まだ全部読み終わってないのですが・・・
自転車少年記─あの風の中へ─
竹内 真 著
なかなかいいです。
以前紹介した『カレーライフ』の作者の本です。
まだ読むのは2作目で、いろいろ言うのもなんですが・・・
さわやかです。
この作者の小説の内容は基本的にそれほど波乱がありません。
カレーライフのときもそうでしたが、主人公が誰かを探しに行けばわりとすぐに見つかるし、それほどひどいトラブルに会うこともない。
でも、人生ってそういうもの・・・というか、本人にとっては大事件でも傍から見るとあくまで他人事・・・みたいなところがあります。
自転車少年記でも、主人公やその友達はいくつかの挫折を味わいます。
彼女に振られたり、プロの自転車選手を目指していたのに膝の故障で夢をあきらめなくてはいけなくなったり。
それでも、彼らは前に進んでいきます。
ドラマや映画では、すれ違いがテーマになったりしていることがよくあります。
何度もすれ違い、誤解を重ねて最終回でようやく分かり合う・・・みたいな。
この本の作者はそういったことにはあまりこだわりがないようです。
誤解はすみやかに解き、前に向かって進み、欲しい結果を手に入れていきます。
ぱんだは何冊か自己啓発本を読みましたが・・・
その骨子はたいてい、「あきらめるな」「信じ続ければ夢はかなう←(カンフーパンダか?)」
そういったことのように思いました。
自分の信じた道を前向きに歩くこと。
あきらめないこと。
真剣に取り組んでいれば、不思議に協力者が現れるものだということ。
それが成功へとつながっていくわけですが・・・
自転車少年記の主人公やその友達は、当たり前のようにそれを実践しているんです。
振られた彼女にもう一度気持ちを伝えるために、東京から仙台まで自転車で走ったり・・・
そしてゆっくりと人生は動いていきます。
この前向きさ。
だからこそ、この作者の小説はさわやかなんでしょう。
世の成功本のセオリー通り。
ということは、その行動がうまくいくのは当たり前なんですね。
挫折してもあきらめず、新たに自分でできる夢を探し、かなえるために行動しているんですから。
だから、挫折してもそれが挫折には見えない。
彼らは落ち込んでも、そこに立ち止まったりしていないから・・・
人生とはそういうもの。
立ち直るのが遅いか早いかは別にして、人は本来そうやって生きていくもの。
この小説が波乱がなさそうに見えるのは、単にそういうことなのかもしれません。
挫折したからといって、他人に愚痴ってもはじまらない。もちろん読者に向かって文句を言ってもはじまらない。
かれらは挫折を心の奥に追いやって、明日へ向かって走っていきます。
本には2種類あると思います。
読んだ人間に影響を与える本と与えない本。
ぱんだにとって、『自転車少年記』は影響力のある本でした(いや、まだ読み終わってないけど・・・)
なぜならば・・・
自転車で走り出してみたくなったからです。
─風の中へ・・・
家にはママチャリしかないけど・・・とりあえずはそれに乗って
ひさしぶりに読んでいて楽しい本でした(・・・だから・・・まだ読み終わってないってば・・・)
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