今回は、田川方面に行ったときにたまに見かける「平成筑豊鉄道」に乗り鉄してきました。

この線は、「へいちく」という愛称で、1989年旧国鉄伊田線、糸田線、田川線を引き継いだ営業距離49.2㎞の第三セクターです。

 本社のある金田駅構内は非常に広く、車を置いた駅裏の無料駐車場から駅舎まで10分ぐらいかかったんですが、そこも含めて車両整備・保管場所まで、石炭隆盛の頃を彷彿とさせる広さです。ホームからふと前方を見ると、話題の水戸岡鋭治氏デザインの「コトコト列車」が停まっていました。

1日切符(1,000円)を買って、1308発行橋行に乗車。ディーゼルカー1両ですが、国鉄のお古ではなく、小綺麗なオリジナル車両です。この伊田線は三セクの中でも全国的に珍しい複線です。乗客は7,8人、田んぼと住宅が入り混じるのどかな風景の中、10分ちょっとで田川伊田駅です。

ここで高校生が10人ぐらい乗ってきました。車内で写真撮りあったりベラベラしゃべったり、若いっていいですな。しばらく停車したのち列車は次第に山間部へと入っていきます。赤駅に近づくと、右手から旧国鉄未成線の柚須原線が近づいてきます。現在は期間限定でトロッコ列車が運行されているそうです。

源じいの森駅では一杯飲んできたようなご夫婦連れの方が乗ってきました。すぐ近くに温泉があるそうで、「今度は是非行くといいですよ」と勧められました。ここを過ぎると、緑とトンネルのコントラストが続きます。崎山の駅を過ぎるころから、今川沿いの平坦地をコトコトと走ります。1時間ちょっとの1419にJR行橋駅の南端に到着です。

14分後、折返しの直方行に乗って、先ほどの田川伊田駅に向かいます。犀川の駅を過ぎると、乗客が極端に減り、私とあと一人の2名になってしまいました。

田川伊田駅で降りて、田川後藤寺駅に向かうため、JR日田彦山線のダイヤを見ると何と出発したばかり。仕方ないので西鉄バスで移動しました。駅舎は工事中で、駅舎ホテルができるそうです。

 田川後藤寺駅は、JRとの共同駅です。2番ホームに降りる階段は高校生がずらっと並んで座っています。そんなに混雑してるのかなと一瞬思いましたが、彼らは単に座って待ってただけでした。それでも彼らのおかげて、座席がすべて埋まった糸田線金田行列車は1624定刻に出発です。一般客は10人ほど、ローカル線の主要顧客は高校生なんだという事実を改めて知ることができました。

 10分ちょっとで金田駅到着、直方行に乗り換えです。こちらは通勤時なのか一般客が20人ほどの乗客です。この伊田線、複線なんですが、すれ違った列車は1回だけ、複線を維持する意味があるのかと思いましたが、撤去費用の方が高いからなのでしょうね。直方に近づくと、左手からこちらも複線電化のJR福北ゆたか線が近づいてきて、なんと線路が4本並行、大都会並みの線路数となって1700直方駅に到着しました。約4時間のミニ旅でした。

それにしても、この「へいちく」の営業努力には頭が下がります。

1. 駅に駅員がいません。バスと同様車内整理券方式で運転手が運賃を取り扱います。従って駅に改札口がないため、駅に着いた客は好きな方向へ歩き出します。

2. ネーミングライツ ~駅や車両の命名権を販売しています。

3. 枕木オーナー、つり革オーナー ~金田駅の枕木にお金を出してもらった方の名前を刻んだ銘板が取り付けられていました。

4. イベント列車(お食事列車、婚活列車)

ほんとにすごいと思います。人口減少の厳しい経営環境の中、地域の足として頑張る「へいちく」をこれからも応援していきたいと思いました

(記録は2018125日です)