お兄ちゃんがシャワーから、あがってきたら謝ろう…そう思った。
私はTシャツに着替えて待つことにした。
お兄ちゃんは缶ビールを持って部屋に戻って来た。
「あ…、起きてたんだ。ちょうど良かった。オマエも飲むか?」
さっきの気まずい空気を変えようとしてるからか、お兄ちゃんは妙に明るい。
「それより…さっきは、ごめんね。私は服乾いたら帰ろうと思ってたから、そろそろ…」
私が最後まで言い終わらないうちに
「さっきまで、一緒にいたのはジヒョクなんだ。オマエ知ってるだろ?」
私は、その名前を聞いてビックリした。もともとお兄ちゃんと同じ超新星メンバーのジヒョクさん。なので前から面識は、あった。
偶然、友達の結婚式にジヒョクさんも出席していた。それで、たくさん話すようになり仲良くなった。
「実はジヒョクが最近、お菓子食べるのガマンする!って言うから…。
どうして?って聞いたら好きな人が出来たからって…。オマエのことだよ」
言いながら、お兄ちゃんは笑いだした。
「すげーかわいい奴だろ?」
私は聞いているだけで恥ずかしくなってきた。
「その時俺が何か進展あったら連絡してってジヒョクに言ったんだ。そしたら、さっき連絡来たから慌てて出かけて行って…」
お兄ちゃんは笑いを、こらえながら話続けた。
「『僕は電話してないのに電話が来たんだよ~』って、すっげえ嬉しそうなの。俺は思わずガクッとしたけどね(笑)」
そう話終えると、お兄ちゃんは急に真面目な顔になって
「ジヒョクって心がキレイだなぁと思ったよ」
実は私も感じ良さそうな人だなぁと思っていた。だから、お兄ちゃんが、そう言ってくれるなら付き合っても良いかな?と感じた。
「まぁ、また、こんな調子で呼びだされたら俺も困るから次は付き合った!かフラレた!っていう時に連絡しろって言ったけどな。」
と、そんなことが言い合える仲なんて羨ましいと思えた。
「んでジヒョクと付き合うのかよ?!」
いつになく真剣な表情で聞いてくる、お兄ちゃんに戸惑いながらも私は
「うん、また、そのことは実際に告白されてから考えるね」
と笑顔で答えた。
「私、終電なくなるから…さっさと着替えて帰るよ。」
と、その場を立ち去ろうとした時に
「待てよ、泊まってけよ」
と腕を、つかまれた。
「さっきまではジヒョクの話。次は俺の話だ」
握られた腕は緩むことなく、じっと見つめられた。
「うん、わかったから。聞くから…」
私は、いつもと様子の違う、お兄ちゃんの接し方に困ってしまった。
結局お兄ちゃんは持ってきたビールを一口も飲むことなく私を抱き寄せた。
つづく
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