私がかなり興味深く見た映画 "コンクリート・ユートピア"が
今回日本で公開されるということで、簡単な映画解説とともに、
日本人が知らずに通り過ぎてしまう、
韓国人にしか感じられない場面の説明をしたいと思います。![]()
韓国人にとって「アパート」の意味
韓国は急速な経済成長を遂げながら、
80年代にアパートブームが起こります。
それ以前は一般の個人住宅がはるかに多かったのですが、
この時期を基点にアパートの数が一般住宅の数を越えます。
中流階級の必須要件が「アパートに住んでいること」になるほど、
その当時のアパートは24時間温水が出て真冬でも暖かい一種のパラダイスでした。
韓国は序列社会です。
何であれ序列をつけることになります。
学校に通う時から成績をはじめ、喧嘩、実力、外見などで序列をつけます。
大学に入ってからは出身高で序列がつけられ、
社会に出てからは大企業に就職したのか、
職業が何なのかによって序列がつけられます。
40代くらいになれと乗っている車、
住んでいるアパートによって序列がつけられますが、
アパートにもブランドがあるため、同じ町にいても序列があります。
低い序列から高い序列に上がるために、皆がジタバタと努力をします。
外国人から見ると韓国人は活気があふれ、
きびきび行動しているように見える理由の大体がここにあるのかと思います。
自分の住んでいるアパートのレベルが結局自分のすべてを表しているので、
韓国人にとってアパートは想像以上の意味を持っているということを理解しながら
映画を観ていただくと、ファングンアパート103棟の住民たちがなぜこんなに執拗に
アパートを守ろうとするのか理解できるでしょう。
映画中盤でイ・ビョンホンがアパートの宴で歌っている歌は、
タイトルが“アパート”です。
80年代にアパートブームが起こった時に出た歌ですが、
歌詞がアパートを称える歌ではなく、
アパートに住んでいた恋人が去ってしまい、恋しがっている内容です。
メロディーが賑やかなので当時はダンス曲で、
私が通っていた大学の応援曲でした。
韓国はダンス曲でも歌詞をよく見るとほとんどが悲しい内容の曲が多いです。
私は主人公がマイクを握った時、なんとなくこの歌を歌うような気がしました。
仕方ないのならこうしてもよいのか?
映画に出てくるセリフです。
私たち人間は、とんでもない危機に接すると無意識に出てしまう行動がありますよね?
映画序盤で外部生存者がファングンアパートに押し寄せてくるようになり、
生存の危機を感じた入居者たちが会議をすることになりますが、
アパートの住民でない移住民は追い出そうという反応が大半数で、
皆で一緒に生きられる方法を考えようというのは少数意見で黙殺されます。
ファングンアパートに自分達だけの小さな社会を作り、その中でも階級と規則を作り、
生存を続けながら部外者を排斥し分裂する姿は現代社会を顧みさせられますが、
危機に迫った人間たちが見せる即刻的な反応の結果を見せながら、
同時に会議で少数意見として完全に無視された考えの結果は
どうだったのかを見せてくれる映画です。



