水色長屋

夕方ボクジョウは

ちょっとした尾瀬ヶ原


夕方ボクジョウは

野菜を草に変えてしまう

不思議な力がある


さっきからケラヘイは

ずっと草を食べている


田んぼをやっているどこかのオジサンが

夕方ボクジョウに

勝手に除草剤を撒いていくので

困ったものだ


恐らく自分のところで余った除草剤を

ついでに撒いていくのだろう


夕方ボクジョウを

迷惑だと思っている人は

意外に多いのかもしれないが


わたくしという現象は

こんな感じのところが

大好きだ


…と、アメちゃんは言っている












水色長屋

ネコ

ネコ

ネッコ

ネッコッコ


水色長屋

ニャー

ニャー

ビャー

ビョー



水色長屋

せっしゃ

ねこでござるが

タマネギのマリネは

苦手でござるのござる






水色長屋

あー

にほひますな


にほひます


このにほひは


ムクドリが

刺身コンニャクを食べている

にほひですか?


そりとも

ムクドリが

湯葉サシを注文した時の

にほひですか?


あぁ

蕎麦屋ってところに

いつてみたひ











水色長屋

ねこシッポ


パサパサ

フリフリ

ボサ ボーサ


水色長屋

髭振り風の

夕方の

窓にたなびく

猫毛かな


 日が暮れて

 埃たちたる

 毛むくじゃら

 南天の実の

 香しき


    石段を

    七つ登って

    ひと休み

    眺むる街の

    懐かしき


      朝が来て

      逆日光の

      髭翳り

 

        



水色長屋

春が過ぎて

猫がいる裏庭は

少しばかり賑やかになった


草の陰の落ち葉は

諦めたのか

静かに土に返ろうとしている


トンガリ屋根のヨンドンちゃんの

鼻歌交じりの念仏が

木の葉を揺らしている


 カエラナイ

 カエラナイッタラ

 カエラナイ


 チャイロノ ハッパ

 ミドリノ ハッパ


 ハルガ キタナラ

 カエラナイ




水色長屋
 

猫です

こんばんは

また明日







水色長屋

いつたい

じぇんたい

わたしはなにをまつているの?


『松の木ばかりが松じゃ無い』っていいましても


松の木は

去年の夏のヒデリで枯れましたし


草がのびますと

その松の木さえ見えなくなりますし


松の木の横には

拾円玉が落ちておりましたが

今のわたくしには

つかうことさえできましぇん


そういった観点で捉えるならば

拾円玉も松の木であると

言えるにちがいねーのでさ


あー

いそがしかった…




















水色長屋

水のんで

飲んですすって

また飲んで


「あーモシモシ」


水のんで

フーフーしながら

水のんで


「あーモシモシー げんきですかー」


水のんで


「あーモシモシー こちら水のめませんけどー ドーゾー」









桜が散って

葉っぱが出てきた


来年もまた

同じように

桜が咲く


そして猫は

木の下で待っている


猫は桜の木で爪を研ぐ

猫の爪は

月明かりの中で白く光り


猫の髭は

降り出した雨粒に映り込み

碧い夜空と光る雲の欠片が

散りゆく桜と混ざり合いながら揺れている


さくらねこ


髭桜


きみの髭で楽器を作って

変な曲を作曲するかも知れないね


例えば

夜なのに

朝のような


例えば

春なのに

夏のような


労働なのに

遠足のような


さくらねこ

さくらねこ