やっと行って参りました「京都吉兆 嵐山本店」。
去年、夫がゴルフコンペの賞品でいただいた「京都吉兆 嵐山本店」のお食事券。
と言ってもこれは一般に売っているものではなく、コンペの主宰者の中に吉兆と懇意の方がいらっしゃるため特別につくっていただいたというもの。そんな珍しいものならば・・・ということでぱちり(写真)。
いただいたのは夏だったのですが、「寒くなってから使わせて貰おう」ということでおいておいたら、あの「船場吉兆」の騒ぎ。「ありゃりゃ」と思う反面、「こんなことがあったら影響を受けて京都吉兆も予約とりやすいのでは?」などと思い12月も半ばになって年末の予定を入れようと思ったら、さすがというか予約でいっぱい・・・・。
「系列会社の不祥事なんかあんまり関係ないのかぁ。さすが一流料亭は違うなあ」と思いつつ都合をつけてやっと昨日行って参りました。
7時の予約だったので、嵐電嵐山駅に着いたときにはもう真っ暗。大堰川の流れる音を聞きながらすこし歩くと、ありました。近づいていくと玄関にいた若い男性が「ご予約のお名前は?」と聞くので名前を告げるとそのまま玄関まで案内してくれます。
玄関にはいると担当の仲居さんの案内で部屋へ・・・。
もちろん、玄関を入るとほのかに上品なお香の香りが・・・。もちろん、廊下も全部畳が敷いてあり、20畳ほどの部屋に通されます。真ん中には大きくて立派な机がどーんと置いてあり、もちろん部屋には私たち二人だけです。部屋の床の間(と言っても床の間だけで3畳ぐらいありそうです)には、椿と杉(?)を豪快に行けたもの。その豪快さに圧倒です。掛け軸ももちろん、良さげなものですが、教養のない悲しさでその真価が分かりません。自分が不調法であること、教養がないことをこんなに恥ずかしいと思ったのは初めてです。次来るまでには「優雅に動けるようになる(びびって猫背でちょこちょこ歩いてしまったので)」「少しは教養をつける」というのを目標にしました。
で、最初のお料理。
伊勢エビを焼いたのとほうれん草の和え物に揚げた米をかけたもの。
もう、これだけで絶句。なのに、私たちは最初伊勢エビが分からず「たこ?」などと言う始末。もう最初から「世界が違う」感じです。なのに、味はものすごく自然。こっているのに自然な味です。
で、2つ目は椀もの。
ごま豆腐と蛤のお吸い物。
これがもう、なんと言っていいか・・・。もう、蓋を開けた瞬間に顔がゆるみます。こんなに優しく、「滋味」と言うことばが自然に出てくる吸い物は初めて。やや白濁したまったりじっくりしたお味。
ここで仲居さんが「お味の好みはどうですか」と聞いてくれる。もう私の場合、ドンピシャで「好きな味」でした。テレビなどによるとここでお客さんの反応を見てその後の味を調整するそうです。
もう、ビールなんて飲んでいる場合ではなく「吉兆貞翁」という湯木貞一氏の名前を冠したお酒をいただきます。吉兆の料理に合わせて岐阜の蔵元でつくっているとのこと。仲居さんによると「物足りない、とおっしゃる方もいらっしゃるんですけど、うちは料理を食べてもらわんとあかんので・・・」とのこと。 実際に食べてみるとあっさりしていながら凛としたお味。私は好きな味で、このお酒でもの足りんという人がいるとは、本当に酒飲みは自分の味がそれぞれあるんだなあと思いました。