夜を二人でゆくのなら
あなたが邪魔者を消して
わたしがあとからついてゆく
あなたの足跡を消して
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井上陽水の歌の中では一番好きかもしれない。
まず、世界観に圧倒されてしまう。
愛の究極の形を示すために、ライオンとペリカンをモチーフにしてる。
穏やかで地味でおとなしいペリカンが、圧倒的な強さを誇示する百獣の王ライオンに的外れに恋してしまう。
本当にあなたは何を考えてるの?
どこをどう見たって釣り合いが取れないし、どうやって生活するの?
イヤイヤ、そもそもライオンはあなたに関心があるの?
好きになってもらえるの?
ペリカンは何をどうしていいのか分からずにライオンのことを見守っていたら、
突然聞かれる。
「どうか今夜の(あなたの)行く先を教えてくれ」
ペリカンは狂喜乱舞する。
「ライオンさんったら、ペリカンの私に興味を示してくれた。関心があるんだわ!」
「ええとね、
私も今、寂しかったから
ライオンさんにすぐ教えられます
(と、太陽が上がるであろう東の方向を指さした)」
それを聞いたライオンは、
くるりと踵を返して歩き始めた
すると、ライオンを恐れて隠れ潜んでいたケモノたちが、恋仲の道行く姿を見て嘲笑った。
「おい,見てみろよあのペリカン!
かいがいしくライオンのうしろをトボトボついていくじゃないか?!
ライオンをカサにして自分までも偉くなったつもりでいるんじゃないのか」
ライオンは、その小賢しいケモノたちにさっと駆け寄り、一瞬にして喉笛を噛み切った。
「俺たちの邪魔をするな!」
ペリカンは、その凶行に震え上がりながらも、必要なことをすぐ察して、
ライオンと自分の足跡を消しながら、
置いて行かれないように必死にあとをついてゆく・・・
どうしてライオンを好きになんかなったんだろう
あのケモノたちが嗤うようにどう見たって不釣り合いだし、
だって、そもそも愛し合えないじゃない
でも、心が欲してる
どうしようもないくらいに
だから、この先どうなるかわからないけどライオンについてゆくしかない
今の気持ちに嘘はつきたくない