久しぶりに本の話。
「ニッポン社会」入門
英国人記者の抱腹レポート
コリン・ジョイス 著
谷岡 健彦 訳
コリン・ジョイスさんは日本で高校教師をしたこともあるイギリス人のフリージャーナリスト。
彼のお気に入りの日本語のフレーズは、
「鵜の胃と尾の絵」
「a picture of a cormorant's stomach and tail」
英語では35文字も必要とする表現が、日本語ではたった10文字で言えてしまう。
「u no i to o no e」(鵜の胃と尾の絵)
この表現を発見したとき、コリンさんはすごく面白かったそうです。
言われて見れば・・・
ぱんだも以前海外から日本に荷物を送る際、荷物の内容を書けと言われ、
「登山用具」と書いたら驚かれたという経験があります。
英語で書くと・・・
たぶん、アイゼンとかピッケルとかいろいろ書かなくてはいけなかったのかもしれません。
日本語はイギリスにおいては難しい言語として認識されているそうです。
が、著者は日本語は難しくないと言います。
留学当初は、まるで授業についていけなかったコリンさんですが、決意新たに日本にとどまることを決め、深く日本語と日本についての知識と経験をつんでいきます。
そんなコリンさんが日本とイギリスの違いについて面白く語った一冊。
イギリスと日本は似ていると言う日本人が多いようなのですが、著者にはその理由がまったくわかりません。
似ているのは島国ということと、王様(天皇)がいるということくらいではないかとコリンさんは思うのでした。
また、日本を理解したいならプールヘ行けとコリンさんは言いいます。
レーンは初級者用と上級者用に整然とわかれ、混雑したプールにも秩序が保たれています。
イギリスではそういうわけにはいかないようです。
長年日本に住んだ著者にとって、日本はすでにそれほど特殊な国ではありません。
「ぼくはもう十四年も日本にいるので、うっかり忘れてしまいそうになるのだが、多くの西洋人にとって日本は地球上で最もエキゾチックな国だ(日本好きのイギリス人がまさにそう口にするのをぼくは聞いたことがある)。あるオーストラリア人の作家は、日本を「不可知の国」と呼んだ─まるで、日本は理解されるのを拒んでいる国であるかのように。でも、ぼくはそれは違うと思う。ただ理解するのに他の国より時間がかかるだけ、そして、探していた答えが予期していたものとは違うことが多いだけだ。」(本文より)
理解するのには時間がかかったけれど、より深く日本を知ろうとした著者の日本への愛情が感じられる一冊でした。
日本は特殊な国ではない。
愛すべきちょっと変わった国である。
とコリンさんは言っているように、ぱんだには感じられたのですが・・・
いずれにしてもよく見ているなぁ。
という感じです。
これから日本に来るイギリス人への忠告として、
「血液型と靴のサイズは必ず事前に調べておけ」
「日本人に趣味を聞いて、その返事が「買い物」や「寝ること」でも驚くな。日本では寝ることも趣味として認識されている」
と言うのには、ほんとによく観察しているなぁ・・・と感心しました。
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