夏帯が分ける彼女の上下かな     四童
青汁を飲み青汁となりにけり
夏や非常口には非常階段
溝さらひさらひて夏の海始まる
馬の子はマトリョーシカを出できたる
太陽が近づいてきて夏になる

 夏帯の句で最高点をとり、太陽の句で最大限に罵倒される。小学生ならいざ知らず大の大人がこのようなものを句会に出すのは正気の沙汰とは思えない云々。田島健一さんが「どちらも同じようなシンプルな描写を狙っているんだけれど、夏帯の句は成功していて、太陽の句の方はこれはどうしようもないですね」など見事にまとめて追い打ちをかける。
 

 でもって、まだ「雨だれ」である。
 少しでもお酒が入ると、譜面に向かう気がしないので、いっこうに進まない。

 60小節から後ろをさらう。最低音が属七の七度の音で、二度音程で根音とぶつかっていてのけぞる。かっこいい。同じようにして、62小節は、オクターブで弾かれるメロディの上の音の半音下に内声がぶつけられていたりする。64小節以降の右手親指がオスティナートしつつ他の指で弾くコードもなんだかすごい。

 これはお酒より楽しいかも知れない。
 でもって、「雨だれ」である。

 この陰影に満ちた曲、難しいです。

 変ニ長調で始まったものが、9小節目の3拍目でドミナント・コードの3rdが半音下がって変ト長調を経由して11小節目には変イ短調に至り、さらに最終的に変ロ短調に至り、というのが、右手のフレーズでは9小節~12小節の4小節と、13小節~16小節の4小節はほとんど同型のメロディなのに、その裏で大変なことになっているのですね。

 演奏技術的にも、クラシックのトレーニングなど受けたことがないので、内声の保持というのが拷問のよう。3小節目の薬指の保持でいきなり挫折。最大のクライマックス部では右手が人差し指・薬指で内声を保持しつつ、親指と小指は8ビートを刻む。まあ、後者はペダルでごまかせるか。

 勝手に6月の課題曲としたけど、一週間経つのにぜ~んぜん弾けません!
 いろいろなことがいやになり、ろくに譜面が読めないのにショパンの曲集を買う。「雨だれ」「子犬のワルツ」「葬送行進曲」など、有名どころが入った雑多な楽譜である。
 六月の課題曲は「雨だれ」に決定。それにしてもどうしてショパンの曲は調号がこんなに多いのか。手がなじんだら「猫ふんじゃった」のように弾きやすいということなのか。3小節目でいきなりのけぞる。あの下の旋律は左手で弾くのであったか。

 というわけで、しばらくAb音を連打します。

五月雨のしきりに穿つ大河かな   四童
餅肌に湯気立つてゐる梅雨の入り
五月雨や格子を載せて行く荷馬車
鳴く前の蚯蚓は太く聳えをり
鼠色のねずみを見たり五月晴
昼の蚊は蚊遣の豚をくぐりけり
炎昼のグラウンドストロークかな


♪題詠はいやじゃ句会はいやじゃ…

 

 十数年ぶりくらいで『火の鳥 黎明編』を読み落涙。
ところで『火の鳥』ではないが、中村十朗氏によると天照大神が原節子、先代の朝汐が手力男命、須佐之男命が三船敏郎などというすごいキャストの特撮映画があるらしい。観たい。

 朝起きてメールをチェックすると、二桁の迷惑メールが来ていて、しかもスパンブロック設定したはずのIPアドレスからたくさん来ていて、プロバイダの提供するスパンブロック設定を覗いたら、なんとゆうべ設定した1個以外ぜんぶ消えているではないですか。この1、2年くらいにちまちまと700個くらいブロック設定していたのですが…。

 プロバイダが情けないのか、新手の攻撃なのか。

(滅多にさわらないドメイン/メールアドレス指定の設定の方もごっそりなくなっているので、私のオペミスではないと思います)

 というわけで、満尾です。皆さん、ありがとうございました&お疲れ様でした。当初は正月の座興としてぽんぽんと三が日くらいで巻きたかったのですが、結局五ヶ月かかってしまいましたねえ。
 感想や軽微な修正など、コメントでお願いします。


   店番をしつつ初日を待ちにけり      玉簾
     近頃切らぬ門松の先         四童
   谷根千のお化け階段転がりて       雨香
     色なき風に乱歩の眼鏡        詠犬
   まだ温き椅子に集まる月あかり     朝比古
     次期社長から蟋蟀もらふ       天気
ウ  エレベーターホールに置きし冬薔薇     樹
     落ちた花弁の数で占ひ        葉月
   はじめてのキッスに気絶してしまふ     気
     わづらひ始めに齧る錠剤        香
   郷里から速達とどく朝曇        ぽぽな
     春満月へ蒸気機関車          犬
   がうがうと躑躅もパリも燃えてゐる     気
     モデル立ちして風船配り        古
   オバQの着衣の中の大図解         童
     ウランちゃんより謎の少なく      月
   裏表磨かれている花崗岩          な
     川渡り行く院殿大姉          童
ナオ はつなつの鏡の奥にゐる人よ        樹
     右と左でちがふ触感          気
   つなぎたる手と手そのままポケットに    樹
     ひひなの頬のすこし黒ずみ       古
   雪解風皆既日食崩れつつ          犬
     片目に映る菜の花畑          月
   ぺろぺろと油を舐める猫のゐて       古
     お蔵破りを決行の夜          な
   湯殿より一糸まとはず急を告げ       童
     信楽焼をためつすがめつ        気
   競売のハンマーひびく窓の月        な
     鞴を踏めば揺るるコスモス       簾
ナウ 種を採る指先やがて熱を持ち        香
     くちびる寄する杯に雪         樹
   うばはれし味さがしつつ身を離し      月
     踏絵のやうな明りを点す        古
   あたらしき町に住む日の花の宴       気
     半音上がるコーラスうらら       犬

               起首 2006年01月01日
               満尾 2006年06月03日




 

 四童珈琲店が移転しました。これまでの四童BLOGがそのまま四童珈琲店となり、掲示板でやっていた四童珈琲店は閉店しました。旧店舗は2001年10月2日に開店し、4年半の長きにわたりごひいきにして頂きました。長年のご愛顧まことに感謝致します。引き続き新店舗もよろしくお願い致します。
 なお旧店舗の書き込みは、「四童珈琲店旧店舗」というカテゴリーで新店舗でも引き続き読めるように致しました。


はまる、はまる。三田紀房『ドラゴン桜』(講談社)。今、12巻目の真ん中へん。