今日は何を書こう?

一応「本・書評・文学」というジャンルでブログを書いているのだから、毎日コーヒーブレイクでお茶を濁すわけにもいかない。

ということで、本棚を眺めていてこれに決めました。

『ボッコちゃん』

星新一先生のショートショートです。

星先生のショートショートは一時期はまって、新潮文庫から出版されている文庫本を端から買って読みました。

黄緑色の背表紙が本棚にずらっと並んでます。

そして『ボッコちゃん』は一番最初に読んだ一冊だったと思います。

この本は作者自身の自選集で50編を収録。

特徴としては初期の作品が多いこと。

ショートショートであること。

作品のバラエティが多いことの3つだそうですが、どれも作者にとって愛着の深いものであると「あとがき」に書いてありました。

文庫版の発行は昭和46年5月。

昭和62年5月に46刷改版。

わたしの買ったものは平成9年5月発行の70刷です。

たぶんその後も増刷されているのではないかと思います。

ものすごく人気があるってことですね。

1編の長さは3ページから10ページくらいです。

ぱらぱらと繰ってみると、記憶に残っている作品が多い。

作者自身が思い入れが強いと言っているだけあって、印象深い作品ばかりです。

結末の切なさというか、救いようのなさというか、うまく言えませんが心に引っかかるものが残っているのですね。今でも・・・

人間とロボットと宇宙人と悪魔、そして妖精。

そういった者たちの立場の違い、目線の違いからの解釈のズレがおもしろいです。

やたら印象深かった作品があったのですがやっぱりそれもこの本に収録されていて、タイトルは「ねらわれた星」ってなってました。

極悪宇宙人が地球を狙ってやってきて、人間の皮を剥ぐ薬を作り出し空からまくのですが、皮が剥げても苦しむどころか喜んでいる人間がたくさんいる。なんだか気味が悪くなって、極悪宇宙人は逃げて行ってしまうんです。

そう、極悪宇宙人がサンプルにした人間の皮って実は洋服だったんですね。

その他にもいたくさん印象に残っている作品があるのですが、どの本に収録されていたかはわかりません。たぶん、読めば「ああ、これ」って思い出すんでしょう。

もう一つ、印象深い作品。(どの本に収録されているかは不明)

タイトルは忘れましたが、空を飛ぶ家が出てくる作品があるんです。

旅行するのに、家から出る必要がないんですね。

海水浴に行こうってことになったら、家族全員そろったところで家が海まで飛んでいってくれるなんて・・・

実現したらすごくいいなーって思って、いまだに忘れられません。

気軽に読めて奥が深い。

短いストーリーの中にエッセンスが凝縮されているショートショート。

星新一ワールド、かなり好きです。

星 新一
ボッコちゃん