コンッ・・・コン・・・

 

「お父様、さあ薬湯です。お飲みになれますか?」

 

「ああ、大丈夫だ。いただこう」

 

義父の背中を優しくさすりながら介抱するウンス。

 

「世話をかけるね、ウンス。あんなに小さかった子が、すっかり立派なった。私も年を取るはずだよ・・・・」

 

「嫌だわ、お父様。まだまだ元気でいてくださらないと。さあ、もう少し横になりましょ」

 

「くくく・・・・」

 

「あら、何です?何を笑ってるの?」

 

「いや・・・こうしてウンスに看病されると、ついお前が小さかった時のことを思い出してね・・・・・・・」

 

 

 

「ととしゃま、だいじょ~でしゅか?今日はウンシュがととしゃまを見てさしあげましゅからね」

 

そう言って、横にある桶に入った布を絞りウォンジクの額に乗せるのだが・・・・・

 

ビシャ!

 

「ウ・ウンス・・・・・もう少しちゃんと絞らないと、父様の頭は水浸しになってしまうよ」

 

「??しょうでしゅか??あちゃ~~~ととしゃま、一杯汗をかいたみたくなってましゅね。今、ヨンオクにお着換えしてもらいましょうね」

 

そう言ってタタタッと走り、廊下に向かって大声で叫ぶ。

 

「ヨンオク~~~~ととしゃまのお着換え・・・して~~~~~」

 

不手際ながら、かいがいしく世話を焼くウンスに、体のきつさも忘れて心が軽くなっていく。

 

「さ~ととしゃま、お手て出してくだしゃいね。ウンシュがトクトクとお話しましゅよ~~~」

 

 

あの日の様にウンスが必ずしてくれるそれは、大きくなった今でも変わらない。

 

「お父様。手を貸して下さいな」

 

黙って差し出す腕にそっと指をのせ、その中の流れを探る癖。

 

医学を学ばぬウンスのその行為は、ただの接触でしかない。

それでも、幼きときに体験したその感触を忘れることなく大切にし、病に伏せる人を見ると必ず触る。

そして言うのだ。

 

「お父様、今日も元気にトクン、トクンって流れてます。いつまでも、この音。止めないでくださいね」

 

そう言って微笑むのだ。

その笑顔こそが癒しの微笑み。病に気が弱っていても、たちどころに活力が湧いてくるのだから・・・・・

 

「ねえ・・・お父様。私お願いがあるんです」

 

「なんだね?ウンス。遠慮はいらない。言ってごらん?」

 

「私、女医になりたいんです。だから・・・・・学問を学ばせていただきたいのです」

 

「医者になりたいのか・・・・・・父と同じ道を歩むのだな。男に嫁ぎ、家を守るだけでは嫌か?」

 

「嫌ではないのですけど・・・・・お父様の様に病に伏せったり、ヨンが怪我して帰った時に、私が治療できたらと・・・・・・」

 

「ははは。そうか、私とヨンの為か」

 

「あっ、勿論、他の人もです!でもやっぱり私の家族は他の人でなく・・・・・自分で・・・・・・」

 

「よいよい、きっかけは何にしろ、学ぶことは良い事だ。さて、こうして等いられないな。早く病を治さないと。まずは読み書きから私が教えよう」

 

 

 

「きゃ~~~見て見て。あそこを歩いてらっしゃるのは、チェ・ヨン様ではなくて?」

 

「私たち、今日はついているわね。なんて素敵な殿方なのかしら」

 

「家柄良し、眉目秀麗、書院でも優れた才をお持ちで・・・・・近い将来、立派な文官になられるだろうってお父様も目を付けてらっしゃるわ」

 

「縁組を申し込む方も多いんですって。勿論、私もお父様にお願いしたの」

 

「え?あなたも?・・・・・私もしたの。やっぱり親の決めた相手と結ばれるのならば、あの方を置いて他は考えられないものね」

 

「ずっとお側に居たいわ・・・・・勿論、狙うは正室だけど・・・・側室だってかまわないわ!」

 

 

「おい、また女子がお前のことを見てるぞ」

 

「あ?関係ないさ。全く興味ないし。俺に言わせれば鬱陶しいだけだよ」

 

「相変わらずブレないね。男なら、見初められるって悪い気はしないんじゃないか?」

 

「だったらお前が声を掛ければいいだろう?俺に遠慮することはない。そう言えばお前、そろそろ縁談の話もでてるんだろ?」

 

「まあな・・・・でも、顔も知らぬ女子・・・興味ないね。なあ、ウンス、やっぱり俺にくれよ」

 

「ダメだ。話にならん。そんなこと言うなら、もうウンスとは会わせない」

 

そんな会話をしながら歩いていると、遠く向こう側から歩いてくる影を見つけ、ヨンは突然走り出した。

 

「おいヨン、急にどうしたんだよ。まてよ~~~」

 

 

追いかけるその先にいるのは、愛おしいウンス。

 

「ウンス、どこに行ってたの?一緒に帰ろう」

 

満面の笑みで今にも抱き付きそうな勢いで向かい合うヨンに対して、どこか不機嫌なウンスに、後ろから追いついたアンジェが知らぬ顔で声をかける。

 

「ウンス、こんにちは。どうしたの?ちょっと機嫌悪い?」

 

「アンジェさま・・・・・別になんでもありません。私はいつも通りですよ」

 

とアンジェには笑顔で。

 

「もう帰るんでしょ?・・・・行くわよ、ヨン!」

 

ヨンにはどこから見ても不機嫌丸出しで、顔も見ることが無い。

 

「ちょっと待てよ、ウンス。俺、何かした?」

 

「別に~~~何もないんじゃない?ああ、そうそう。思い出したわ。お届け物ですって。こんなもの、私に渡されてもね~~邪魔でしょうがない。ちゃんとお返事も じ・ぶ・ん・っでしてね!私は伝書鳩じゃないのよ。・・・・フンッ!」

 

「お、おい・・・・ちょっと待てよ。ウンス、俺、知らないよ。・・・・・あああああ、くそっ、待てったら。ああ、アンジェ、それやる。知らないやつからの届け物なんて気持ち悪い。好きにしてくれ。とりあえず、またな」

 

届け物をアンジェに投げて、ウンスの後を追いかけるヨン。

 

「ちょっと待てよ・・・・・・俺だって困るんだけどな。どうする?これ・・・・・・」

 

アンジェは、手元に残された桃色の恋文と老舗の菓子包みを持ちながら、追いかけっこをする二人を見えなくなるまで見つめていた。

 

屋敷について、夕餉の間もよそ見して、とうとう我慢の限界にきたヨンは、ウンスの手を引き中庭見える廊下で向かい合った。

 

 

「なあウンス、いい加減、機嫌直せよ」

 

「別に~~機嫌なんて悪くないもん」

 

「嘘つけ、ほっぺがしもぶくれになってる。ほら、いつもの可愛い顔見せて?」

 

「ヨン、外でもそんな甘い言葉をいろんな女に言ってるの?」

 

「は?なんだよそれ」

 

「みんな言ってる。ヨンは優しい。ヨンは素敵。ヨンのお嫁さんになりたい・・・・・・・・あなたいつも一緒でいいわね、「妹さん!」って・・・・・⤵⤵」

 

「・・・・・・・・・はあ・・・・ウンス~~そんなの勝手に言わせておけ。ずっと前から俺、言ってるよな?誰を嫁さんにするって言ったっけ?」

 

「・・・・・私」

 

「誰が一番かわいいって言ってるっけ?」

 

「・・・・・・・私?」

 

「そこ、疑問形?何か言われても気にするなよ。渡されても受け取るな。今でも、これからも、俺の気持ちは変わらない。俺の嫁はウンスだけだ。勿論、側室だって取らないぞ!そもそも、お前だってすれ違う男ども、いつもウンス見てるの知ってる?今日だってアンジェが・・・・・・まあ、それはいいや。兎に角、ウンスの事、手に入れようとしてる男が多いんだから、ウンスこそよそ見するんじゃないぞ」

 

「あははは、まさか~~~私なんて気にする物好きな男なんていないわよ。いても、ヨンくらいでしょ?」

 

「ウンス、それ自覚なさすぎ。お前・・・・本当に最近綺麗になったから・・・・・心配でしょうがないよ//////」

 

「!!・・・・・・ねえ、それ言ってて恥ずかしくない?//////」

 

「///// 恥ずかしいに決まってるだろ?でも、言わなくちゃ・・・・・・・・・ウンス納得してくれないから・・・・・・はああ、何だか今日暑くない?」

 

顔を真っ赤にして、手で扇ぎながらそっぽうを向くヨンに、いつの間にか悋気の気持ちがどこかに飛んで行った。

 

「ヨン、大好き~~~~~浮気は絶対に許さないんだから」

 

「ううぉっつ」

 

タックルする様に抱き付いてくるウンスを転がりそうになりながら受け止めて、ヨンの腕もしっかりウンスに巻き付いたのは、秋も深まる月が美しく輝く夜。

 

ウンス・・・・・・そこ当たってる・・・・・はあ・・・俺、いつまで耐えられるかな・・・・・・

 

抱きしめながら、疼きが全身を駆け巡る。

落ち着くんだ俺。思考を外に逃すんだ。

どきどき、胸が苦しい

身の置き所がないみたいに腰元が疼く・・・・

離れればいいのはわかっておるが・・・・・・離したくないこの矛盾

 

ああああああ、どうなってるんだ俺~~~~~~~

 

 

我が家には、お年頃の男子がおらず、そのあたり全く未知の世界なのですが( ̄∇ ̄;)ハッハッハ

完全なる妄想の世界でございます。

どうなのかな・・・こんな感じ?

 

勿論まだ二人は純愛ですよ♪

親の監視下ですし、まだ大人になる為の修行中ですから~~~(* ̄▽ ̄)フフフッ♪