管見談 第二 士人 その21

 さてそれはなぜ利益に拘るかと言えば、皆贅沢するためである。ここ二三十
年贅沢がとんでもなく激しくなった。近頃たびたび贅沢しないようにとの命令
があるが、すこしも改まらない。ただ、衣服は鷹山公が綿の服を着ておられる
ので、男子は改めたが女子は改まっていない。少し命令が緩むといろいろ贅沢
することになる。飲食も緩んでしまう。もっとも、表向きの事は命令を守る
が、平日は守らない。かつ、うちわの客にはおいしいものを準備すれば、表向
きばかり守ったとしてもどうしようもないことである。