自分の知り合いに歌手がいる。

割とメジャーなアーティストで実力派。

上京してきて最初は小さい箱でのライブだったけど、その歌唱力から1度聞いた人は本物だなって確信するような歌を歌う子だった。

子というのは当時の彼が16歳だったからだ。
そんな彼も今じゃアラサー。

3年くらい前からすっかり曲も聞かなくなった。
ただ、どこかで今日も歌っているんだろうなっていうのは思っていて、調べれば情報なんていくらでも出てくるこの時代に調べることさえしなくなった。

たまに付けたテレビやラジオで流れてくる歌声は相変わらずのクオリティだけど、すっかり話しかけられる感じではなくなってしまった。

この状況を作ったのは他でもなく自分だった。
彼は何も変わらず自分の音楽を貫いていて、交友関係は増えたかもしれないけれど、根本は彼なのに。

先日、偶然彼のこと新曲を知った。
こんなの初めてなんだけどタイトルを見て、曲を聞く前に歌詞を見てみようと思った。

この10年で彼は大人になった。
年齢的なものよりも経験値的なほうかな。
それがもろに歌詞に書かれていた。

お世辞でも曲を聞いた感想は好きなメロディラインじゃなかったし、きっと覚えないだろうなって思ってるんだけど、この歌詞だけは彼がこれまで世に送り出してきた数百曲と比べてもデビュー曲と対をなすくらい好きな歌詞だった。

これを書いていて気がついたけど、10年前の自分と今の自分で変わらずに続けてるのは歌だけなんだよな。

自分にとって歌を歌う事は息をするようなもので、別に上手くなったからどうとか一切なにもなく、ただの自己満足なんだけど、歌ってなかったら彼と知り合う事もなかったと思うと、やっぱり歌ってきて良かったなと思う。

そして、更によくよく考えたら彼だけじゃなく彼の周りの人達とも知り合えてなかった。

人付き合いを大事にきてきたはずなのに、本当に色々ともったいない10年を過ごしてしまったなと改めて思う。

だからここからの10年は、足を止めずに過去を振り返らずに進んでいこうと思う。