江戸城天守閣 | 因果な稼業

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上の絵図は、国立公文書館デジタルアーカイブにある天守閣再建図です。正徳2年(1712)に新井白石らにより提出された再建図です。


江戸時代初期、明暦の大火により焼失した天守閣。
幕府権力の象徴でもある天守閣が焼失したままでは、幕府の権威にも関わると再建が練られました。
しかし、未曽有の災害により江戸市中は混乱し、まずはその復旧が急務であるとの意見が寄せられ、天守より復興を幕府は選びました
強い意見を出したのは、学者でもなく、大名たちでもありません。
市井と接する行政官である旗本御家人たちであったのです。
その後も何度か再建案は出されますが、大火や飢饉などが続く世情で再建案は明治まで見送られ続けました。


2020年を視野において、何故かこの天守閣の再建が浮上してきています。
封建社会でありながら、天守再建を断念してきた徳川幕府だったからこそ、300年もの長き渡り、その体制を維持出来たのではないかとも思います。


江戸城に天守が長きに渡り無かったのは、権威の象徴よりも復興を選んだ歴史の教訓ではないでしょうか。