のGSXRを。あれは衝撃的だった。後ろから見たら、まるでタイヤが走ってる感じ。イカツイこと限りなし。ほぼすでにAKIRAバイクやわ、あれは。


 バイクって、生活云々の道具っていうよりも趣味の要素が先に立ってしまうから(少なくとも自分の中では)、外国であってもそこを押し殺して乗るって事にちょっと違和感が残る。異文化で暮らして、「馴染むこと」はとても大切だと思うけれど、それと同時に「譲れないもの」もまた大事なはずだ。この国でスーパーバイクを買うことは、日本でフェラーリを買うことと変わりない。それは、現実的ではない。でも、ダサバイクに乗りながらも、譲れない部分は固持していたい。

蛸壺1

 

 世の中にはいろんなマッサージがあるようで、先日はマレー流蛸壺マッサージ?に行ってきた。

 友人に連れられ、自宅から車で走ること10分。何でもない町の一角に目的地はあった。健康についてのうんちく満載の扉を開けると、4,5人のローカルチャイニーズが足裏マッサージを受けている。「お、足つぼマッサージ、気持ちよさそうだなぁ。そっちのほうがいいなぁ」なんて思ったのは、正直蛸壺マッサージには乗り気でなかったからだ。

 基本的に体を痛めつけるのはいや。だから、ピアスとか、コンタクトレンズとかもできない。蛸壺マッサージは、中国の伝統的なものらしいのだが、初めてその話を聞いたときは気後れしてしまった。しっかし、せっかくだから何事も経験じゃ!という好奇心の方が勝ってしまって、のそのそとマッサージ屋までついて来てしまったのである。あぁ、もう引き返せない。

 そこそこ繁盛しているのか、待たされること30分ほど。店内はオールチャイ語。チャイ語はチャイ語でも、マレーで聞く広東語の類ではなく、北京語のようである。そのため、連れてきてくれたローカルチャイニーズの友人も完全には言葉がわからないようだ。大丈夫やろか、こんなんで。なーんて心配していると、お呼びがかかる。施術氏の人数の関係でまずは友人二人がやることになった。当初、蛸壺だけやってもらおうと話し合っていたのだが、マッサージャーの話ではマッサージをしてからじゃないと効果が良くないとの事なので、そうすることにする。マッサージャーもなかなかの商売人だ。

 友人がパーテーションで仕切られた一角に飲み込まれてしまったので、仕方なくボーとしていたら、いつの間にか船を漕いでいた。オバハンが俺を呼ぶ声(もちろん何を言っているのかわからない)で目を覚まし、のろのろと足取り重く施術室へ。

 先に入った友人たちは、ついたて隔ててすぐ隣だったが、マッサージの最中らしくあまり声はしない。「まさか、もう殺られてしまったのか!」なんて不安に思い、耳を澄ませていると「ブーッ」っと反対側のおっさんの屁の音が聞こえた。チッ・・・

 俺のマッサージャーは店内の様子と同じで、北京語オンリーだった。英語もほぼアウトだったが、ひとつふたつぐらいの単語は知っていた。後で友人に聞いたら、友人のところのマッサージャーは全く英語がだめだったらしい。それに比べると、まだましだったということか。ま、マッサージしてもらうのに、そんなに言葉は必要ない。身振り手振りで寝ろだとか、ひっくり返れだとかわかるし、痛いときは「イタイ!」と言えばわかる。ちなみにこのお店の人、我々が帰る頃には「イタイ」という日本語を覚えていた。

 さて、本題のマッサージ。オバハンマッサージャーが背中を中心に頭、腕、足をリンパに沿ってマッサージしてくれる。リンパに沿っているかどうかは俺の推測。時々痛いことがあったが、男に生まれた以上、そこはぐっと我慢。けれど、マッサージがひざに来たときは、反射的に「きゃいーん」と叫んでしまった。右は大丈夫だったが、左が痛かった。マッサージャーによると、水がたまっている恐れがあるらしい。んな、あほな。スケボーはしてるが、46時中やっているわけじゃない。水のたまるような覚えはありません。けれど、オバハンいわく、「バイクで転んだときのことが影響している」。う~ん。そういわれると、返す言葉がない。そうかもしれないし、違うかもしれない。素直じゃない俺は納得できなかったが、ひざが痛いのは確かだった。


 オバハンはのひざが悪いと知るや否や、そそくさと施術室を出て行き、かまぼこ板ぐらいの大きさの黒いレンガをたくさん手に持って帰って来た。「やばい、撲殺される」。マッサージ屋に行くと決まったときから俺の頭の中は殺られるイメージでいっぱいだ。もちろんオバハンは殴りかかっては来ず、そのレンガをひざの周りに添えて、テープでとめた。お~、これは気持ちいい。ほのかに熱を持ったレンガは、適度な温度をひざに伝えている。これは効きそう。


 ひざにレンガをまいたまま、今度は腰のマッサージへ。ここでもオバハン、何か異変を感じ取ったらしく、そそくさと外へ。次に持ってきたのは、小型の電気器具。何じゃ?と首をかしげている(うつぶせに寝ているので、心の中で)と、器具の末端を腰へペタリ。もしかしてこれは・・・と思った瞬間、ビリッ!ビリッ!ぬぁお!!やはりそれは電気マッサージだった。最初の電気が強すぎたのか、オバハン急いで電流を弱める。ちょっとオバハン、きぃつけてくれや!


 ひざにレンガ、腰に電気をつけたまま残りを終え、マッサージ終了。そして、メインエベント。またまたオバハンは施術室を出ていった。今度はガラガラと台車を引いている。もちろんそれには例の蛸壺がずらりと並んでいる。実は実際にやるまで、蛸壺がどうして体に吸い付くのかわからなかった。掃除機みたいに吸うのかなーなんて考えていたら大間違い。オバハンはボッと巨大なマッチをつけると、その火を一瞬蛸壺の中に。中の空気を熱して体に乗っけると、あら不思議。皮膚がどんどん吸いあがっていくじゃありませんか。感じはまさに掃除機で吸った感じ。最初は少し痛かったが、すぐに慣れた。特に気持ちいいというわけでもない。

 何じゃこりゃーと思っているうちに先に入った友人終了。ということで、写真を撮ってもらう。やはり、殺られている。

蛸壺2

           ↓


蛸壺3


 10分ほど経って、オバハン、蛸壺外す。蛸壺のついていた所が青紫に腫れ、非常に気持ち悪い。友人が聞いてくれたところによると、俺の体は悪いところが多く、もう一度2,3日中に蛸壺をやったほうがいいと言う。ただうっ血してるだけちゃうんか?と素直じゃない俺は思うのだが、どうなんだろう。

 蛸壺マッサージ。その効果のほどはわからないが、うっ血した箇所は1週間近く経った今もまだ消えない。