前回に引き続き、びっくり焼亭 竹嵜社長とのお話を続けて
いきます。

竹嵜社長:「そうなんですよ、実際、今、私のところに相談に
      見える方の7、8割がこれまでに全くの調理経験も
      ないような飲食未経験の方なんです…。
      最近特に多いのが、それまでそこそこの大手企業
      などで働いておられて、そろそろ定年を迎えるに
      あたって、その定年後は何をしたらいいのだろうか、
      または、これだったら自分にも出来るんじゃないか
      という感じで、その何かというものを探している方が
      とても多いですね…。
      やっぱりみなさん、定年を迎えても、だからって
      人生そこで終わりじゃないですからね…。
      年金を満額貰うようになるまでにはまだ数年は
      あるし、
      第一、それまで企業勤めをされていた方達が、
      じゃあ次に何処か働くところはないかと探しても、
      その企業を辞めてしまえば、まぁ余程のコネや
      繋がりが無い限りは、その年になって仕事を
      探すってのはなかなか難しい現実があります
      からね…」

HIRO: 「そうですよね…。 長年勤めた企業であれば、
     その年齢であっても、努めている限りはきちんと
     した仕事もあり、またそれに見合ったお給料も貰えて
     はいただろうけど、定年を迎えてしまうとういうのは、
     ある意味、残酷ですけど、もうどう抵抗することも出来
     ないものですもんね…」

竹嵜社長:「それに今のご時世、昔のように誰もが円満退社で
     十分納得のいく退職金を貰える訳でも無いようです
     からね…。
     先日、相談に見えた某企業の役員さんなんか本当に
     可哀そうなものですよ…。
     その方の話によると、ある時、その方の部下が社内で
     横領を働いた事件があったそうあんですが、
     最終的にはその損害の一部を、本人が返しきれない
     部分の一部を直属の上司としての監督不行き届きだ
     ということで大部分補填させられては、その方は
     元々は3000万近くは予定していた退職金が、
     最終的には500万程しか入らない状態になったと
     嘆いておられました。
     その方曰く、勤続32年、これまで自分自身の全てを
     その会社に捧げては、会社の成長と共に自分という
     ものを、それが正しかったのだと言い聞かせてきたの
     に、いくら部下のしたこととはいえ、容赦のないその
     やり方には憤りを隠せず、
     もうこんな会社には未練はないと、今はその方は、
     反骨の精神で、俺は絶対にあいつらを見返してやる
     という気持ちでいっぱいだと、そう言われていました。  
     しかし、最終的には手元に残るのは約500万ばかり…。
     今持っている預貯金は、独立後はそれ以降の生活に
     充てる為に一切手を付けたくないのだが、その状態で
     何とか1店舗の店を持つことは出来ないだろかと必死に
     訴えられていましたよ…」

HIRO: 「はぁ…、3000万貰える予定のものが500万ですか…。
     それは実に可哀そうな話しですね…、
     でも、実際のところどうなんですか?
     社長はその方に、実際のところ、500万で出来ると言った
     んですか?」
 
竹嵜社長:「まぁ、出店場所によりますよね…。 
     その方は横浜にお住まい方だったので、場所的には
     何処でやりたいかと聞いたところ、その候補地は、
     やはり駅周辺の好立地な場所をいくつか候補に考えて
     おられて、私もさすがに横浜近郊のことはよく分から
     ないので、そこらへんの事情を何気なく聞いてみると、
     その候補地のどれもが、おおよそ坪1.5~2万くらいは
     する場所でしたからね…、
     いくらこの商売がスモール飲食ビジネスと言っても、
     屋台ではなく、店舗を構えて営業する訳ですから、
     まぁ、本当に小スペースの5~7坪くらいの空テナント
     があればそれで充分なんですけど、
     でも、それでもそういう物件であっても、坪単価
     仮に2万だとしたら、5坪で10万、7坪で14万にもなって
     くる訳じゃないですか?
     だとしたら、テナント賃料が10数万となると、それに
     かかってくる最初の賃貸契約は、普通に考えてもそれ
     だけで100万は軽く超える金額になってくるでしょう
     から、後はそれに、フランチャイズの加盟料やら、
     そのテナントの改装費、または営業開始までにかかる
     経費やら、その後の暫くの運転資金までを考えたら、
     正直なところ、500万というのは結構ギリギリだとは
     思ったんですけど、
     まぁ、でも、ご本人が本当にやる気があるっていうん
     だったらですね、まぁそれ位の金額があれば出来ない
     訳ではないと、そうは伝えましたよ…」

     
HIRO: 「う~ん、確かに出来ないことはないとは思いますけど
     微妙な感じですね…。
     果たして、その方が出店したいと思っている場所に、
     この商売に適した物件があるのか、
     いや、実際は探せばあるだろうけど、運よくその探して
     いるタイミングにそういうのが出てくるかが結構大きな
     ポイントですよね…。
     じゃないと、いくら必要なものが少ない商売とは言えども、
     完全なスケルトン状態から1軒の飲食店を作るっていう
     のは、それは、この業界に慣れていない方が、一発勝負
     を賭けてするのはNGだと、僕的にはそれは辞めておいた
     ほいがいいのではないかと、そう思いますけどね…」
 
竹嵜所長:「そうですね…、そこはHIROさんの言う通りだと思い
      ますよ…。
     それ位の金額でやろうというんなら、やっぱりどうしても
     現実的になってくるのは、いかに店舗の改装などを
     抑えて、最低限の予算で出店まで持っていくかってのが
     カギなので、
     やはりそこはスケルトンから作っていくってのは予算
     から考えるとそれはなかなか厳しいと思うので、
     タイミングよくですね、手ごろな居抜き物件などが
     手に入れば、その時はそういう場所であっても、それ
     位の予算であっても、最終的になんとか出店まで持って
     いくことは可能かなとは思いますけどね…」
   

HIRO:「で、その後は実際その方ってのは、やる方向でお話し
    は進んでいるんですか?」
 
竹嵜社長:「私も、本人がやりたいというのを無理に、ダメです、
     それじゃ失敗しますから辞めときなさいとは、なか
     なかそうは言いきれませんからね… 笑
     まぁ、相談内容を聞いて、面談をして、その方が余り
     にもこういう商売に向いていない場合や、考え方が
     違ったり、見込みが薄い場合ってのは、辞めといた
     ほうがいいですよってハッキリ言う時もありますし、
     まぁ、そういうのは本人の為ですからね…、
     実際にはどんなものにも向き不向きってものがあるのも
     これまた事実ですから…、
     そういう向いていない人にはハッキリとは言いますけど、
     その方のように、もう後がない、とにかく自分は死に者
     狂いでやるしかない、絶対にやって見せる!なんていう
     熱い方にはですね、
     まぁ、私も出来る限りの協力はしてあげたいかな…と
     そうは思いますもんね…」
 
HIRO: 「「まぁ、そうですよね…。 確かに社長のおっしゃる通り
     ですよね…。 もう後がないと、俺には前に進むしか方法
     はない、やるしかないと、そこまで思える人ってのは、
     そういう人ってのは、その後のどんな困難があっても、
     そこから決して逃げ出すこともなく、その人が背負って
     いるその重荷の大きさ分だけですね、その人ってのは
     その後をなんとかしていく、いけるんじゃないかって、
     僕もそこは社長と同じように思いますから、
     そうですね、その方にはもうここまで来たら、是非とも
     チャレンジをしてもらっては、その定年後の第二の人生
     をこの鉄板焼き料理の世界で試してほしい、
     そして、そこで、自分が賭けたものを必ず掴んで欲しいと、
     そう思いますね…」

竹嵜社長;「そうですね…。 年齢など考えずに、新たな何かに
      チャレンジをする人って私は大好きです。
      あの方のは必ず成功を掴んで欲しいですね…!」

HIRO:「そうですね…! 関東にはまだこの手の料理を出す店は
   無いですから、是非ともその方にはここで一勝負をして貰っ
   ては、是非ともその勝負に勝って、成功を掴みとって貰い
   たいものですね…」
 
     
次回からは、この鉄板焼き「びっくり焼亭」のビジネスモデルに
ついてをお話ししていく予定です。