神戸大学岩田教授がダイヤモンドプリンセス号から強制下船させられたニュースが話題ですね。
私の理解ではこうです。
呼ばれてもいないのに船に乗り込む→俺は感染症のエキスパートだと権威を振りかざす→あれはダメ、これもダメ。ああしろこうしろと指図する→現場に疎まれる・・・→強制退去!
という流れかと思います。
この理解で正しければ、そりゃこうなるだろう、と思うわけです。
人を説得し、動かすにはどうすればよいのか。
D・カーネギー、スティーブン・R・コヴィーの著書から学びます。
カーネギーによれば、「およそ人を扱う場合には、相手を論理の動物だと思ってはならない。相手は感情の動物であり、しかも偏見に満ち、自尊心と虚栄心によって行動するということをよく心得ておかねばならない」、とこう言っています。これは人種や国籍によらず、人類不変の原則と思われます。たとえ自分が正しく、相手が絶対に間違っていても、その顔をつぶすことは、相手の自尊心を傷つけ、結局反発されて終わりです。
相手に敬意を払う、これが交渉の前提条件となります。。
交渉のゴールとして、スティーブン・R・コヴィーは次のような関係性を提唱しています。
1.Win-Win 自分も勝ち、相手も勝つ
2. Win- lose 自分が勝ち、相手は負ける
3. Lose-Win 自分が負けて、相手が勝つ
4. Lose-Lose 自分もまけて相手も負ける
5. Win-Win or No Deal 自分も勝ち相手も勝つ、それが無理なら取引しないことに合意する
これらの関係でどれが一番効果的になるかは、ケースバイケースです。しかし、そうはいっても現実の人間社会においては、ほとんどが相互依存関係であるので、結局Win-Winが唯一の実行可能な選択肢になると考えられます。
Win-Winの関係性を目指すうえで重要なことは、「まず相手を理解し、そして理解される」ということです。
相手を説得しようとして自分ばかり喋る人がいますがこれでは説得などできません。自分の意見を述べるだけではなく、相手の意見を尊重するところから、話し合いの道が開けます。そのために、相手に十分しゃべらせる。心おきなくしゃべらせてやる。それを誠意をもって聞いてやることが大事です。これが思いやりです。
そして次に理解されることを目指します。自分を理解してもらうには、勇気がいります。これが無ければ、Lose-Winの関係になってしまいます。図にするとこうなります。
戦後の日本外交はまさにLose-Winでやってきたと思います。思いやりばかりで言うことを言っていない。
今回の武漢肺炎もまさにこれでしょう。中国に慮って、言うべきことやるべきことをやっていない。
自分の考えを正確に、誠実に伝えることも相互依存関係の人間の社会では重要なのです。
では、どうやって相手に理解され説得するか。
・まず「イエス」と答えられる質問をする。はじめに“イエス”と多く言わせれば言わせるほど、相手をこちらの思うところへ引っ張って行くことが容易になります。
「検疫業務ご苦労様です。大変だったでしょう?」
「急に降って湧いてきた出来事で、さぞ困惑されたのではないですか?」
・相手に重要感をもたせる。自己の重要感に対する欲求は、人間を動物から区別している主たる人間の特性であります。
「これまでの現場の方々の頑張りがなければ大混乱になっていたでしょう。」
「素晴らしい活躍だと思います。」
・相手から「提案」させるようにする。人に自分の意見を押し付けるのはそもそも間違いだといえます。暗示を与えて、結論は相手から出させる方がよほど利口と考えられます。
「これまでの頑張りに関わらず、世間の人は不安に駆られていますね。何かお力になれますか?」
このように行けば強制下船!にはならないでしょう。
それでもだめなら「No deal」で潔く、自主退去ですね。