今回は山行きの記録です。82年だったか84年だったかもう忘れてしまいましたが、月、白馬後立山連峰縦走(途中断念)の記録をどうぞ!

 

【 計画ルート 】

猿倉―白馬大雪渓―白馬岳―杓子岳―鑓ヶ岳―天狗山荘―天狗の頭―天狗の大下りー不帰の嶮―唐松岳―五龍岳―鹿島槍ヶ岳と縦走する予定が・・・

 

さて、いつもの岩田屋山好きメンバーで、福岡から16時間ほどかけて、4人で運転を交代しながら、長野県白馬村へ到着。猿倉荘から登山開始、シーズン前なので登山客は少ない。村営白馬尻荘からちょっと行った辺りでテントを張る。

 

 リーダーが雪渓の水を含んでいた。サブリーダーが「やめたがいいよ」言うのも聞かず「うまい」と。案の定翌日から腹具合が悪くなった。

山では、上方に小屋や人がいるときは、沢の水は飲んではダメなのだ。(煮沸すれば可)。

5月だから軽アイゼンをつけ、ピッケルをもって、白馬大雪渓をゆっくりと昇る。左右の沢からザザッ―と雪崩の音がする。雪解けシーズンだ。

 

 

 

 

 

村営頂上宿舎を経て少し上ると、1000人は収容できるという白馬山荘だ。荷物を置いて白馬岳へ上る。天気はまずまず。

  

                         (下に見えるのが白馬山荘)

今日はここから天狗山荘まで行ってテントを張った。翌日は南へ下り、唐松岳・鹿島槍ヶ岳を目指す。リーダーは具合悪そうでよく遅れる。

 

さあ、天狗の大下りだ。一気に300メートルぐらい下る。下り終えると不帰の嶮。1峰を超え2峰へ、そこで、リーダーの声が「行けん!」

 

 

 「どうしたん?」サブリーダーが駆け寄る。何とルート上のハイマツに雪がびっしりついていて、全くルートが見えない。「あーダメだ!」引き返すことにした。どおりで対向する登山者がいなかったはずだ。しかし、もうちょっとで唐松岳、唐松岳頂上山荘だった。もともと具合の悪かったリーダーは力尽きたようで座り込んでしまった。

  仕方ない、「天狗の大下り」が「大登り」になってしまった。リーダーの調子を考えて、天狗山荘に宿泊した。我々以外誰もいなかったので、管理人が従業員用の五右衛門風呂を用意してくれた。こんなことはまずない!ありがたい!「鑓温泉へのルートも厳しかろう」ということで白馬まで戻って下山することになった。

 

戻って村営小屋から下り始めた。一番疲れていないように見えた私が先頭に立った。山はまだ冬仕様で雪庇も結構出ていた。踏まないようにゆっくり降りる。調子が出てきたころ、「あっつヤバ!」その瞬間雪庇が崩れて滑落した。どんどんスピードが上がる。身体を反転してピッケルを雪に中に突っ込むがなかなか止まってくれない。「あっ!下に岩がある!」と思ったところで、傾斜が緩くなり止まった。「大丈夫か?」上から声がする。「なんとか!」と答えた。100メートルぐらいは落ちたかな。仲間が降りてくるのに40分以上も待った。

 

白馬岳は高山植物の宝庫と呼ばれ、夏のハイシーズンであれば、いろんな花が咲き乱れる人気の山だ。だからこそ1000人も泊まれる山荘が完備されているのだが、なぜリーダーはこんな時期の登山を選んだのか、よく考えたら変ですね?今度会ったとき聞いておこう。

 

ちなみに、リーダーは当時同じ会社(岩田屋)の隣の課の係長さん。九州の山ぐらいしか知らなかった私を、南北アルプスに初めて連れて行ってくれた恩人です。彼は10歳ぐらい上なので、最後にご一緒したのが、今から6年前の九重でした。すがもり越えの下りで、なんと彼は足首を骨折したのです。サブリーダーは彼の高校の同級生、もう一人は関係会社に勤務する山経験者、この4人でいろいろ行きました。しかし、だいたいぼくらが山に行って予定通りまともに進んだことは過去一度もない。今回もまたその記録を塗り替えたのでした。

 

(完)