『晩刻』読了。

  五月四日
あひびきや枳殻(からたち)のとげ青き頃    誓子
あひびきのほとりを過ぎぬ苜蓿(うまごやし)

  五月五日
媾曳を許す林園まつさをに
あひびきのゐる苜蓿(もくしゅく)を去りゆくも
新緑のあひびき汚れたりとせず
あひびきは梅の実よりもひそかなる
をんな十代あひびきの苜蓿
あひびきはながく新緑森々と

 五月七日
新樹昼闌けてあひびき丘下る

 七月三十一日
あひびきが通るわが家の蟹の崖
すぐあひびきの浜台風のあとの浜


 もちろん「あひびき」は逢い引きなのだが、このように扱われるとなんだか鳥
か虫の種類の名前のような気がして来ないだろうか。