住宅を建てる人必見!古民家から学ぶ家が長持ちする理由と現代住宅の問題点とは? | 與那原浩建築設計室 公式ブログ

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愛媛県宇和島・南予地域 古民家建築の専門家 一級建築士與那原浩のブログ

私たちの住んでいる太宰家は、江戸時代の文化文政時代(1804年~1830年)に建築された
古民家です。


木造家屋の平屋建てですが、実に200年以上の長きにわたり、風雪に耐えてきた建築物です。現代の建築からは比べ物にならないほど長持ちで頑丈です。今日は、なぜ古民家が長持ちするのかご説明します。



(ドローンで空撮した太宰家)

 

 

 

古民家専門の建築家 一級建築士の與那原浩です。自宅長屋門で古民家に特化した耐震設計・耐震補強リノベーション工事を中心とした業務を行っています。

 

 

 


(正面左側から撮影の太宰家)




(築山に臨む太宰家主屋縁側)



長持ちの理由を説明する前に、古民家の定義について調べてみたいと思います。

 

一般的に古民家とは建築後50年経過した建物とされるが、
一般社団法人全国古民家再生協会での「古民家」の定義は、昭和25年の建築基準法の制定時に既に建てられていた「伝統的建造物の住宅」すなわち伝統構法とする。

引用:一般社団法人 全国古民家再生協会

 

 

民家のうち、特に古いもの。築年数に明確な定義はないが、国の文化財登録制度にあわせ、50年以上を目安にすることが多い。くぎはほとんど使わずに、大黒柱や太い梁を組み合わせて造る。手入れをすれば、200年以上もつという。白川郷の合掌造りが有名。

(2010-01-10 朝日新聞 朝刊 東海経済)

引用:コトバンク

 

 

古民家の定義で調べると、築約50年以上かつ伝統構法での建築物が該当します。そうなると、太宰家の主屋(おもや)も民泊太宰家の離れも古民家というわけです。

 

 

太宰家が200年以上も長持ちしてきたのは、それなりの理由があります。


1つは、風土にあった家づくりがなされていること。
2つめは、本物の自然素材で造られていること。
3つめは、風が通りやすく周りの環境がいいこと。
4つめは、地震に対して免震構造であること。
5つめは、空家の期間がなく、ずっと住み継がれていること。


これだけの条件が重なる古民家は、愛媛県宇和島圏域では、少なくなりました。いまもなお、現役の古民家は奇跡だと思います。例え、築100年以上の古民家でも、跡継ぎが都会に出て空き家になってしまい、どんどん取り壊されています。

 

 

いったん、失ってしまった日本の文化は、二度と再生できません。古民家を保存していくことが、古民家専門の建築家である私の使命だと思っています。

 

 

最近では、インバウンド(訪日外国人)の日本ブームの高まりとともに古民家カフェや古民家ステイなど、店舗に古民家を活用する人も増え、日本の伝統構法である古民家を重用する風潮になりました。古民家建築を生業とする私達にとっては、とても嬉しい兆候です!

 

 

一方で、現代住宅の問題点とは、何でしょうか?次の現代住宅の写真から問題点をあげてみましょう。




上記の画像の住宅は、よく見かける標準的な住宅と思われます。デザイン的にもかっこよく、一見素敵に見えますね。さきほど挙げた古民家が長もちする条件に当てはめて、検証してみます。


1.風土にあった家づくりがなされているか。

 

例えば、私たちが住んでいる愛媛県宇和島市三間町で上記のような住宅を建築するとします。三間町は標高が高く、雨がよく降ります。また、日中と朝晩の気温差が激しいです。

 

 

そのような三間町においては、このような住宅だと、

 

・開口部(窓)が少なく、通気ができない

・雨量が多いのに、軒が全くないため、壁に雨が直接当たり、劣化しやすい

 

 

北欧やカナダスタイルの家は雨量の少ない土地の特徴から建てられているので、三間町の風土に合わないと言えます。家の劣化を加速させる原因になりますので、くれぐれもデザインだけで選ばないように、ご注意下さい。

 

 

2.本物の自然素材で造られているか

 

上記の住宅は、恐らく壁の下地は集成材と思われます。サイディングボードという外壁材で仕上げています。サイディングボードは施工もしやすく、短期間で施工できるため、最近の住宅では、よく使用されます。

 

 

ただ、サイディングボードを張り合わせている接着材のコーキングが劣化すると、壁の中に雨が入り込み、集成材が腐ってしまったり、シロアリの被害が及ぶことが考えられます。そのため、10年に1度は外壁塗装した方がいいとされています。

 

 

本物の自然素材は、壁も調湿性があったり、木材も密度があり、水の浸食にも耐えられる強度があります。自然素材は、建築する場合はコスト高になったり、手間がかかったりしますが、強度や持ちという面では優れています。

 


3.風が通りやすく周りの環境がいいか

 

住宅を建てる土地選びも大変重要です。土地が選択できるのであれば、出来るだけ風が抜けていくような平地に建てた方がいいです。家のすぐ裏に山が迫っていると、風が抜けていかない、雨が降るとジメジメするということになり、家の劣化が加速しますので、ご注意下さい。

 

 

また、最近では、地震や豪雨災害が全国各地で頻繁に起こっています。以前の土地が農地・沼地を埋め立てたようなところは、地震で液状化する危険性が高く、また、川・池・海などの近くも風水害の危険性が高いので、避けた方がよさそうです。

 

 

できるなら、地盤が堅く、地質的に強度のある地盤に家を建築したいものですが・・・なかなかそういう訳にはいきませんよね。地盤改良など、対策もありますので、ご心配な方は設計士にご相談して下さい。

 


4.地震に対して免震又は耐震構造であるか

 

最近の住宅は、建築基準法で定められた耐震基準(昭和56年施行)を満たしているので、最低限の耐震能力はあるとされています。ただ、家の直下に断層が走っていたり、巨大地震が起きた場合はこの限りではありません。

 

 

築200年超古民家の太宰家では、石場立てという免震構造が適用されています。こちらに関しては、また後日説明させて頂きます。

 

 

5.空家の期間がなく、ずっと住み継がれているか

 

太宰家では、先祖代々誰か必ず住んでいて、空き家になっている期間がありませんでした。そのことが長持ちしている最大の理由です。家は人が住まなくなったら、急激に劣化します。窓を閉めっぱなしにすることで、通気がなく、家全体が湿ってしまい、崩壊してしまいます。

 

 

例えば、お子さんが小さい時に新築した住宅で、子ども部屋などを設けた場合、あっという間に子どもは成長し、進学などで家を離れます。そして、就職・結婚して、子ども部屋は納戸などになり、通気ができなくなるので、その部屋から劣化する恐れがあります。

 

 

子どもの成長は短期間なので、子ども部屋は可変性のある間取りにしておくことがおすすめです。密室になるような間取りはおすすめできません。このことについても後日説明します。

 

 

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以上、家を長持ちさせる条件を説明してきました。太宰家が200年以上長持ちしているのは複雑な条件が重なっているものと思われますが、住む人の暮らし方にもある程度影響があるものと思われます。

 

 

現代住宅はもって30年と言われています。ちょうど代替わりになるからいいという考えもあります。スクラップ&ビルドを繰り返すことで、廃棄処分となったスクラップを排出させ、石油製品で作られた部材を焼却することになり、地球環境のためによくないので、極力控えた方がいいです。

 

 

本物の自然素材を使った風の通る気持ちの良い家は、家自体も長持ちするし、そこに住む人も健康になれます。家と住民は一体なのです。


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今日も最後までお読み頂きありがとうございました。